特別支援教育相談長期研修


発達障害のある子の保護者の想いに寄り添った就学相談の在り方
―サポートブックを活用した発達障害児への理解・支援について―
愛知県立名古屋聾学校 高 橋 征 吾
 本研究では,発達障害のある人への支援のために作成されるサポートブックについてあまり知られていない現状を鑑みて,保護者や支援者にその意義や内容が伝わるように既存のサポートブックを比較検討した。サポートブックは項目が広範囲で情報量が多いため,保護者が支援者に的確な情報が伝えられるように項目を整理した。これを実際の相談事例で活用することにより,保護者は支援者に的確な情報を伝える自信と安心感の向上につながった。今後も保護者が的確な情報を支援者に伝えていけば就学後の支援に対する不安が軽減するものと考える。


学校生活における社会性を高める支援について
−保護者と学校の連携をサポートする教育相談の在り方−
愛知県立豊田高等特別支援学校 谷 口 英 謙
 障害児の保護者にとって,子どもの障害理解やその養育の方法に対する将来の不安は計り知れないものがある。子どもの成長のために保護者と話し合い,指導方法を工夫し取り組むが,有効な手だてが見つからず,日々,試行錯誤している学校は少なくない。本研究では,小学校高学年の児童の教育相談事例を通して,学校生活における社会性を高める支援について検証した。その結果,個別の教育支援計画及び個別の指導計画の具体的な目標設定と「SSTシート」の活用が,社会性を高めることに対して有効であると確認できた。今後は,対象児の実態に応じた支援の継続的な実践が課題である。


保護者と学校の相互理解を支える教育相談の在り方について
−子どもの将来を見据えた支援体制を考える−
豊田市立豊田特別支援学校 緑 川 岳 央
 本研究では,通常の学級に在籍し,特別な支援を要する児童の個に応じた支援方法を考えるとともに,不安や悩みを抱えている保護者に対して,どのような支援を行っていくのかを検討した。適切な支援のためには児童に対する周囲の理解が必要である。そこで,心理発達検査などから得た情報から支援例を作成し,将来を見据えた手だてについて保護者と一緒に考えたり,学校と指導の共通理解を図ったりした。その結果,総合教育センターを中心に児童に関わる諸機関が,同じ目標をもって支援体制を構築していくことが必要であることが分かった。

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