交流実践紹介 海外との交流

カンボジアへの教育支援活動と国際交流活動について
愛知県立平和高等学校
 本校では、平成15年度よりカンボジアへの教育支援活動を行っている。内戦の続いたカンボジアでは、校舎などの教育施設の整備が遅れ、子供たちの文房具も不足している。こうしたカンボジアへの教育支援として本校の行った活動、またこのことをきっかけに行われた国際交流活動について紹介したい。 

愛知県立平和高等学校の実践

1 教育支援活動と国際交流活動の経過
(1)平成15年度
授業・行事
    など

実施時期

内 容

文化祭

10月

・教育支援活動として、学校施設建設のための募金活動とカンボジアの子どもたちが使用するための不用学用品の提供を校内で呼び掛ける。模擬店の収益を募金とする。

・カンボジアの支援活動をされている方を招き、カンボジアの現状と支援活動の方法などについての話を聞く。

街頭募金活動

12月

・学校近くの大型商業施設で2日間実施し、広く人々に募金を呼びかける。

(2)平成16年度
授業・行事
    など

実施時期

内 容

街頭募金活動

8月

・学校近くの大型商業施設で2日間実施し、広く人々に募金を呼びかける。

文化祭

9月

・募金活動、不用学用品の提供やアルミ缶回収を校内で呼び掛ける。模擬店の収益を募金とする。

・カンボジアの支援活動をされている方を招き、その方が撮影されたビデオを通じてカンボジアの現状と支援活動について学ぶ。

・2年生の国際理解教育類型の1クラスがカンボジアについての展示発表を行う。

総合的な学習の時間

10月

・カンボジアについての学習(位置、言語、民族、内戦の歴史など)を、2年生で実施する。

総合的な学習の時間

11月

・カンボジアへ派遣された経験のある青年海外協力隊OGの2名を本校に招き、カンボジアの現状についての話を聞く。

総合的な学習の時間

11月

・カンボジアから来日中の留学生3名を本校に招き、カンボジアの言語(クメール語)、カンボジアの文化についての話を聞き、カンボジアの遊びを通じて国際交流活動を行う。

街頭募金活動

12月

・学校近くの大型商業施設で2日間実施し、広く人々に募金を呼びかける。

授業
(「総合英語」)

1月

・カンボジアの大学で学ぶ大学生とメール交換、ビデオメール交換を行う。


2 教育支援活動と国際交流活動の実際(平成16年度)

(1)教育支援活動
 平成15年度は、カンボジアへの教育支援活動として、学校施設建設のための募金活動や、カンボジアの子供たちに使用してもらうため不用学用品の提供を呼び掛けることが主であった。内戦の続いたカンボジアでは、資金不足の問題もあり、校舎などの教育施設の整備が遅れ、子どもたちの文房具も不足している。この現状を本校の生徒会が10月の文化祭で全校生徒に知らせた。そして、この文化祭期間中に校内で募金活動が行われた。さらに12月に学校近くの商業施設において、広く一般にも募金を呼び掛けた。平成16年度は、募金活動、不用学用品の提供の呼び掛けに加えて、さらに校内でアルミ缶回収を呼び掛け、それも募金の一部とした。

(2)国際交流活動
 国際交流活動を行うにあたり、主として2年生を対象に実施することとし、最初からカンボジアの方との交流は難しいとの判断から、次の各段階を経て進めることとした。

・カンボジアについて知る
・カンボジアの体験を聞く
・カンボジアの学生と国際交流をする

 実際に何を行ったのか、それぞれについては以下の通りである。

ア カンボジアについて知る=文化祭における展示発表
  本校では平成14年度より国際理解教育類型を設置している。その2年生のクラスの「総合英語」の科目で、カンボジアの位置、使用言語、住む人々の暮らしや生活習慣や貧困の原因の一つと考えられている内戦の歴史について生徒が学び、調べ、考えた。それについてB紙(模造紙)にまとめたものを文化祭で展示した。

