はじめに


 今年度から新学習指導要領の実施が,小学校を皮切りに順次行われていきます。そこには,社会がどんなに変化して予測困難になっても,子どもたちが自ら課題を発見し,自ら学び,自ら考え,判断して行動し,それぞれが描く幸せを実現してほしいという願いが込められています。
 そのためにも,主体的・対話的で深い学びの視点から「何を学ぶか」だけでなく,「どのように学ぶか」も重視した授業改善の実現と,地域や家庭の協力も得ながら教科等横断的な視点で児童生徒の学校生活の充実を図るカリキュラム・マネジメントの確立が重要となります。この「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」と「カリキュラム・マネジメント」により,各教科等を通じて資質・能力の三つの柱「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」をバランスよく育み,日々の授業での学びを通して,子どもたち一人一人に「生きる力」を育成していく必要があります。
 愛知県総合教育センターでは,このような課題に応えるべく,教育に関する専門的・技術的事項の研究,教育関係職員への研修,教育相談,教育に関する情報収集・提供及び農業教育に関する生徒実習指導などを,学校や教育委員会と連携しながら推進しております。特に,今年度の当センター研究発表会では,「新学習指導要領に基づく授業づくり(2年次)」というテーマを掲げ,「社会に開かれた教育課程」「情報モラルとICT活用」「いじめの未然防止」「地歴公民科指導法」「理科指導法」についての研究成果を発表いたしました。
 この研究紀要(CD-ROM版)には,令和2年度教育研究調査事業から6件の研究を取り上げ,その研究成果を収録しております。本研究紀要が,学校での教育研究,教育実践,研修等の一助となれば幸甚です。また,本研究紀要は,当センターのウェブページにも掲載いたします。ウェブページには,過去の研究成果や各教科の研究成果を教材コンテンツとして提供しておりますので,併せて御活用ください。
 最後になりましたが,この研究紀要を刊行するに当たり,教育研究調査事業に多大なる御協力をいただきました関係者の方々に心から感謝の意を表しますとともに,皆様の忌憚のない御意見,御助言を当センターにお寄せくださいますようお願い申し上げます。


 令和3年3月

愛知県総合教育センター所長 山田 知子