はじめに


  この度の学習指導要領改訂では,2030年の社会と子供たちの未来を見据え,「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」と「カリキュラム・マネジメント」により,各教科等を通じて資質・能力の三つの柱「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」をバランスよく育むことの必要性が掲げられました。教員は新しい時代に求められる資質・能力とは何かを十分に理解し,新たな学びを通してそれらの資質・能力を子供たちに育成し,適切に評価を行うことで学びの改善を図ることが求められています。また,社会の在り方が劇的に変わるSociety5.0の時代やこれまでとは異なる生活様式が求められるwithコロナの時代など,予測困難な時代を子供たちが生き抜いてくためには,ICTを最大限活用しながら,多様な子供たちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と,子供たちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体的な充実を図り,新学習指導要領を着実に実施していくことが求められます。
 愛知県総合教育センターでは,このような課題に応えるべく,教育に関する専門的・技術的事項の研究,教育関係職員への研修,教育相談,教育に関する情報収集・提供及び農業教育に関する生徒実習指導などを,学校や教育委員会と連携しながら推進しております。特に,今年度の当センター研究発表会では,「資質・能力の育成を目指した学びの在り方」というテーマを掲げ,「新学習指導要領を踏まえた学習評価」「EdTechによる『未来の教室』創造」「いじめの組織的な未然防止」「数学科指導法」「英語科指導法」「産業教育(農業,水産)指導法」「産業教育(工業)指導法」についての研究成果を発表いたしました。
 この研究紀要(CD-ROM版)には,令和3年度教育研究調査事業から8件の研究を取り上げ,その研究成果を収録しております。本研究紀要が,学校での教育研究,教育実践,研修等の一助となれば幸甚です。また,本研究紀要は,当センターのウェブページにも掲載いたします。ウェブページには,過去の研究成果や各教科の研究成果を教材コンテンツとして提供しておりますので,併せて御活用ください。
 最後になりましたが,この研究紀要を刊行するに当たり,教育研究調査事業に多大なる御協力をいただきました関係者の方々に心から感謝の意を表しますとともに,皆様の忌憚のない御意見,御助言を当センターにお寄せくださいますようお願い申し上げます。

 令和4年3月

愛知県総合教育センター所長 加藤 文彦