イ カンボジアの体験を聞く
 =総合的な学習の時間での国際交流活動
  
(青年海外協力隊OGとカンボジアから来日中の留学生を招く)
  カンボジアへ派遣経験のある青年海外協力隊OGの2名とカンボジアから来日されている留学生3名を招き、それぞれの立場から話をしていただいた。青年海外協力隊OGの方は、実際に現地で見たカンボジア社会の現状、特に日本では考えられないような貧困についての内容を中心に話をされた。留学生の方は、カンボジアの言語(クメール語)、カンボジア社会の現状やカンボジアの文化について話をされた。さらに留学生の方がカンボジアの子どもたちの遊びを紹介され、実際に生徒とともに一緒にその遊びを楽しんだ。
ウ カンボジアの学生と国際交流をする
 =授業(「総合英語」)におけるメール交換・ビデオメール交換を通じて
 先の総合的な学習の時間で来校された青年海外協力隊OGの紹介で、カンボジアの大学で日本語を学ぶ学生とメール交換・ビデオメール交換を行った。本校の2年生の1クラスとカンボジアの大学の日本語講座の1クラスの間で実施した。インターネットの環境を考慮して、メール交換は代表者のみとし、そのほかの生徒は一対一で相手を決めて海外文通という形をとった。手紙は日本語と英語を両方併記した。また、ビデオメールとして、本校の生徒一人一人がビデオに向かって、日本と英語で自己紹介を行い、それをカンボジアへ送った。

3 生徒の感想

・小さい子どもがお母さんからお金をもらって募金をしてくれたり、また多く の方から励ましのお言葉とともに募金をしていただきました。このことを通じて、人に対して親切にできるようになったり、思いやりや優しさの気持ちが心の奥から出てくる気がしました。私たちが気持ちを込めて呼びかけて集めた募金が、カンボジアへ渡ってほしいと思います。(街頭募金参加者1年女子)
・カンボジアについて知っていたことは、数年前まで内戦をしていたことと経済的にとても貧しい国だということぐらいだった。話を聞いて、一番印象に残ったことは、カンボジアという国は僕が想像していたよりも何倍も貧しい国だということだ。学校へ行きたくても行けない人が多い。日本に生まれた僕たちは幸せで、きちんと教育を受ける義務があると思った。(総合的な学習の時間受講者2年男子)
・カンボジア内戦でたくさんの人が被害に遭い、苦しい思いをしました。今でもカンボジアの人たちは地雷で足など体の一部をなくし、時には死んでしまうこともある事をカンボジア人の留学生の方から聞きました。本当に残酷だと思います。一日でも早く、カンボジアの人たちが安全で暮らしていける世の中になるといいと思います。(総合的な学習の時間受講者2年女子)
・カンボジアの方に手紙を書くことやビデオレターの撮影はとても楽しかったです。外国の方とやりとりをするのは初めてで、外国の方が日本に興味をもってくれることに喜びを感じました。私は最初、カンボジアのことはよくわかりませんでしたが、少しずつ興味をもちました。今回の海外文通を楽しんでいますし、面白いと思います。これからも外国の方と交流する機会があれば、積極的に参加したいと思います。(総合英語受講者2年女子)

4 成果と課題

 カンボジアの教育支援活動は平成15年度より実施しているが、生徒の関心は今一つであった。しかし、平成16年度は国際交流活動も加わり、カンボジアについての理解が深まるにつれ、生徒たちの活動もより熱心になった。特に商業施設で実施した募金活動は一般の方から温かい励ましとともに多くの浄財が寄せられ、参加した多くの生徒が感激していた。
 カンボジアの国際交流活動については、当初はあまり乗り気でなかった生徒も青年海外協力隊OG、カンボジアからの留学生の方との交流を通じて、カンボジアに対する理解、関心を持つようになっていった。その中でカンボジアの学生との交流については、インターネットの環境の都合もあり、海外文通の形が主となった。生徒達は手紙を書く経験が乏しいことに加えて、海外への手紙ということから最初は二の足を踏んでいた。しかし、実際に取り組むと多くの生徒が楽しんでいた。またビデオメールでは、やはり初めての経験という生徒が多かった。多くの生徒が、照れながらも楽しんで撮影を行っている様子であった。こうした生徒の授業の取り組み方や授業後の生徒の感想文から判断して、より身近にカンボジアという国を感じることができるようになったと確信している。
 しかし、このカンボジアの学生との交流の打合せの際に、本校のパソコンの調子が悪く、やりとりが3週間ほどできなかったことがあった。そのため、先方に心配と迷惑をかけてしまったことがあった。また、インターネットを使ったテレビ電話なども検討したが、本校にその設備がなく断念をした。
 一方で、1・3年生については、カンボジアについて学ぶのは、文化祭が中心になってしまい、2年生ほどには身近にカンボジアについて考える機会がなかったと言える。来年度以降、全学年で考える取組ができる方法を考えていきたい。


交流実践のはじめにもどる