教育研究リーダー養成研修

国 語   社会   算数・数学   理 科   音 楽    体育・保健体育
外国語   工 業   道 徳   総合的な学習の時間   特別活動   生徒指導
キャリア教育   教育相談   特別支援教育   学年経営   学級経営

国 語

言葉に着目し,音読を通して,読む力を高める国語科学習の指導
― 3年国語科「民話『三年とうげ』のおもしろさを伝えよう」の実践を通して ―
一宮市立北方小学校 山 田 広 幸
 物語文において,叙述を基に想像して読んだり,自分の思いと合わせ音読で表現したりできる児童の育成を目指し,本研究に取り組んだ。想像して読む力を高めるために,キーワードに着目して読みの交流ができるように単元の構想を工夫した。また,豊かに表現する力を高めるために,話型を提示し,音読による交流の場を設定した。その結果,言葉に着目して考える意識が高まり,物語文を叙述に基づいて読み取ったり,読み取ったことを音読によって豊かに表現したりできるようになった児童が増えた。
論理的に表現し,考えを深める子の育成
― 6年国語科「書く」「話す・聞く」の段階的指導を通して ―
一宮市立大和西小学校 大 野 靖 典
 6年国語科「自分の考えを明確にして伝える」の学習において,児童が自分の意見を論理的に伝える中で,互いの意見を認め合い,考えを深めることができるようにさせたいと考えた。本研究では,段階的指導として,まず「書く」段階で,構成指導の工夫を通して論理的な構成を学ばせた。そして,「話す・聞く」段階で,感想交流と振り返りの工夫を通して自分の考えを深められるよう実践を行った。その結果,児童は,論理的な構成を生かした表現ができるようになるとともに,自分の考えを深めることができるようになった。
意見交流を進んで行い,自分の考えを深め,互いに認め合える児童の育成
― 5年生国語「注文の多い料理店」の授業を通して ―
尾張旭市立旭小学校 津 金 浩 一
 本学級の児童は,発言意欲は高いが,相手の考え方を認め,自分の考えと比較しながら考えを深めるまでにはいたっていない。そこで,物語文の授業を通して,自分の考えを深め,互いに認め合える児童の育成を目指し,実践に取り組んだ。意見交流を深めるために,情景描写や心理描写を根拠に,登場人物の内面にある心情について考えさせることで,主題に迫る読みの力を高めた。また,話型の提示,話しやすい環境づくり,振り返りの場の設定をした。その結果,意見交流から得た仲間の意見を用いて,自分の考えを再構築できる児童が増えた。
子どもが主体的に関わる授業を目指して
― 物語教材におけるひとり読みと関わり合いの授業を通して ―
西尾市立矢田小学校 神 谷 順 子
 自ら課題を発見し解決する力,他者と協働するためのコミュニケーション能力,物事を多様な観点から論理的に考察する力の育成が重視されている。これを踏まえ,子どもが主体的に関わる授業を目指した。ひとり読みの力を伸ばし,自分たちが考えた課題を自分たちで解決するような授業を展開した。その結果,子どもたちは,ひとり読みで読み取ったものを基に積極的に話し合いをし,級友と関わる中で自分の考えを深めていった。ひとり読み,話し合いの繰り返しの構造が,子どもの考えを深め,子ども主体の授業に近づくという成果が得られた。
一人一人が生き生きと表現する姿を目指して
― 関わり合いを生かした国語科の作文指導 ―
みよし市立天王小学校 手 島 隆一郎
 文章の読み取りの際の「書く」ことを用いた学習や作文を書く学習において,「話す・聞く」場を設定し,他の子の意見を取り入れることによって,「書く力」をより高めていきたいと考えて授業実践を行った。その結果,書いたものを互いに読み合い,よさを伝え合うことで,次に書くことへの意欲につながったり,自分の思いを書くという活動に対する自信につながったりした。また,互いの書くことへの意欲に気付き,よい表現を認め合い,生き生きとした豊かな表現で書く力へとつなげることができた。
  

