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制限酵素


1 制限酵素
   制限酵素は2本鎖DNAの特定の塩基配列を認識し、これを切断する働きをもつ。この酵素は遺伝子組換えにおける組換えDNA技術に必須の酵素である。制限酵素が認識する配列は酵素の種類によって異なっており、切断する部位の違う多数の制限酵素が知られている。制限酵素が切断するDNAの塩基配列は回文(パリンドローム)になっていることが多く、この種の酵素が遺伝子組換えに利用されている。
   本来、制限酵素とは、主に細菌類がウイルスの侵入を防ぐために持っている酵素である。この名称は、ウイルス感染によってもたらされた、ウイルス由来のDNAを切断することによって、その活動を制限する働きをもつことから付けられている。

2 制限酵素によるDNAの切断
   次のアニメーションは、代表的な制限酵素の切断部位と、切断後の断片の様子を模式的に表したものである。
   このように、例えば EcoRTであれば 5’-GAATTC-3’の塩基配列を認識し、G-A間を切断する。これにより、この酵素による切断後には常に AATT-3’の制限酵素断片が残ることになる。このため、共通の制限酵素で切断すれば、そのDNAの末端は相補的な塩基配列をもつことになり、DNAリガーゼでの接着が可能となる。

3 補足
   制限酵素は、上に挙げたような粘着末端と呼ばれる制限酵素断片をつくるものと、断片を残さない平滑末端と呼ばれるものとがある。


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