県立学校長期研修

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数 学
数学的な見方や考え方と数学的な態度を育てる指導
−問題演習を通しての授業実践−
愛知県立瑞陵高等学校 兵 藤 直 人
 本研究では、数学的な見方や考え方を問題演習を通して育てることに焦点を絞って、3回の授業を計画した。その授業では、問題解決の過程で主に活用する「適当な値で試す特殊化の考え方」や「類推的な考え方」、「一般化の考え方」などの数学的な見方や考え方のよさを実感させ、数学的な態度を育てることを目標にした。生徒対象のアンケート結果では、約7割の生徒が今回の授業実践で数学的な見方や考え方と数学的な態度とが育ったと回答しており、成果がみられた。とりわけ、成績上位者や数学に関する情意の高い者にはより効果的であった。
授業中の効果的な小テストの利用法とその作成法
−数学Uの授業実践を通して−
愛知県立岡崎東高等学校 大 須 賀 浩 幸
 学習内容の確認と基礎・基本事項の定着のために小テストの作成方法及び生徒への提示方法を工夫した。作成方法については、設問ごとに簡単なコメントをつけ、後の学習の指針となるようにした。提示方法については、類型別、クラス別に提示の仕方を工夫し表現を変えた。また、実施後は自主的、発展的な学習につながるように復習用プリントを活用した。この結果、小テストへの取組を一つのきっかけとして、学習方法が身に付き、数学への興味関心も高まり、学習意欲が向上した。
数学に対する興味・関心を高める指導法の研究
−数学のよさを実感できる授業を目指して−
愛知県立時習館高等学校 森 島 日 出 夫
 高等学校では、授業が大学入試を前提に知識面の向上を主眼に置いたものになりがちである。本研究では、生徒の数学に対する情意面に着目し、興味・関心を高める方策を模索した。「生徒の主体的な活動」を中心に据えた授業と、「実社会で数学が活用される事例」を題材とした授業を実施した結果、意識調査で「数学が好き、楽しい」と回答した生徒が、実施前に比べ大幅に増加していることが分かった。また、生徒から、「従来の講義・演習中心の授業に比べ興味がもてる」などの肯定的な意見や、「今後も続けてほしい」という要望も聞かれた。

理 科
観点別評価を生かした理科・生物Tの授業改善を目指して
−効果的な観察・実験授業を実践するための観点別評価の工夫−
愛知県立衣台高等学校 鈴 木 正 博
 生物教育において、観察・実験は、生徒の興味・関心を引き出し、探求心を養う重要な役割をもっている。また、観点別評価は生徒の意欲的な取組や、主体的な考察の評価に有効である。本研究では、観察・実験に観点別評価を活用することにより、生徒の興味・関心の向上につながる結果を得た。特に、評価の処理に表計算ソフトを用いて、できるだけ省力化・汎用化を図ったことによって、観察・実験の実施回数の増加や内容の充実、C評価の生徒の的確な抽出及び指導等に力を注げるようになり、従来の授業に改善を加えることができた。