社 会

コミュニケ−ション能力を育成する社会科授業づくり
― 発言の教材化を中心とした「聞く」指導の工夫を通して ―
碧南市立西端小学校 山 本 行 治
 社会科学習の中で,「聞く力」を中心としたコミュニケーション能力を育てるための手だてを行い,その効果を検証する。小学校6年社会科歴史単元「戦国の世から江戸の世へ」において,@発言の教材化,A学習の振り返りの二つの手だてを用い,児童の「聞く力」を高めていった。その結果,児童は「聞く」ことを意識して学習に取り組むようになり,互いの発言のよさを認め合い,自分の考えを伝えようとするようになった。一方で,相互評価のフィードバックなどを通して自己肯定感を併せて育てることには課題も残った。
自ら学び,自らの考えを豊かに表現できる子どもの育成を目指して
― 4年生社会科「ごみはどこへ?」の実践を通して ―
高浜市立港小学校 新 美 奈緒子
 第6次高浜市総合計画の目標「生涯を通じて学び合い,育て合うことによって個性や能力を伸ばし,夢や希望と感動に出会える“大家族”を目指します」を踏まえ,主体的に学び合う態度を養うことを目指した。子どもの興味・関心や疑問を大切にし,体験活動を取り入れることで,主体的に問題解決に取り組むことができ,学習後もごみを減らす取組を続けることができた。また,「学び合いの場」の設定により,友達の考えと自分の意見を比べる中で思いを更に強くし,自分の考えに自信をもち発言することができるようになってきた。
社会事象や思考を「見える化」し,多面的・多角的に考察できる生徒の育成
― 中学校2年社会科「ものづくりのさかんな中部地方」の実践を通して ―
豊川市立代田中学校 藤 田  充
 社会事象に対して,他者の考えを参考にして多面的・多角的に考察することができる生徒の育成を目指して,「社会事象の見える化(社会事象の地図化)」や「思考の見える化(付箋紙や模造紙の活用)」を手だてとして研究を進めた。生徒たちは,地図化によって社会事象を視覚的に捉えることで,多くの社会事象の特色に気付き理解を深めた。また,グループで意見を分類・統合したりするなど思考の流れや論点を視覚的に捉えることで,多面的に考察することできた。しかし,多角的に考察することには課題が残った。
歴史的思考力を養う日本史Bの学習
― 鎌倉時代における武士の「生き方」の考察を通して ―
愛知県立尾北高等学校 伊 藤  直
 生徒は歴史的用語の暗記には取り組むが,それらの歴史的用語にどのような意義があるのかを捉えることは苦手である。本研究では,資料を活用し,歴史的事象の推移を把握できることを目指した。そこで,日本史Bの「鎌倉時代」の学習において,人と関わる場の設定やロールプレイ等の手法を用い,資料の読み取りを基に考察する取組を繰り返せば,事象の推移や意義を捉えることができると仮説を立てた。実践を通して,歴史を解釈する目標にはいたらなかったが,資料を活用し,歴史的用語の意義について思考を深めさせることができた。
  

算数・数学

自分の力で問題を解こうと意欲的に学習する生徒の育成
― 反復練習による基礎的・基本的知識・技能の習得を目指した授業展開を通して ―
豊明市立栄中学校 杉 野 貴 行
 本校では,数学の授業において,粘り強く考え,自分の力で解こうとする生徒は少ない。また,基礎的・基本的知識・技能が身に付かないために学習内容が理解できない生徒も多い。本研究では,「問題演習の場面で,反復練習を効果的に行えば,基礎・基本が定着し,自分で問題を解こうとする意識が高まり,自分の学力の向上を実感することで,学習への意欲が高まるだろう」という仮説に基づき,演習プリントを活用した反復練習を行った。この実践により,基礎・基本の定着を図ることができ,自ら粘り強く取り組む生徒が増える結果が得られた。
自分の考えに自信をもち,理解を深める算数指導
― 考えの追究の仕方や解決方法の認め方を工夫した授業を通して ―
美浜町立河和小学校 神 谷  匠
 算数科「面積」の学習において,考えの追究の仕方や考えを認め合う場を工夫することにより,自分の考えを発表することに自信をもち,理解を深めることができるようになると考えた。そこで,小グループによる学習を取り入れ,質問カード,説明お助けカード,考えのよさの例示カードを用意して,考えを追究するとともに,解決方法を認め合う実践を試みた。その結果,児童は,友達の考えのよさを取り入れながら根拠を明確にし,自信をもって考えを伝え合うことができるようになった。
仲間との関わり合いを通して,数学的な思考力・表現力を高める生徒の育成
― 数学科1年「変化と対応」の実践を通して ―
田原市立田原中学校 川 口 泰 孝
 生徒が仲間との関わり合いの中から,数学的な思考力・表現力を高めることを目標として,研究を進めた。目指す生徒像に迫るために,「多様な考え方を引き出せる問題の設定」「ペア学習やグループ学習の導入」「多様な考え方を基に,考えを深めるための発問の工夫」の三つの手だてを講じ,実践を行った。その結果,生徒が自分の考えと仲間の考えを比較して,考えをより深めたり,新たな考えを発見したりする姿が見られた。また,自分の考えを相手が納得するまでねばり強く説明する生徒の姿が見られるといった成果が得られた。
グラフ電卓を活用した数学Vにおける課題学習の実践
― 自ら数学を学ぶ姿勢を育てるために ―
愛知県立旭丘高等学校 伊 藤 友 一
 「ICTを効果的に活用し,国際的な数学に触れることで,数学への興味・関心が高まるであろう」「ICTを積極的に利用した課題学習を行えば,自ら数学を学ぶ姿勢が身に付き,思考力を高めることができるであろう」という二つの仮説を立て,海外の数学教育において普及しているICT機器「グラフ電卓」を活用した4回の授業実践を行った。その結果,数学を学ぶ意義を考えることや自ら数学的な考察をすることで,数学への興味・関心が高まり,自主性が育つという成果が得られた。
自主性・創造性を発揮して問題を解決できる生徒の育成
― 生徒による「オリジナル問題の作成」を通して ―
愛知県立安城高等学校 下 房 一 郎
 本校の理系の生徒を対象としたアンケートにより,数学を楽しいと思う生徒の割合が,PISA調査やTIMSS調査の結果と比較しても,必ずしも高くない現状が判明した。また,数学に対する自主性も低いことが明らかになった。本研究では,生徒によるオリジナル問題の作成やグループ協議を授業に取り入れた。さらに,作成した問題をお互いに解き合う機会を与え,生徒の自主性や創造性を高めることを目指した。その結果,生徒の数学に取り組む姿勢に改善が見られた。
自ら法則を見つけ,それを検証できる生徒の育成を目指す平面図形の指導
― 実験観察を通して ―
愛知県立新城東高等学校 太 田 雅 春
 数学の教科指導において,グループ学習を取り入れ,生徒たちで考え法則性を見つけ,それを今までに学んだ知識で証明できることを目標に研究を行った。本研究では,「図形の性質の分野において,実験をすることによって法則性が見つけられれば,数学の楽しさが実感できるであろう。更に予想された図形の性質がきちんと証明できれば,証明の必要性を感じさせることができるであろう」という仮説に基づいて,石けん膜の実験を試みたところ,証明の必要性を実感させることができた。

