交流実践紹介

2年生生活科を中心とした交流
七宝町立伊福小学校・幸田町立幸田小学校
生活科の野菜を育てる単元を中心に、同じ2年生の伊福小学校と幸田小学校、さらに育てた野菜の調理方法を教えてもらうという形で岩津高校と交流を進めた。 

伊福小学校の実践

(1)地域へ情報発信をするための内容をホームページ上にオープンするまで
はじめに、幸田小学校と育てている野菜の様子をホームページ形式でお互いに見せ合った。
本校の児童は、幸田小学校のみんなが育てている野菜が、とてもよく育っていることに驚いていた。特に、サツマイモ畑の葉が大きく育っていることに驚いた。
「どうして、わたしたちもちゃんと世話しているのにこんなに大きくないのかな?」
という声や
「どの野菜にも藁がしいてあるけど、どうしてかな?」
という声があり、うちの学校が今困っているカラスの被害のことと合わせて、メールで感想を送った。
その後、幸田小学校から、幸田小学校ではカラスの被害はないけれど、CDをぶら下げるといいのではとメールで教えてもらい、さっそくみんなでいらないCDを集めて、ぶら下げたところ、その後の被害はなく、9月に無事トウモロコシの収穫をすることができた。
(2) 岩津高校との交流
岩津高校とは、2学期になってからメールで交流を始めた。
サツマイモの収穫のあと、ホームページ形式でいろいろなサツマイモ料理を教えてもらい、「おにまんじゅう」「茶巾絞り」「いもようかん」「あめがらみ」のレシピを元にお母さん方に調理をしてもらい、みんなで「おいもパーティー」をした。
こどもたちは、とても喜んでおいしいといって食べていた。特に、「あめがらみ」が好評で、お母さん方も、家で作ってみたいとたくさんの方がレシピを持って帰られた。
また、育てたトウモロコシでポップコーンを作ったが、子どもの中から塩味だけでなく、いろんな味のものが食べてみたいという声があがり、岩津高校にメールでお願いしたところ、早速、いろいろなポップコーンの作り方を教えていただいた。
今度、お楽しみ会でやってみようと計画している。
秋野菜の、レシピもたくさん教えていただいたので、今後、生かしていきたいと考えている。
(3) 伊福小フェスティバル
11月17日・18日に行われた伊福小フェスティバルでは、今までの交流の様子を交え、サツマイモやトウモロコシを育てた様子を発表し、サツマイモの茶巾絞りやポップコーンを試食してもらうグループもあった。
(4) 地域からの反応
2年生ということでメールを打つことはできないが、教師が子どもたちの声を聞いて打ったり、生活科の記録シートをスキャナーで読み取って添付したりして、交流することができた。インターネットでの交流をすることによって、自分たちの畑の様子や作物の様子を他の学校の様子と比べることができ、今まで何となく見ていたことを注意深くみたり、疑問を持ったりすることができた。今後も、まだ生活科のいろいろな単元を通して交流を続けていきたい。

