特別支援教育相談長期研修


移行期に不安を抱える保護者への支援について
―中学校生活へつなげるための教育相談を通じて―
愛知県立豊橋聾学校 我 妻 仁 子
 障害のある子どもの保護者にとって,子どもの環境の変化に伴う不安は大きい。本研究では,サポートブックの作成と障害特性に応じた支援を通して,移行期における有効な保護者支援を検証した。その結果,サポートブックを作成することで,母親が子どもの成長に気付き,中学校へ伝えるべき内容を明確にすることができた。また,障害特性や年齢に応じた支援方法の具体化は,思春期の子どもの教育に不安を抱く保護者の気持ちを前向きに変化させた。教育相談を通して具体的な支援方法と見通しを示すことで,保護者の不安が軽減された。


支援が必要な子どもの就学および入学準備に関わるサポート
―「自閉症教育の7つのキーポイント」を活用した取組を通して―
愛知県立三好特別支援学校 伊 藤 雅 貴
 支援が必要な子どもの就学に向け,保護者は子どもの実態を理解するとともに,支援内容を検討し,「学びの場」を選択しなければならない。特に自閉症スペクトラムの幼児については,知的発達,自閉症特性,感覚処理の特異性等をアセスメントした上で,支援内容を検討することが望ましい。本研究では,高機能自閉症の年長児を対象とし,諸検査とのバッテリーによって,感覚処理の特異性や視覚認知の困難さがあると推定し,課題改善に向けて取組内容を検討した。このことが,保護者が子どもと向き合うきっかけづくりへの支援につながった。


幼児の特性を踏まえた,より豊かな生活を目指して
―諸検査を活用したアセスメントによる教育相談を通して―
愛知県立一宮特別支援学校 渡 邊 美 夏
 障害のある子どものより豊かな生活は,一人一人の特性や教育的ニーズに合った指導・支援を行うことと,それらが見直されながら継続していくことで実現されると考える。本研究では,保護者との面談,行動観察,心理検査の結果などの実態把握を通して,特性を踏まえた支援方法を探り,生活の中で実行可能な形を提案した。そしてそれらが持続していく方法について保護者とともに検討した。研究が進む中でサポートブックの作成に保護者が意欲を見せ,小学校への就学に向けて支援が継続するためのツールが形となり,成果を得ることができた。

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