理 科

自分の考えをしっかりもち,課題を追究することができる児童の育成
― 第5学年理科「電磁石の性質」の学習を通して ―
江南市立古知野東小学校 實 松 麻 里
 本学級の児童は理科の学習に対する興味・関心は高いが,自ら疑問を抱き進んで調べたり,自分の考えを表現したりする力に課題がある。そこで,自分の考えをしっかりもち,課題を追究することができる児童の育成に取り組んだ。本研究では,電磁石の性質を利用した教材を工夫し,自らの考えをまとめるための定型文やワークシートの活用,段階を追った発表形式を手だてとして実践を行った。その結果,自分の考えをまとめる力が身に付き,自ら課題を追究する姿が見られるようになった。
生き生きと学び合い,科学的な見方や考え方を深める理科授業
― 知識と知識の結び付きを活性化する手だてを通して ―
常滑市立鬼崎中学校 杉 本 憲 保
 本研究では,光の性質について追究し,科学的な見方や考え方を深めることをねらいとした。そのために,学習内容における知識と知識の結び付きを活性化させることに重点を置き,生活との結び付きを意識した実験や生徒同士で考えたことを説明する活動を取り入れた。本研究を通して,生活と結び付く学習内容に対し自分の考えを生き生きと説明する生徒の様子が見られた。また,光に対する科学的な見方や考え方を個々の能力に応じて深めることができた。
自ら疑問を感じ,意欲的に問題解決に取り組むことができる生徒の育成
― 中学2年理科「電流と回路〜明るく光る豆電球はどれかな?〜」の実践を通して ―
刈谷市立刈谷南中学校 近 藤 正 紀
 本研究は自然事象の中から,不思議さや疑問を感じ,実験や生徒同士の関わり合いを通して,意欲的に問題解決をすることができる生徒の育成を目指した。導入の場面では事象提示の工夫を行った。問題解決の場面では,疑問を解決するために必要な知識や経験が得られるような教材を開発し,自分の考えを表現しやすいワークシートを用意した。また,関わり合いの場面の工夫も行った。その結果,自らの力で問題を解決することができ,満足感やそのよさを感じることができた。
論理と事象の整合性と表現力の向上を目指して
― 溶液の濃度の単元におけるICT機器の導入と効果 ―
愛知県立中川商業高等学校 浅 井 照 正
 本研究では,溶液の濃度の実験でICT機器を導入し,生徒の言語活動を充実させることにより,論理的な思考力を高められるのではないかという仮説に基づき実践を試みた。事象に対して班ごとに活発な議論を行い,多くの生徒が論理的な意見を他の生徒に伝えることにより,達成感を得ることができた。ICT機器の導入は,言語活動の充実や表現力の向上に有益な効果を与えるという成果が得られた。