幸田小学校の実践
1 計画
 幸田小学校、伊福小学校、岩津高校の3校間での交流。メールやホームページを通じて、交流を図る。生活科で野菜作りをしているので、野菜の作り方についての情報交換や、できた野菜を使っての調理の仕方について、情報交換をし、交流をする。
2 実践の経過
 第1回のコンテンツ作成委員会で、幸田小学校、伊福小学校、岩津高校の3つの学校でグループを作り交流することが決まった。小学校2年生と高校で何ができるかということを考えたところ、小学校ではお互いに2年生であることで生活科で野菜を作っていること、野菜を調理して食べることがあるので、岩津高校の食物調理科で作り方を教えてもらえないかということで、交流することができそうだという見通しをもつことができた。
 方法としては、メールとホームページで行うことになった。小学校2年生に自分でメールを打つことはほとんどできないので、先生どうしでのメールによる情報交換、状況をホームページにのせて、状況を伝えあうこと。また、作っている野菜を高校に伝え、小学生でもできそうなレシピを考えてもらい、ホームページやメールで教えてもらうことならできそうだと考えたからである。
(1) メールの利用について
 主に、先生同士でメールのやりとりを行った。メールでの情報交換を行ったのは、これまでに、夏野菜に関すること、秋野菜に関すること、昔の遊びに関することについて情報交換を行った。また、同時に子供の意見や疑問に思っていることもメールに交え、質問を考えて、子供たちの考えた答えを、先生が代行して送信するという場面もあった。次に示すのは、伊福小学校から寄せられたメールと、それに対する幸田小学校からのメールの例である。       
伊福小から
みんなとてもよくそだっていておどろきました。
ミニトマトははやくなったけど、ほかのはみんな小さいです。
とくに、みんなサツマイモばたけの葉っぱがいっぱいなのにおどろきました。
どうして、わたしたちもちゃんとせわしているのにこんなにおおきくないのかな?
それから、どのやさいにもわらがしいてあるけどどうしてかな?
うちは、ぜんぜんしいていないです。
からすにやられないように、わたしたちはかかしをつくろうか、あみでかこったらどうかなとはなしあっていました。
おしえてもらったCDをぶらさげるのならすぐできそうなので、やってみます。
おしえてくれてありがとうございました。
それから、なつやすみのせわをどうしようかかんがえています。
ミニトマトははちにうえたので、いえにもってかえることができるけど、
はたけのせわはどうやってやろうかなかなかきまりません。
幸田小学校のみなさんはどうするんですか。
とれたやさいですが、はじめはやさいパーティをするよていでしたが、
みんなでたべるほどとれなかったので、できませんでした。
ミニトマトは、いえでかぞくとたべて、なつやすみの絵にっきにかきます。
サツマイモとトウモロコシは2学期にある伊福小フェスティバルで
みんなに食べてもらえるといいなと思っています。
それでは、またおたよりします。
さようなら
幸田小から
幸田小学校では、ほとんどからすに食べられることがないです。
食べられないようにするために4つ考えました。
@ CDなどの光るものをつけて、おどかす。
A とりもちをぼうにつけて、つかまえたらどう?
B はっぱなどでかくして見えなくする。
C みをふくろに入れる。
そちらでも考えていることと思いますが、いかがでしょうか?
幸田小学校では、ミニトマトが赤くなり始めたところでこれから毎日とれるところなので、そちらのが早いなあと思います。
このように情報を交換することで、お互いに気がつかなかったことを教えられたり、同じ作物を育てているのに、育ちが違うことに気がつくこともあった。また、負けないようにしっかりと世話をして、たくさんの実をとりたいという意欲も生まれ、交流したことで意識の持ち方が変わったという点で意味のある実践であった。
また、野菜の実践以外でも、伊福小学校と幸田小学校の交流はお互いに2年生で、生活科の中で、昔の遊びも扱っていたので、遊びについての交流も行った。右の例はビー玉遊びについての地域の違いについて情報交換をしたものである。遊びについては地域によって、遊び方やルールが違うなど、いろいろ興味深いことも発見することができ、交流で扱うのも発見することが多く楽しくできるという利点があることがわかった。これは一つの収穫といえる。
幸田小学校→伊福小学校 のメールの一部
 ビー玉の件については、結局、私が小さいときにやっていた方法をそのまま紹介して、遊ぶということに落ち着きました。5つの穴を掘って、順番に回るというものです。
    D      こんな感じで、@の下にスタートラインがあります。
           ・スタートからビー玉を(指に挟んで)とばす。
           ・@の穴に一番近い人から順番に行う。
           ・穴に入ったら、次の穴にいれる
           ・このとき近くに外の人のビー玉があれば、当てることができる
B   A   C 当てれば、次の穴にワープする。
           ・@→A→B→A→C→A→D→A→B→A→C→A→
            @の順に回ります。
           ・無事に最後の@まで来たら、その子は、殺しやになり、どこの
    @      穴にいれてもよく、当てられた子は、ビー玉をとられてしまいま
   ________     す。ちょっと長くなってしまいましたが、こんな感じです。
 岩津高校とは、2年生と小学生ということもあり、直接メールで質問したり答えを出したりということではなく、作った野菜を岩津高校へ伝えることと、感想をメールで送信することを行った。しかし、岩津高校からは、手書きのものをスキャナで取り込んだものをメールで送信してもらうことができ、野菜パーティーで料理するときに利用することができた。その時に、お母さんから、「家でもやってみよう」ということで、実際に家で作ってみた家庭もあり、子供たちが作った野菜を、家でも調理して味わうことができた。
(2) ホームページによる交流 
 幸田小学校と伊福小学校との交流では、ホームページで育っている野菜の状況を示したり活動の様子を交換しあうことに利用した。ただ、ホームページといっても、ちょうど、ウイルスが蔓延しているから注意することが必要だということで、ホームページへの公開ができないことがあったので、ホームページのデータをメールに添付して送信するという形で行ったこともあった。転送したホームページのデータをハードディスクに転送し、それをネットワークを通じて全員で見るというものである。
 