英 語
基礎基本の定着からコミュニケーション活動への発展を目指した教科指導
−暗唱を通じて−
愛知県立長久手高等学校 内 山 真 一
 実践的コミュニケーション能力を育成するためには、基本事項の定着が必要だと感じることが多い。基本事項の定着のために教科書の本文を様々な方法で暗唱させる試みを行った結果、リスニングの面では理解の能力が向上した。さらに、生徒相互のコミュニケーション活動への発展段階として、暗唱文を基に生徒に独自の会話文を作成し発表させた。暗唱により基本事項が定着したことで、会話文の作成発表という自己表現活動をスムーズに行うことができ、表現の能力を高めることができた。
リーディングの授業における音読に関する研究
−リスニング力・速読力の育成を主眼において−
愛知県立一宮高等学校 豊 島 澄 子
 「実践的コミュニケーション能力」の育成のため、大学入試センター試験においてリスニングが導入されることになり、それに伴って生徒のリスニングに対する意識が高まってきた。本研究では、ふだんのリーディングの授業で実践できるリスニング対策として「音読」を取り上げてみた。「音読により黙読のスピードが速くなる」「黙読のスピードが速くなればリスニングの力が上がる」という二つの仮説を立て、生徒の音読にレベルを設定し、音読レベルと黙読のスピード、リスニングテストの点数とを比較したりしながら実践、検証した。
生徒の学習意欲を喚起し、確かな定着を図る英語Uの指導
−英語U学習プリントの実践を通じて−
愛知県立横須賀高等学校 品 川 浩 幸
 学習意欲や既習事項の定着に減退をみせ、「中だるみ」と称される高校2年生。そんな彼らの英語の読解力を向上させるには、何らかの工夫が必要ではないかと考えた。そこで、英語Uの授業において、生徒の学習意欲を喚起し、既習事項の定着を図る教材作りを試みた。その一つとして、教科書の英文から読解テストを作成し、一年間実施した。一課分の初見の英文を制限時間内に読む経験を積ませた結果、英文を読むことへの抵抗感は薄れ、学習意欲の高まりや、実力伸長の実感が得られたことが、アンケート結果に表れた。
学際的学習を取り入れた英語学習の一手法について
−生徒の知的好奇心を喚起しつつ、「理解の能力」の向上を図る−
愛知県立国府高等学校 宇 都 克 也
 語彙力を強化するだけで英文が容易に読めると考える生徒も少なくない中で、学際的な授業を展開することが、生徒の知的好奇心を刺激し、英文読解の積極的な取組を促すのではないかと考えた。
 本研究では、「学際的な手法を用いて、英文の背景知識を生徒に十分理解させることで、英文読解の取組が容易になる」という仮説に基づき、実践を試みた。その後に行った生徒向けアンケートの結果を基に、英文読解をする際の背景知識の有効性と学際的学習の必要性を検証した。

                                                              
保健体育
意欲・関心を高め実践力を育成する学習指導について
−グループワークを取り入れた保健授業の実践を通して−
愛知県立津島東高等学校 米 本 か お り
 教科「保健」の指導を進める過程において、健康に関する興味・関心や課題解決への意欲を高め、課題解決能力の育成に努めることが重要とされている。本研究では、これを実現するための有効な手だてとして、生徒のグループワークに注目し、ブレインストーミングやロールプレイングの実践を試みた。その結果、健康に対する関心や課題を解決する意欲の高まりが生徒に見られ、以前よりも主体的に授業に取り組む姿が確認できた。特に、意志決定能力やコミュニケーション能力などの実践的な力を育成する指導に効果的であることが検証された。

特別支援教育
知的障害児の生活技能獲得の仕方について
−電子情報ボードを用いた生活単元学習における実践−
愛知県立豊橋養護学校 小 田 和 弘
 知的障害の児童は、日常生活における経験が不足しており、生活技能が十分獲得されていない状況にある。本研究は小学部における生活単元学習「修学旅行へ行こう」を題材として取り上げた。電子情報ボードとコンピュータを使用して電車の券売機や改札のシミュレーションをほぼ実物大で投影し、児童の経験不足を補う学習を展開した。本研究は児童の不足しがちな生活経験を補い技能の獲得を目指すことを目的とした実践である。また、コンピュータの操作性、電子情報ボードの教育的効果や教材としての有効性を検証した。
病弱教育における医療や家庭との連携支援について
−個別の教育支援計画をもとに連携方法を探る−
愛知県立大府養護学校 平 井 徹 章
 近年の病弱療養児における、入院期間の短期化、心身症や軽度発達障害などに代表される病種の変移と多様化などにより、本校の病弱教育は大きな変化を遂げている。そのため、本校における医療と教育が連携した支援だけでなく、その支援が退院・転出後にも継続して行われることが大切になってきている。本研修では個別の教育支援計画を中核としたその連携方法について考察を行った。

総合的な学習の時間
活力ある集団づくりを目指した「総合的な学習の時間」の指導
−年間指導計画に基づいたグループ・アプローチを通して−
愛知県立明和高等学校 渡 邊   修
 勤務校において、生徒の組織活動を詳しく継続的に観察してみると、生徒個々の能力が十分に発揮されていない例がしばしば見られる。そこで、グループ・アプローチを通した体験学習を、計画的・継続的に実践することで、人間関係における生徒個々のスキルが向上し、各個人がもつ知識・技能を十分に活用できる成熟した生徒集団ができるであろうと考えた。この仮説のもとに実践した結果、生徒はグループ討議の手法やシェアード・リーダーシップについて理解し、今後の学校行事をはじめとした、集団活動の充実が期待できる手ごたえを得た。