音 楽

音楽のよさを感じ取り,思いや意図をもって表現できる子の育成
― 5年音楽「曲想を味わおう」の実践を通して ―
幸田町立中央小学校 近 藤 今日子
 本学級の子どもたちの歌唱表現は,どんな曲でも単調な歌い方になりがちであったため,音楽のよさを感じ取り,曲想を生かした表現の仕方を工夫させたいと考えた。本研究では,音楽のよさを感じ取らせるために,学ばせたい要素に合わせた継続的な取組(音楽遊び)を行ったり,鑑賞曲と関連付けて曲の特徴や相違点を見つける活動を行ったりした。また,曲想を生かした表現の工夫を追究させるために,個々の思いや意図を楽譜に書き込ませ,仲間と関わり合いながら目指したい表現を明確にさせた結果,曲想に合った表現ができるようになった。

体育・保健体育

自己の目標をもち主体的に運動に取り組む生徒の育成
― 個々の役割を明確にした中学2年ハンドボールの実践を通して ―
春日井市立東部中学校 柴 田 卓 也
 どの生徒も運動に親しむことができるようにするために,体育授業において自己の目標をもち主体的に運動に取り組ませたいと考えた。そこで,中学2年ハンドボールの授業において,ゲームでの動き方の視覚的な理解や戦術的な理解を深めることで,ゲーム中の個々の動きの役割を明確にした。また,活動中に課題や目標を意識させる声かけや学習カードへの朱書きを行った。その結果,生徒は,自分なりの目標をもって学習に取り組むとともに,張り切って体育の授業に臨むようになってきた。
友達と関わり合い,課題解決に向けて意欲的に運動に取り組む児童の育成
― 4年跳び箱運動の実践を通して ―
北名古屋市立白木小学校 丹 羽 有希乃
 跳び箱運動の学習を通して,自分の目当てに向かって,友達とともに協力し教え合いながら,楽しく運動できる児童の育成を目指して研究を行った。本研究では,「自己課題解決」「豊かな関わり合い」に関する二つの仮説に基づいて実践を試み,練習の場を工夫するとともに,視聴覚教材や掲示物,学習カード,アドバイス資料などを活用したり,技を得点化しグループ対抗戦を行ったりした。その結果,友達に技術的な助言をすることができるようになり,自分の課題解決に向けて進んで運動に取り組む児童が多く見られた。
仲間と活発に交流し,主体的に運動に取り組む体育学習
― リレーとハードルを組み合わせた「ハードレー」の実践を通して ―
弥富市立弥富中学校 河 竹  茂
 本研究では,運動に対する主体的な取組を目指して,生徒が苦手と感じているハードルと生徒から人気の高いリレーを組み合わせた「ハードレー」を通して,実践を行うことにした。そこで,生徒が仲間と豊かに関わりながら,ともに学ぶ喜びや達成感,新しい発見や気付きを体得できるように手だてを講じた。その結果,生徒は仲間との交流を通して,課題を明確にしながら,達成に向けて努力し合うことができるようになった。また,一人一人の集団への帰属意識が高まり,運動に対して主体的に取り組むことができるようになった。
仲間との関わりを大切にしながら,主体的に活動する体育学習
― 中学1年「体つくり運動(リズム縄跳び)」の実践を通して ―
蒲郡市立塩津中学校 小 田 大 悟
 保健体育科において,「仲間と積極的に関わり,高め合う生徒」や「主体的に運動を行う生徒」の育成を目指し,体つくり運動の実践を行った。本研究では「仲間と関わる場を設定すれば,互いに高め合い,楽しく運動することができるだろう」と「基本的な運動の習得を工夫をすれば,主体的に運動することができるだろう」という仮説を立て実践をした。「集団演技の導入」「視聴覚機器の利用」「基本運動のドリル化」「技のポイントが分かる資料の提示」という手だてを講じたところ,仲間と積極的に関わる姿が多く見られた。

外国語

思いを英語で生き生きと表現する生徒の育成
― 生徒の意欲と表現力を高める教師支援を通して ―
豊根村立豊根中学校 市 川 晋 司
 生徒が自分の思いを表現したいという意欲を高め,その思いを表出する英文を累積し,活用することを通して表現力を高めたいと考えた。思いを膨らませる活動として「バルーンタイム」を設定し,「ストックカード」を活用して思いを累積した。生徒自作の例文集や教師作成の表現集によって,思いを表出する英文を累積し,実際にその思いを交流する活動で,表現力を高めることができるように工夫した。本実践を通して,自分の思いをもって表現する活動に取り組むことで,生き生きとコミュニケーションに臨む生徒の姿が見られるようになった。

