各学校において,学校教育活動の効果を高めるICT機器の適切な活用が図られていることと思います。よく利用されるICT機器の活用例として,プロジェクタとコンピュータを用いる方法が挙げられます。また,タブレット端末の学校教育活動での利用が広がりつつあります。ここでは,タブレット端末と無線LANでプロジェクタと接続して使用する方法を紹介します。
プロジェクタに無線LANユニットを取り付けることで,無線LAN対応プロジェクタとして使用できるEPSON EB-910W(無線LANユニットELPAP07)を用いた検証結果を紹介します(図1)。これらを利用することにより,プロジェクタは無線LANによる接続が可能となり,タブレット端末の映像をワイヤレスで投写できるようになります。また,タブレット端末には,iOS端末としてiPadminiとiPod touch(図2)を使用し,それぞれEpson iProjectionというアプリケーションがインストールしてあります。このようなアプリケーションの入ったiOS端末と,Wi-Fi接続に対応したプロジェクタを利用すると,プロジェクタに無線LANユニットを増設するだけで,電源以外のケーブルが不要になります。
図1 プロジェクタと無線LANユニット
図2 プロジェクタとiOS端末
(1) iOS端末とプロジェクタの接続のための準備
今回使用したプロジェクタには,ネットワーク接続のために二通りの接続モードが用意されています(図3)。iOS端末では,プロジェクタのかんたんモード(図4)を用いることができるため,無線LANのアクセスポイントを経由せず直接プロジェクタと無線で接続することができます。かんたんモードの場合は,特にプロジェクタの設定を行う必要はありません。
図3 プロジェクタの接続モード
図4 プロジェクタのかんたんモード
iOS端末でプロジェクタのSSIDを選択し,プロジェクタとWi-Fi接続します(図5)。
図5 iOS端末とプロジェクタのWi-Fi接続
(2) iOS端末とプロジェクタの接続と投写
iOS端末にインストールしたアプリケーションEpson iProjectionを用いて,プロジェクタとの接続を行います(図6)。
図6 iOS端末とプロジェクタの接続
iOS端末とプロジェクタの接続により,プロジェクタの制御もiOS端末からできるようになります(図7)。
図7 iOS端末によるプロジェクタの制御
iOS端末とプロジェクタの接続により,プロジェクタから写真やドキュメント等を投写することができます(図8)。写真を選択することでiOS端末で撮影した写真やスクリーンショット(図9,図10)などの画像をプロジェクタから投写することができます。また,ドキュメントを選択することでコンピュータなどから取り込んだWordやPowerPoint,pdf,jpegやpngなどのファイル(図11,図12,図13)をプロジェクタから投写することができます。ここで,iOS端末のドキュメントにファイルを取り込むには,iTunesを利用しています(図14)。
図8 iOS端末で投写できるファイル
図9 iOS端末で撮影した写真やスクリーンショット
図10 スクリーンに投写されたiOS端末で撮影したスクリーンショット
図11 iOS端末にコンピュータから取り込んだWordやPowerPoint,pdf,jpgのファイル
図12 iOS端末で選択したWordのファイル
図13 iOS端末で選択したPowerPointのファイル
iPad miniやiPod touchとコンピュータをLightning-USBケーブルで接続し,iTunesを利用します。iTunesでは,iPad miniやiPod touchなどのデバイスを選択後,「App」からファイルを取り込みます。ファイル共有にある「App」で「Epson iProjection」を選択すると,「iProjectionの書類」にWordやPowerPoint,pdf,jpegやpngなどのファイルを追加することができます。このような操作により,iOS端末のドキュメントにコンピュータのファイルを取り込むことができます。
図14 iTunesによるiOS端末へのファイルの取り込み
iOS端末でのピンチインやピンチアウトなどの操作による映像は,プロジェクタからそのまま投写されます。また,アプリケーションEpson
iProjectionのマーカー機能による画面へのラインやコメントなどの書き込みも可能で,それらもプロジェクタから投写されます(図15,図16)。書き込んだラインなどは,消しゴム機能で消すことができます。
図15 iOS端末でのピンチアウト画面とマーカー機能の利用
図16 スクリーンに投写されたiOS端末でのピンチアウト画面とマーカー
