back

シャボン玉液を用いたカタラーゼ活性の定量的測定

1 実験の目的

 過酸化水素水にあらかじめシャボン玉液(界面活性剤)などを加えておくことにより、発生する泡の高さから酵素(カタラーゼ)活性を定量的に測定することができる。この方法により、温度・水素イオン濃度(酸・塩基)などが酵素活性に及ぼす影響を無機触媒と比較し、酵素の特徴が理解ができる。



市販のシャボン玉液


2 実験の器具・材料

 試験管(18本)、メスシリンダー、ものさし、駒込ピペット、ビーカー、温度計、ピンセット、二酸化マンガン、3%過酸化水素水、10%塩酸、10%水酸化ナトリウム水溶液、市販のシャボン玉液または中性洗剤(界面活性剤)、熱湯、氷、純水、肝臓


3 実験の方法


 (1) 準備

ア 12本の試験管に、3%過酸化水素水7mL、シャボン玉液(界面活性剤)1mLを入れる。
イ 肝臓片1gと二酸化マンガン0.3gを3本ずつの試験管に入れておく。


 (2) 温度による影響

ア ビーカーに氷と熱湯で、それぞれ5℃・20℃・80℃の温度をつくる。それぞれの温度に過酸化水素水の入った試験管2本と肝臓の入った試験管1本、二酸化マンガンの入った試験管1本の計4本の試験管を5分間入れておく。
イ それぞれの温度について、肝臓の入った試験管に、同じ温度の過酸化水素水を入れ5分後の泡の高さ(mm)を測定する。
ウ 同様にそれぞれの温度について、二酸化マンガンの入った試験管に、同じ温度の過酸化水素水を入れ1分後の泡の高さ(mm)を測定する。(反応が速いので、注意する。)


 (3) 酸・アルカリによる影響

ア 純水2mL、10%塩酸 2mL、10%水酸化ナトリウム水溶液 2mLの各溶液を、試験管(2本ずつ)に加える。
イ それぞれの溶液を入れた試験管1本ずつに、すりつぶした肝臓を1gずつ加え、5分後の泡の高さ(mm)を測定する。
ウ 同様に、それぞれの溶液を入れた試験管1本ずつに、二酸化マンガンを0.3gずつ加え、5分後の泡の高さ(mm)を測定する。


4 実験の結果


 (1) 温度による影響
  実験の結果(5回)の平均値は、以下の表のようになった。

温度

5℃

20℃

80℃

肝臓

48

81

26

MnO2

45

75

103

          単位 mm

 (2) 酸・塩基による影響
  実験の結果(5回)の平均値は、以下の表のようになった。

酸・塩基

酸性(HCl)

中性

アルカリ性(NaOH)

肝臓

10

75

22

MnO2

82

101

104

           単位 mm



温度による影響

酸・塩基による影響



肝臓



MnO2



肝臓



MnO2


5 実験について

 この実験は、シャボン玉液などの界面活性剤の種類、実験室の室温などに影響されることが予想されるので、予備実験を行い薬品の量などを調べる必要がある。



6 参考文献

 平成7年度東レ理科教育受賞作品集 財団法人 東レ学振興会、1996
 化学大事典 共立出版、1969

back