工 業

苦手意識をもたずに楽しく学ぶプログラミングの基礎
― グループ活動によるアルゴリズム体験ゲームを通して ―
愛知県立豊田工業高等学校 小 林 弘 典
 工業高校で学習する情報技術基礎は,情報化が急速に進んでいる現代社会において非常に重要な科目であるが,プログラミングの基礎となる「流れ図」の学習においては,苦手意識をもつ生徒が多い。そこで,実体験を通したワークシートや体験ゲームを,グループ活動を取り入れながら学習していけば,苦手意識をもたずに楽しく学ぶことができるだろうと考え,本研究に取り組んだ。自動販売機でジュースを買う動作を流れ図にすることや,アルゴリズム体験ゲームで学習した結果,苦手意識をもたずに楽しく学ぶことができ,理解度も向上した。

道 徳

人との関わりを深め,よりよく生きようとする生徒の育成
― 公共心をもち,自分の生き方を見つめる「総合単元的な道徳の授業」を通して ―
稲沢市立明治中学校 近 藤  守
 自己中心的な言動の見られる生徒に,人との関わりの大切さを理解させ,よりよく生きようとする意欲をもたせるために,道徳の時間と総合的な学習の時間において,体験的な活動を関連付けた「総合単元的な道徳の授業」を実施した。また,道徳的価値観を明確にするために「心のシート」を活用した。その結果,生徒は,道徳的価値観を高めるとともに,自分の生き方を見つめ直し,よりよく生きようとする道徳的実践力も高めることができた。

総合的な学習の時間
多面的,総合的に考えることのできる児童の育成
― ESDの視点を取り入れた学習活動を通して ―
東浦町立緒川小学校 種 村 修 一
 ESDの視点を取り入れた学習活動を通して,多面的,総合的に考える力を育てたいと考えた。児童の実態として,じっくり考えることや,既習事項を活用して,問題解決の糸口にすることが苦手である姿が見られたからである。そこで,本実践において,ホワイトボードを用いた話し合い活動を通して,自分の考えに根拠をもって説明させる活動を取り入れたり,豊かな体験を通して学んだことを基に,新たな活動を計画させたりしたところ,多面的,総合的に考える姿勢が見られるようになった。
主体的に問題解決に向かう児童を育てる総合的な学習の実践
― インドの子どもたちとの交流を通して ―
安城市立安城南部小学校 二 村 彰 久
 本研究は,小学校6年生の総合的な学習の時間において,主体的に問題解決に向かう子どもたちを育てることを目的とした取組である。インドの子どもたちとの「心がつながる」よりよい交流を目指し,子どもたちが課題を見いだし,解決に向けて考え,話し合い,実行する機会を与え,指導を行った。インドの子どもたちとの壁画共同制作や交流を通し,自分たちの思いや願いを自らの力で実現させていくよさを味わいながら,主体的に活動に取り組む子どもたちの姿が見られた。

特別活動

思いやりの心をもち,自分や友達を大切にすることができる児童の育成
― 助け合い仲良くなれる活動の工夫を通して ―
半田市立乙川小学校 内 藤 健 司
 異学年交流において,6年生の思いやりの心を育て,自己肯定感を高めたいと考えた。本研究では,「学級スローガンを基にし,自己肯定感を高める活動に取り組むことで,思いやりの心をもち,自分や友達を大切にし,誰にでも優しく接することができ,進んで友達や学校のために行動できる児童になるであろう」という仮説に基づいて実践を試みた。「ペア活動」「幸せ貯きん」「サンキューカード」に取り組み,助け合い仲良くなれる活動を工夫することが,思いやりの心を育て,自己肯定感を高めるために有効であることが分かった。
自ら考え,行動する生徒会役員の育成
― 体育大会の計画的な準備・運営を通じて ―
愛知県立豊橋東高等学校 朝 倉 義 人
 本校の生徒会役員は,中学校で生徒会役員や室長を経験している者が多い。しかし,与えられた仕事を的確にこなすことはできるが,受け身で指示を待つ傾向にある。同時に学校行事を動かしているという自覚の低さも感じられる。本研究では,体育大会の準備・運営を通して,自ら気付き,考え,行動する生徒会役員を育成するための幾つかの方策を実践した。その結果,生徒会役員は計画的に準備・運営を進め,主体的に行動し,自己有用感を高めることができた。


