交流実践紹介 異校種間交流

合唱を通した地域との交流の継続
豊田市立朝日丘中学校
 
 本校が日ごろから親しんでいる合唱を通して、地域との交流を深めようと一昨年度より実践を積んできた。今年度は、恒例行事となっている小中音楽交流会において、インターネットを活用しようと考え、実践を行った。

朝日丘中学校の実践

1 交流計画
時  期 内    容
10月 職員会議にて、小中合唱交流会でのインターネットの活用について提案する
11月上旬 小中合唱交流会の実行委員会を開催する
11月下旬 合唱交流のためのWebページを設置する
12月上旬 学区の3つの小学校の先生方と打合わせを行う
12月22日 小中合唱交流会を本校学区内の小学校と行う

2 交流の実際

(1) 本校のWebページに、合唱への取組を紹介する

 本校の恒例行事となっている合唱交流会は、3つの小学校の小学6年生に、本校2年生が自分の出身校へ出向き、小学生に発声練習の指導をしたり、一緒に合唱したりするという活動である。3校で実施するため、時間を調整して直接会う機会を交流会当日以外に事前に取るのは難しく、内容も限られたものにならざるを得なかった。そこで、直接交流の機会をより充実した活動にするために、事前にインターネットを用いた間接的な交流を行うことを考えた。


合唱のためのWebページ
(2) Webページの内容
@合唱コンクールの様子を紹介
 交流会当日には、各小学校に訪れた生徒が合唱を披露する。しかし中学生の合唱に対する姿勢をあらかじめ伝えておきたいと考え、今年度本校で実施された合唱コンクールの様子をWeb上に動画で公開した。約1分程度の映像ではあるが、気持ちを込めて一生懸命に歌う姿は、わずかな時間でも十分に伝わると考えた。なお個人情報に配慮して、交流ページは他のWebページから移動できないようにするとともに、パスワードをかけた。



Webページを見る小学生
Aパート別の練習曲を公開
 交流会で中心となるのが、小学生と中学生が一緒に「夢の世界を」を合唱する場面である。「夢の世界を」は、本校の合唱コンクールの課題曲になっているため、中学生にとってはよく理解できている曲である。しかし、小学生にとっては初めての曲であり、当日までにパートごとの音を確認するなどの十分な練習を行うことが難しい。そこで、手本となる音声データをWebページ上に公開した。Webページ上にデータがあれば、一斉授業だけでなくとも、児童がいつでもどこでも練習が可能であるし、先生が一人でもコンピュータ室などでパート別に分かれて一斉に練習ができるなど、様々な練習形態が考えられる。

(3) 児童の反応

 各小学校で、交流会の前にWebページを見てもらった。児童が食い入るように合唱コンクールの映像を見たり、パート別の音を口ずさんだりと、興味をもって閲覧していたようである。また、あるクラスではWebページを見た後の感想を書いてもらったところ、中学生の合唱に対する驚きだけでなく、自分も歌えるようになりたいなどと、合唱への意欲の高まりの感じられる感想が多かった。
 以下、幾つかの感想を紹介する。

 ぼくは、インターネットで朝中の合唱を見ました。どうやったら、あの素晴らしい声にすることができるのかが、とっても不思議に思います。ぼくは、早くこの声のようになって、歌を歌いたいです。

 私は、今日、朝中のホームページで朝中のみなさんの合唱を見ました。みなさんの真剣な顔や、美しい歌声がコンピュータ室に響きました。みなさんの声と私たち6年と比べるとまったく違った声でした。
 私たちは、まだ、「アルト」「ソプラノ」の分かれた歌しか歌ったことがないので、少し興味がわいてきました。来年はよろしくお願いします。

 朝中の合唱をインターネットで見た感想は、まず、すごくきれいな歌声で合唱しているなあと思いました。アルトもソプラノもどっちも声が出ていて一つの合唱になっていて、私もこんな風に歌えるようになりたいなあと思いました。 

(4) 交流会での様子
 交流会は、本校生徒の司会進行で、和やかな雰囲気の中で進められた。一緒に発声練習をしたり、パート練習をしたりする場面では、各グループのリーダー役を務めた生徒たちの努力もさることながら、児童の参加への姿勢が大変よく、わずかな時間でも合唱として形ができるところまで仕上げることができた。

交流会でのようす

交流会後の小学生の感想

成果と今後の課題 

・昨年度までは、本校の生徒実行委員が各小学校との事前交渉のために電子メールを活用するという程度であった。今年度はWebページ上に合唱コンクールの動画や合唱曲のパート別の音声データを公開し、交流会前に児童に閲覧してもらうことで、生徒・児童の全員がかかわる活用を試みた。児童の感想には、合唱への関心や意欲が高まったことの伝わるものが多く、また当日の様子を見ても、例年に比べ児童の姿勢も意欲的であったことから、今回の試みは大変有効であったと評価できる。

・交流活動そのものは、小・中学生ともに意義のある活動である。しかし、時間的な制約などが多く、交流活動に二の足を踏んだり、せっかくの機会を十分に活用できなかったりすることがある。そうしたときに、今回のような間接的な交流を補助的に実施することで、交流活動をより充実した活動にすることができる。

・今回設置したWebページは短期間での公開を想定していたので、セキュリティについてさほど気を遣う必要がなかったことから、比較的容易に設置することができた。またパスワードについても、簡単に設置する方法がWeb上に公開されていたので、それを参考に設置することができた。長期にわたって公開するために凝ったつくりにするのに、多くの時間を使ったりセキュリティに大いに気を遣わなければならなかったりすることを考えると、今回のように交流の機会に合わせて短期間に設置するというのもWebページ活用のよい方法であると思われた。

・今回初めての試みということもあり、各小学校の先生方との事前の打合せが十分とは言えなかった。今後も、交流する両者にとって負担にならない程度にWebページでの交流活動を充実・継続させ、更によりよいものにしていきたい。


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