交流実践紹介 異校種間交流

養護学校と高等学校の交流
愛知県立佐織養護学校・愛知県立平和高等学校
 愛知県立佐織養護学校と愛知県立平和高等学校は、数年来、交流学習を続けている。その実践を紹介したい。平成15年度は、佐織養護学校高等部の2年生の生徒と平和高等学校のボランティア部の生徒が中心となって交流活動を行った。 

愛知県立佐織養護学校・愛知県立平和高等学校の実践

1 交流学習について

5月授業交流(佐織養護学校にて両校の生徒とも体育の授業を受ける)
7月授業交流(佐織養護学校にて両校の生徒とも国語の授業を受ける)
10月平和高校の文化祭にて佐織養護学校の生徒の作業学習の品物の販売
12月寿敬園(老人福祉施設)の慰問(レクリエーションを披露)
佐織町総合福祉センターにてレクリエーションを披露

(1) 「一緒に風船運びゲームをしようよ」〜5月の授業交流〜
 自己紹介から始まり、その後体育の授業の風船運びゲームを行った。
 自己紹介ではお互いに照れてしまってなかなかお互いに話をすることができなかったが、風船運びゲームをするころから打ち解け合うことができた。風船運びゲームは二人一組になって新聞紙を広げて持ち、その上に風船を乗せて、風船が落ちないようにして走って、リレーをするという内容であった。
 風船運びゲームの後は、全員で「世界で一つだけの花」を歌った。佐織養護学校の生徒たちは振り付けとともに楽しそうに歌い、平和高校の生徒も照れながらも歌うことができた。
 授業交流は、両校の生徒とも毎年楽しみにしている行事である。
(2) 「野外活動は楽しかったよ」〜7月の授業交流〜
 前回と同様に5、6時間目の授業を両校の生徒が一緒に受けるという形で行われた。今回は、この授業交流の直前の佐織養護学校の2年生の生徒たちが体験した野外活動のVTRを視聴し、それを題材として授業が行われた。
 5時間目は、生活単元学習として野外活動のVTRを視聴した。野外活動の楽しい様子が伝わってくるVTRを見て、みんなで感想を述べあった。
 6時間目は国語の授業である。佐織養護学校の2年生6講座の授業に平和高校の生徒が2〜3人に別れて一緒に授業を受けた。クラスにより、ラジオドラマ作り、感想文の作成というように授業が展開された。授業ではお互いに意見を言い合い、楽しい歓声で盛り上がっていた。
(3) 「作品ができたよ」〜平和高校での文化祭の物品販売〜
 平和高校の文化祭において、佐織養護学校の生徒が作業学習で製作した品物を販売した。プランター台、鍋敷き、雑巾、すだれ、ペーパーウエイトなどの作品を展示し、販売した。この物品販売は文化祭において好評であった。この際に、次のような電子メールのやり取りが行われた。
2003年10月1日(水) (愛知県立佐織養護学校より)
 私たちが、作業学習で制作した製品の販売をよろしくお願いします。
 できばえはあまりよくないですが、一生懸命に作りました。

2003年10月8日(水) (愛知県立平和高等学校より)
 佐織養護のみなさんへ
 文化祭で販売しました。
 プランター台は、すべて売れました。
 実は、僕も買って、今、家の外で母が使っています。

 
作業学習の作品
 
(4) 「みんな楽しんでくれるかな」
   〜老人福祉施設の慰問活動における両校の活動〜
 老人福祉施設である寿敬園と佐織町総合福祉センターにおいて、両校が共同で慰問を行い、そこでレクリエーションを披露した。
 佐織養護学校は、校歌の合唱や琴と和太鼓で「さくらさくら」の演奏や「ヤングマン」「きよしこの夜」「島唄」「あわてん坊のサンタクロース」を振り付けして踊った。それらに対して高齢者の方から一緒に手拍子をしてもらったり、あたたかい盛大な拍手をいただいたりした。
 平和高校は、ハンドベルで「翼を下さい」「少年時代」「聖夜」を演奏した。また、手話で「Tomorrow」の曲を披露した。さらに、ペンシルバルーンで犬やライオンなどを作成した。ペンシルバルーンの作品をもらった高齢者の方たちは笑顔でいっぱいであった。
 レクリエーションの終了後は、両校の生徒がペンシルバルーンを作ったり、交換したりして交流を深めていた。
 
レクリエーションの様子
 
2 成果と今後の課題
 授業を通じて両校の生徒が交流することができた。両校の生徒ともいつも笑顔で振る舞っていた。生徒たちからも「仲良く接することができた」「楽しく過ごすことができた」といった声が聞かれた。お互いに一生懸命に取り組む姿勢を見て刺激を受け合ったようである。
 年に5回の活動のため、なかなか生徒同士の交流が難しいので、さらに交流をすすめるために、電子メールの交換を提案したところ、両校の生徒から「ケータイ(携帯電話)を使うの?」という声が聞かれた。現在の携帯電話の普及により、生徒たちは電子メールというと、携帯電話のメールを思い浮かべるようである。今回の学校のコンピュータを使用したメールのやり取りに対してやや戸惑いが見られた。
 また、今年度12月に訪問した老人福祉施設におけるレクリエーションを、今回はそれぞれの学校で取り組んだが、より交流を深めるために、来年度以降、共同で手話などのレクリエーションを実施し、両校の生徒が一体感を持って取り組むことをしていきたい。

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