生徒指導

人との関わり方を意識した生徒の育成
― アサーショントレーニングによる自己表現と公私の区別を通して ―
日進市立日進西中学校 谷 本 祐 一
 自分の意見をうまく伝えられないことがきっかけで,トラブルにつながったり,ストレスを抱えてしまったりする生徒がいる。このストレスをよくない方法で発散させてしまっている現状もある。本研究では「自己表現トレーニングを行うことで,よりよい人間関係を築くことができるであろう」という仮説に基づいて,アサーションの実践を試みた。また,アサーションの活用で他者の理解と尊重の精神を育み,公私の区別が付けられる生徒の育成を目指した。この取組により良好な人間関係の構築と公私の区別に対する意識の向上が見られた。
ルールやマナーの意味を考え,行動しようとする「粋ないむれっ子」の育成
― 生徒指導的な活動と道徳の時間を関連させた実践を通して ―
豊橋市立飯村小学校 春 田 雅 文
 生徒指導的な活動と道徳の時間を関連させ,自らルールやマナーの意味を考え,行動しようとする子どもの育成を目指して研究を進めることにした。本研究では,「飯村しぐさ広め隊」と「ぴかぴかハートタイム(自問清掃)」,総合単元的な学習「マモル単元」の三つの取組を手だてとして実践を試みた。これらの手だてにより,6年生の子どもたちは,ルールやマナーを意識して行動するだけでなく,周りから信頼されるリーダーとしての自覚をもち,飯村小の取組を次世代に伝えていこうとする姿勢が見られた。
仲間とともにお互いを高め合おうとする生徒の育成
― 安心できる温かな学級集団づくりを通して ―
豊川市立中部中学校 細 川 貴 弘
 学校生活に対する意欲がこの4年間で少しずつ高まっていた。しかし,今年度初めのアンケートでは下降の兆しが見られた。そこで,今まで取り組んできたルールとリレーションの確立に再度着目し,規範意識を高める取組とコミュニケーション能力を高める取組を行った。その結果,自己存在感・自己肯定感につながり,所属意識が高まった。生徒同士の活発な相互作用が建設的な学級集団づくりへと向かい,継続することで成果につながることが分かった。
女子生徒が,農業高校の意義を理解し,学校生活への意欲を高めるための取組
― 社会が求める人間像の育成 ―
愛知県立稲沢高等学校 水 野  晋
 本校の目指す生徒像は,生徒が学校の教育目標を理解し,目的意識と身だしなみ意識を高め,意欲的に学校生活を送ることができる生徒である。本研究は,「学校行事等の取組を通して,生徒自らの気付き,目的意識を高めれば,基本的生活習慣が確立し,学校生活を積極的に送ることができるだろう」という仮説に基づいて,特に女子生徒に着目して実践を試みた。今回面接指導や着こなし講座,挨拶運動等の取組を行ったが,十分な実践時間が取れなかったこともあり,大きな変化は見られなかった。
ホームルーム活動における人間関係形成能力の育成
― 互いに褒め合う活動を通して ―
愛知県立岡崎工業高等学校 古 橋 信 二
 本研究は,キャリア教育で育成すべき「基礎的・汎用的能力」の一つである「人間関係形成・社会形成能力」の育成を目指し,ホームルーム活動において,「褒める」ことをキーにして,「自他の理解能力」と「コミュニケーション能力」の向上を図った。その結果,生徒は自他の理解を深め,よりよい人間関係を築くためのコミュニケーションスキルが向上し,「互いに褒め合う」ことが「人間関係形成・社会形成能力」を高めるために,有効な活動であることが明白となった。
交通安全教育の充実
― 危険予知ワークを生かした交通安全講話を通して ―
愛知県立豊川工業高等学校 荒 木 武 徳
 本校では入学後,1学期の早い時期に「自転車運転免許試験」を実施しているが,その後の学校生活の中で,交通安全意識等が定着しているか否かについて,確認する機会を設けていなかった。そこで,危険な場面や事故場面を想定したワークショップを実施して生徒自身に対応を考えさせ,その後の交通安全講話において,より適切な対応を学ばせることにした。その結果,交差点での一時停止について,多くの生徒の行動に変容が見られた。また,事故時の対応等に関して,新たな気付きを得る生徒もいた。
規範意識を身に付け,よりよい人間関係を構築する生徒指導
― 生徒会組織を活用した生徒の主体的な取組を通して ―
愛知県立岡崎聾学校 田 上 純 也
 本研究では,中学部の生徒指導において,生徒の規範意識とよりよい人間関係を構築する力を高めることを目指した。中学部の職員全体で指導方針,指導方法の共通理解を図り,「規範や人との関わりについての正しい知識や規範意識や人間関係を構築する方法の理解」の指導と「生徒会組織を活用した生徒主体の実践」への支援を行った。その結果,生徒の知識を深められ,生徒全体の課題に対する問題意識を高めることができ,自己指導能力の育成を図ることができた。今後,学校だけでなく家庭や地域社会と連携した指導体制の確立が必要である。


