1 はじめに
校内LANにおいて,各部屋ごとに市販のローカルルータを設置している場合があると思います。このとき,部屋内のLAN側のフォルダ共有はできますが,部屋を越えてフォルダを参照することはできません。これは,普段セキュリティ対策のために有効ですが,授業の用途等によっては,違う部屋のファイルが欲しい場合もあります。
そこで,ルータの外と内で共有フォルダを参照する方法について示したいと思います。ただしここで述べることは,一時的に使用することを目的としており,普段は,元に戻す等,セキュリティ面に十分注意しておく必要があります。
今回の検証で使用したルータは,「BBR-4HG (株式会社バッファロー)」です。他社のローカルルータでは,設定項目名や動作状況が違う場合がありますので,各機種に合わせた設定をする必要があります。
2 ルータの外から内部の共有フォルダを参照する
ルータのパケットフィルタリング機能により,通常はNBT(NetBIOS over TCP/IP)を通さないように設定されており,そのためにファイル共有を利用できません。この設定を,次のように変更します。
(1) 構成例
(2) 設定方法
WebブラウザでBBR-4HGの設定画面の「ネットワーク設定」を開きます。
(3) 動作確認
3 ルータの内側のパソコンから他のルータ内のパソコンの共有フォルダを参照する
(1) 構成例
(2) ルータの設定
部屋1と部屋2のルータに,「2(2)設定方法1.と2.」のようにアドレス変換ルールを設定します。
(3) 動作確認
4 校務での利用例
利用例1 教員の部屋からパソコン教室の共有フォルダを参照する
(1) 構成例
(2) ルータの設定
ア 教員の部屋の設定
教員の部屋のルータは,「2(2)設定方法1.」だけを設定します。
イ コンピュータ教室の設定
コンピュータ教室のルータは,「2(2)設定方法1.と2.」を設定します。ここでは,教師用パソコンに対して「2(2)設定方法2.」でポートを開きます。
(3) 動作確認
利用例2 外部プリンタへの印刷
(1) 構成例
(2) 外部プリンタの設定
(3) 動作確認
内部のパソコンからテスト印字を行い,動作確認をします。
利用例3 サーバにアクセスする
(1) 構成例
「5(1)構成例」と同じです。
(2) サーバ設定
内部のパソコンからサーバにアクセスするときは,サーバにHTTPやFTPのサービスを起動しておきます。
例えば,内部からHTTPサーバにアクセスするときは,Webブラウザを起動して,IPアドレスを入力します。ただし,サーバの名前が分からないとうまくアクセスできない時は,名前解決の設定が必要です。内部パソコンのlmhostsかhostsを編集します。
名前解決の設定例(hosts)
IP アドレスが 192.168.1.254 のサーバを server1 と設定
※サーバにアクセスするすべてのPCのhostsファイルに,この設定をする。
(3) 動作確認
Webブラウザのアドレスに,「 http://server1/ 」を入れると校内のサーバを見ることができます。
5 おわりに
ルータのセキュリティを操作することは,外部からのアクセスに対して危険を伴いますので十分な注意が必要です。動作をよく理解してから設定を行い,動作確認もするようにします。