ここでは,Android端末とプロジェクタを無線LAN接続して利用する方法を紹介します。
タブレット端末には,Android端末としてNexus7を使用し,iOS端末の場合と同様にEpson
iProjectionというアプリケーションを利用しています。また,Android端末の使用時には,無線LANブロードバンドルータが必要です(図17)。
無線LANブロードバンドルータには,BUFFALO
WZR-HR-AG300Hを使用し,インターネットに接続しない環境で利用しています。
図17 プロジェクタとAndroid端末及び無線LANブロードバンドルータ
(1) Android端末とプロジェクタの接続のための準備
Android端末では,プロジェクタのかんたんモードを用いることができないため,マニュアルモードによる無線LANのアクセスポイントを経由してプロジェクタとの接続を行うことになります。無線LANのアクセスポイントを経由した接続には,プロジェクタのマニュアルモードで無線LANブロードバンドルータに応じたプロジェクタの無線LANやセキュリティーの設定を行います(図18,図19)。また,Android端末と無線LANブロードバンドルータとのWi-Fi接続の設定も行う必要があります(図20)。
プロジェクタのメニューからネットワークを選択し,ネットワーク設定画面より無線LANの接続モードをマニュアルモードに切り替え,無線LANブロードバンドルータのSSIDをプロジェクタに設定します。
図18 プロジェクタのネットワーク設定画面
次に,ネットワーク設定画面のセキュリティーを選択し,PSKに無線LANブロードバンドルータのKEYを入力します。ネットワーク設定を保存してからメニューを終了することで,無線LANブロードバンドルータとプロジェクタが無線で接続されます。
図19 プロジェクタのセキュリティー設定
Android端末と無線LANブロードバンドルータをWi-Fi接続します。
図20 Android端末と無線LANブロードバンドルータのWi-Fi接続
(2) Android端末とプロジェクタの接続と投写
Android端末にインストールしたアプリケーションEpson iProjectionを用いて,プロジェクタとの接続を行います(図21)。
図21 Android端末とプロジェクタの接続
Android端末とプロジェクタの接続により,プロジェクタの制御もAndroid端末からできるようになります(図22)。
図22 Android端末によるプロジェクタの制御
Android端末とプロジェクタの接続により,pdf,jpegとpngのファイルを投写することができます(図23,図24)。
図23 Android端末で撮影した写真やスクリーンショット
図24 スクリーンに投写されたAndroid端末でのスクリーンショット
Android端末でのピンチインやピンチアウトなどの操作による映像は,プロジェクタからそのまま投写されます。また,アプリケーションEpson
iProjectionのマーカー機能による画面へのラインやコメントなどの書き込みも可能で,それらもプロジェクタから投写されます(図25,図26)。書き込んだラインなどは,消しゴム機能で消すことができます。
図25 Android端末でのピンチアウト画面とマーカー機能の利用
図26 Android端末でのマーカー機能の設定
タブレット端末の画面をそのままプロジェクタから投写する方法は,iOS端末からプロジェクタでは,無線ルータとAppleTVでの無線接続,HDMIでの有線接続,Android端末からではHDMIでの有線接続が一般的です。
今回は,その他の方法として,無線でタブレット端末とプロジェクタを直接接続する方法を考えてみました。この方法では,タブレット画面をそのまま表示することはできませんが,画像や各種ファイルを投写することは可能です。なお,タブレット端末により投写可能なファイル形式が一部異なるため,その内容を以下の表にまとめました。
研究での検証結果
プロジェクタ |
JPEG |
Word |
|
iOS端末 |
専用プロジェクタ |
○ |
○ |
Android端末 |
専用プロジェクタ |
○ |
× |
この研究を通し,ICT機器としてタブレット端末を利用することで学校教育活動の効果を更に高めることができると感じました。学校教育活動に応じたコンピュータやプロジェクタ,タブレット端末などのICT機器の適切な活用の研究と実践を今後も進めていきたいと思います。
プロジェクタ取扱説明書
EasyMP Network Projection操作ガイド
EasyMP Monitor操作ガイド
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