キャリア教育

互いに協力し合いながら責任をもって働くことのできる児童の育成
― 学級運営を支えるさまざまな取組を通して ―
一宮市立奥小学校 寺 沢 和 之
 当番活動や係活動で働くことを意識したり,友達と協力して働くことができたりすれば,将来社会に出て人との関わりの中で,自分の役割に責任をもってやり遂げられるようになると考えた。委員会や働くことなど今後へつながる当番活動や係活動を,友達のよいところを見つける活動や,皆で一つのことをやり遂げる活動と絡めることで,役割意識や責任感の向上を図ると同時に,役割を果たすことの自信や満足感,達成感を味わわせるようにした。その結果,友達を認め,将来のことを考えながら苦手なことでも自ら取り組もうとする児童が育った。
キャリア形成のための資質,能力の向上
― 総合的な学習の時間「キャリア基礎」を通して ―
愛知県立一宮工業高等学校 富 永 建 也
 平成25年度に本校で導入した総合的な学習の時間「キャリア基礎」では,相手や目的に応じて構成や展開を工夫して発表できる生徒,自らの進路実現に向けたPDCAサイクルを常に意識できる生徒の育成を目標とした。その結果,1学期に進路を意識した授業を重点的に実施した上で,社会人や卒業生の事例などを紹介し,生徒に成功や失敗の原因,職業について考えさせることでキャリアプランニング能力を育成することができた。また,多くの生徒にPDCAサイクルの必要性を認識させ,その活用においても意識させることができた。
言語活動の充実による「自己効力感」をもてる生徒の育成
― 「産業社会と人間」におけるキャリア教育の実践 ―
愛知県立岡崎東高等学校 鳥 居 龍 弥
 高校生の職業意識が十分ではなく,コミュニケーション能力や自己肯定感の低いことがさまざまな方面から指摘されている。望ましい勤労観をもち,自己肯定感と自己効力感をもって他者と関わり合う生徒の育成を目指し,総合学科の原則履修科目「産業社会と人間」で行うライフプランの作成や職業インタビューにおいて,発表の機会を充実するなどの言語活動の工夫を試みた。実践を通して,生徒の職業意識や自己表現への自信が高まり,異世代の人と話すことにも自信がもてるようになった。今後は継続的な取組と校内での更なる連携が課題である。
自閉症児の「人間関係形成能力・社会形成能力」の基盤を育てる支援についての一考察
― 遊びの楽しさを味わい,「遊びたい」気持ちを育む実践を通して ―
愛知県立安城養護学校 平 澤 由紀子
 人への反応が微弱な自閉症児について,キャリア教育における「人間関係形成・社会形成能力」の基盤を育むことをねらいとし,特別支援学校小学部の遊びの指導の実践を行った。相手を意識し遊ぶ楽しさを味わい,「遊びたい」という気持ちを伝えることを目指して,PDCAサイクルによる授業検証を行った。実践の結果,教師と遊ぶ楽しさを知り,自ら関わりを求め,「遊びたい」活動を絵カードで伝えることができるようになった。気持ちを伝える意欲や態度の育成には,関わりを意識した丁寧な指導が重要であり,今後もその効果を探りたい。
自信をもち,自らの目標に向かって取り組む力を高める進路指導
― 意欲を高める取組の日々の実践を通して ―
愛知県立豊田高等養護学校 森  基 成
 進路指導において,本校では生徒全員が就労を目標にしているが,そのための努力と,日々の生活での取組が結びついていない生徒が多い。そこで本研究では,意欲を高める取組として,「考えを表に出す」「目標にまい進する」「積極的な行動をする」の三つの目標を掲げた。目標の達成のために仮説に基づいた実践を試みたところ,話すことの楽しさや大切さを感じることができ,目標に向かって努力する生徒を育てることができた。会社側が求める力の育成に近づくことができた半面,「積極的な行動」の育成については課題が残った。


教育相談

高等学校における教育相談体制推進のデザイン試案
― 予防・開発的教育相談を視野に入れた「コラージュ作り体験」の取組を通して ―
愛知県立丹羽高等学校 佐々木 早 苗
 予防・開発的教育相談を視野に入れた「コラージュ作り体験」を教育活動と校内研修に導入することで,教育相談活動の全体をデザインし直すことを試みた。その結果,生徒は自己及び他者理解が促され,他者と積極的に関わろうとする態度が見られるようになった。教職員は,理論と体験の校内研修を通して,生徒への多面的・共感的な理解の必要性を認識することができた。生徒と教職員へのこれらの試みは,相互交流を生み,互いの信頼関係を深め,より効果的な教育相談体制の構築へとつながる可能性をもつことが分かった。