2年生にはホームページを作るということは無理であるので、実際には先生の手によるものであるが、このページを見た伊福小学校の子は、「興味深く見ていた」とのこと。伊福小学校からのホームページの写真を見て、「どうしてこんなにたくさんのミニトマトができるの?」「ミニトマトはポットで作っているんだ」という感想を持つことができた。そして、自分たちも世話をしっかりして、がんばろうという意欲をわきたてることができた。ホームページのデータはどうしても大きくなってしまうので、メールに添付して送信するには無理があるかもしれないので、プロバイダのメール容量を考えながら行った。
 岩津高校との交流では、岩津高校でレシピをホームページにアップしていただくことができたので、早速秋野菜の野菜パーティの折に活用させていただいた。実際にはホームページの内容を印刷し、子供たちに見せて、どんなものを作りたいかを考えさせるところで活用したわけである。実際につくることになったのは、「さつまいもの あめがらみ」。子供たちはこれを「大学いも」と呼んでいた。それと、「シーチキンいり ほうれんそう の たまごとじ」。ほうれん草のかわりに小松菜で調理をしたが、なかなかおいしかった。絵が入っていたので、わかりやすく子供たちが決めた様子であった。それと、「けんちんじる」。おいしそうだという感想が多く、採用となったのであるが、実際に調理してみると、「みそも入れよう」ということになり、みそ汁になっていた。こんな感じで楽しみながら選ぶことができた。2年生ではあまり料理についてのイメージがわかず、知っているものを選んでいたという感じであるが、こういうページがあると、いろんな場面で使うことができるので、大変いいと思った。
3 考察と課題
 小学校2年生という段階でもメールを通じて交流ができるということがわかった。しかし、実際にメールを打つということではなく、子供の言ったことや書いたことを教師が代筆するという形になっていた。
 子供の書いたものをそのままスキャナで取り込んで送信すると言うことも考えたが、メールに添付するとファイルの大きさが大きくなってしまうので、代筆という形をとった。今後、ブロードバンド化が進み、大容量のものでも短時間で転送できたり、プロバイダのメール容量の制限が大きくなってくれば解決されると思われるので、そうなれば、自筆のもので示すようにしたい。
 課題としては、以下のことがあげられる。
・今回は2年生どうしで行ったが、できれば高学年での交流の方が、もっと深い交流ができて適切と思う。2年生では、どうしても目の前のものを対象とすることが多いからで ある。
・小学校と高校との異学年交流を行ったが、高校の先生に作ってもらったページを見て、感想を転送するという交流までしかできなかった。今後ブロードバンド化が進んでテレビ会議システムが普及してくれば、リアルタイムで指導してもらうとか、いろいろ活用方法が見つかると思う。その意味では、今後も異学年交流の実践は続けていきたいと思う。

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