交流実践紹介 異校種間交流

阿久比中学校と町内の4小学校
阿久比町立阿久比中学校
 
 阿久比町には、4つの小学校があるが、中学校は1つしかなく、町内の児童は、全員が阿久比中学校に入学し卒業していく。町では、昨年度半ばより、すべての町内の幼稚園と保育園、小学校、中学校のカリキュラムに一貫性をもたせ、中学校卒業までに、学力や人間性、健康や体力といった「生きる力」を身に付けた生徒を育成するため、0−15歳の学校・家庭・地域が連携した保育、教育を目指した「阿久比町幼・保・小・中一貫教育プロジェクト」を進めている。今年度に入って、小学校と中学校の先生がお互いに授業を見合ったり、中学校の先生による小学校への出前授業や、小学校・中学校の先生の保育園実習など、盛んに交流が行われている。生徒についても、夏休みに母校の小学校に出向き、「中学校生活説明会」を行ったり除草作業に参加したりなどのボランティア活動が行われた。また、2月末には、3年生による保育園や幼稚園での清掃ボランティアが予定されている。また、逆に中学校の学校公開日に、小学生や保育園児・幼稚園児が見学に来たりもしている。このような交流活動の中で、より簡単に、より密に交流するための効果的なインターネット利用について探っていきたいと考えた。

阿久比中学校の実践

1 交流計画
時  期 内     容
7月 実践の計画を立てる
「中学校生活説明会」に対する質問を小学校からメールで送ってもらう
8月 「中学校生活説明会」を4つの小学校で行う
12月 技術科で中学校説明のプレゼンテーションを制作し、小学校へ送る
1月 「中学校説明会」の感想や再質問を小学校からメールで送ってもらう
返事をメールで送る

2 交流の実際

(1) 「中学校生活説明会」に対する質問を小学校からメールで送ってもらう

 中学生によるボランティア「中学校生活説明会」を夏休み中に計画し、事前に小学生からの質問や話してほしいことなどを小学校の先生にまとめてもらい、電子メールで送ってもらった。
 小学生からの質問 (主なものを抜粋)
【生活】
 ・どんな行事があるのか。
 ・小学校に比べて楽しいことは何か。
 ・髪型などのきまりは厳しいか。
 ・登校時刻、下校時刻、一日のスケジュールはどうなっているのか。
 ・いやなこと、怖いこと、大変なことは何か。
 ・どんな校則があるのか。
【友達について】
 ・他の小学校の子と仲よくなれる方法を教えてほしい。
 ・仲のよい子がいなかったり、違う小学校の人たちばかりのクラスになったらどうした
  らよいか。
【部活動について】
 ・どんな部活動があるのか。
 ・部活動は大変か。
 ・希望の部活動に入部できるのか。本入部はいつごろか。
 ・どの部活動が面白いか。お薦めの部活動は何か。
 ・朝、部活動の始まる時刻は何時か。
 ・夏休みや冬休みの活動はどれぐらいやるのか。
【勉強について】
 ・勉強は難しいか。難しい教科は何か。
 ・宿題は多いか。どのくらい出るのか。
 ・テスト勉強は大変か。
 ・教科の数は幾つか。
【その他】
 ・先輩は怖いか。
 ・どんな先生がいるのか。
 ・給食はおいしいか。

(2)「中学校生活説明会」の準備をする

 「中学校生活説明会」のボランティアを募り、小学校からのメールを参考にしながら、どういうことを話したらよいかを考えさせた。



中学校説明会の様子

(3) 「中学校生活説明会」を行う
 8月25日(金)に、4つの小学校で、「中学校生活説明会」を行った。小学校によってはボランティアの希望者が少なく、3人で行ったというところもあったが、他は7〜8人で行った。4小学校とも6年生ほぼ全員の参加があり、内容の濃い説明会となった。

(4) 技術・家庭科で中学校説明のプレゼンテーションを制作し、小学校へ送る

 技術・家庭科の授業にソフトウェアの利用についての学習があり、そこで「阿久比中学校を紹介しよう」というテーマで、プレゼンテーション作りに取り組んだ。その中から4人の生徒の作品を選び、メールに添付して各小学校に送った。学活の時間などにコンピュータ室でその作品を見てもらい、中学校の様子をより詳しく知ってもらった。また、作品の感想や再質問を小学校からメールで送ってもらい、その返事をメールでさらに送り返し、一層の交流を図っている。
                        《プレゼン作品の例》
                         PDF形式   

                          

成果と今後の課題 

 <成果>
 小学生からの質問のメールから、どんなことを小学生は知りたいのか、そしてどんなことを中学校生活説明会で話したらよいのかが分かった。また、中学校説明のプレゼンテーションを制作することによって、自分たちの学校のことをより深く考えたり知ったりすることができた。小学生にとっても、これから入学する中学校について、メールやプレゼンテーションを通して興味をもち、理解することができ、中学校生活に期待する気持ちをもつことができた。

 <課題>
 阿久比町は愛知エースネットに接続しているので、テレビ会議システム「Meeting Plaza」を使うことができるという利点を生かして、リアルタイムで小学生の質問に中学生が答えるテレビ会議を行うことができたらと考えたが、結局メールのみの交流になってしまった。テレビ会議システム「Meeting Plaza」の使い方をマスターできたらよかった。また、今回は「阿久比町幼・保・小・中一貫教育プロジェクト」に絡めて、町内での交流を考えたが、距離的に近いので、インターネットの教育利用という面ではメリットを生かし切れていなかった。もっと離れた地域との交流を考えるなど、インターネットを活用した効果的な交流の可能性を更に探っていきたい。

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