特別支援教育

生徒の参加意欲を引き出す外国語科(英語)指導
― ICT機器を活用した授業改善 ―
愛知県立岡崎養護学校 山 田 恵太郎
 外国語を通じてコミュニケーション能力を育成することは,外国語科の大きな目的である。しかし,外国語(英語)を話すことへの恥ずかしさや苦手意識をもつ生徒は多く,そのことがコミュニケーション能力育成の障害となっている。本研究では2名の生徒を対象に,ICT機器を活用して生徒のやる気を引き出す授業づくりを試みた。実践の結果,生徒が積極的に授業に参加するようになり,コミュニケーション能力や英語の知識の向上が確認できた。ICT機器が活用できる環境を整え,より多くの授業で活用されることが今後の課題となる。
支援機器を活用した「できる」気持ちを育む自立活動
― 肢体不自由の子どもがスイッチやタブレット端末を使用した授業実践を通して ―
愛知県立一宮養護学校 山 田 憲 司
 特別支援学校では,各教科等の他に障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識,技能,態度及び習慣を養う自立活動の領域が設定されている。自立活動において,肢体不自由児に対して支援機器で,手の動きや視覚的な理解を支援すれば,「できる」ことが増え,主体的に学習に取り組めると考えた。スイッチやタブレット端末の活用で,なぞり書きやカメラ操作で意欲的な態度を見せ,「できる」ことが増えて,子どもは自信を付けた。今後の課題として,実態に応じた機器選定を的確に行うことや教師への研修の充実がある。

学年経営

夢ある明日を自分のものにできる生徒の育成
― 自己理解を通して,主体的な力を身に付ける ―
愛西市立佐織西中学校 岸  稚 人
 多面的に自己を理解する調査を通して自己理解を深め,主体的な力を身に付ける手だてとして,「修学旅行における班別分散学習」「ポジションスイッチ授業」「学校祭における縦割り活動とクラス合唱」の場面を設定し,リーダーシップやフォロワーシップの力を養った。これらの活動を通して,自己理解を高めることができ,主体的な力を身に付けることができ,「夢ある明日を自分のものにできる生徒の育成」を行うことができた。
キャリア教育の求める人間関係形成能力の育成に視点を置いた学年指導の研究
― 学年指導計画に基づいたキャリア教育を通して ―
愛知県立東海商業高等学校 宮 岡 正 吏
 多くの生徒は卒業後すぐに就職するため,会社や地域社会において必要な社会性を身に付けることが重要である。そのためには,人間関係形成能力を高めるキャリア教育の推進が強く求められる。本研究は,「学年が主体となりキャリア教育に取り組めば人間関係形成能力を育成できる」という仮説を立て,基本的生活習慣を身に付けさせた後に校外での体験活動を実施する継続的・体系的なキャリア教育を実施した。その結果,人間関係形成能力に必要な有用感と自信を獲得することができた。


学級経営

仲間との関わりの中で,主体的に目標を立てて取り組み,成長していける子の育成
― 自分発見シートを活用した学校行事の取組を通して ―
大口町立大口南小学校 森  弘 明
 本学級の児童は,学級開きをして間もない頃,仲間との関わりの中でそれぞれの個性を認め合い,自らの目標に向けて努力しようとする意識が薄かった。そこで,学校行事の取組を通して,個々の児童の実態に合わせた適切な目標設定を行い,仲間と協力しながら目標に向けて努力できるような環境づくりを行った。「自分発見シート」を使って,自分の目標に向けての取組を振り返りながら,スモールステップで成長していけるような支援を行った結果,個々の児童の成長が促されただけでなく,集団としても成長することができた。
自信と協調性を高め,主体的に行動できる高校生の育成
― ホームルーム活動を通して ―
愛知県立春日井南高等学校 野 澤 真 理
 自らの考えをもち,仲間とともに協力し合い,主体的に行動しようとする姿勢・態度を身に付けさせるために,「目標設定と自己評価の実践」「HRでのショートタイムの実践」を行った。「目標設定と自己評価の実践」により達成感からの自信にはつながらなかったが,「ショートタイムの実践」により個々の意識は変わった。また,生徒の考える「主体性」と教員の求める「主体性」には捉え方の相違があり,教員が求める「主体的に行動できる高校生」を育成するためには,理想的な生徒像を示す必要があると分かった。