交流実践紹介 異校種間交流

小学校と中学校の異校種間交流
飛島村立飛島小学校・飛島中学校

 飛島村は小学校・中学校共に1村1校の村であり、4年後には小・中学校の校舎を同じ敷地内に新築し、一貫教育を始める。それに向けて、今年度から小・中学校の交流活動を行い、互いに交流を深める実践を始めている。交流活動の一番の中心行事である小中合同運動会の前に、中学校の先生による小学校6年生への出前授業や、数学の授業における中学校3年生と小学校6年生との合同授業、中学校3年の家庭科と小学校1年の生活科との交流授業が行われた。実際に中学生や小学生が相手校に出向いて交流することは、人と人との温かい心の触れ合いができる反面、移動などで授業時間を割くことや、互いの日程調整などで制約も出てくる。そこで、互いが直接会って交流することと、インターネットを利用して交流することをその状況に応じて使い分けることによって、小中学校間の交流がより密なものにできればと考えた。

飛島小学校の実践

1 交流計画
時  期 内    容
5月 実践の計画を立てる。
小学校1年1組と中学校3年A組との交流会「おにぎりパーティー」を行う。
小学生が中学生にお礼の手紙を送る。
小学校・中学校の各Webページに交流会の様子や、感想を載せて見合う。
6月 小学校1年2組と中学校3年B組との交流会「おにぎりパーティー」を行う。
小学生が中学生にお礼の手紙を送る。
小学校・中学校の各Webページに交流会の様子や、感想を載せて見合う。
7月 小学校1年生と中学校3年生との合同授業「おもちゃづくり」を行う。(小学校生活科・中学校家庭科)
小学生と中学生とが互いのバディに手紙を書き、感想交流をする。
9月 「小中合同運動会」を行う。
11月 「飛島村ふるさとフェスタ」で小学生と中学生とが合同合唱をする。
〜2月 小学生が中学生に、お礼と卒業に向けてのメッセージをメールで送る。

2 交流の実際

(1)小学1年生と中学3年生との交流会「おにぎりパーティー」

 小・中学生が交流を深め、互いに認め合えることができる関係をつくっていくために、各校が以下のような目当てをもって交流した。



○小学校のめあて
・人と人との温かい触れ合いの素晴らしさを実感する場とする。
・自分にできることを自分でやってみることで、自分に自信をもつとともに、今後の生活の中で生かすことができる力を育てる。

○中学校のめあて
・様々な人との出会いと触れ合いを通して培ってきた、人と人とが温かく「かかわる力」を試す場とする。
・人の喜びを自分の喜びと感じ、相手の目線に立ってものを考えることの大切さを再確認する。


 
小学校と中学校で、5月下旬と6月上旬に1回ずつ小・中各クラスが交流会をした。小学1年生と中学3年生はともに2クラスで人数も同じであったので、事前に小学校と中学校の担任で打合わせし、各児童・生徒で1対1のバディをつくった。中学生が手作りの名刺を付けて小学生の教室へ迎えに行き、自己紹介をして互いの名前を覚え合った。その後、家庭科室で中学生からおにぎりの作り方をやさしく教えてもらい、自分でも一生懸命作っていった。
 会の後で感想交流をし、小学生は中学生にお礼の手紙を絵や文でかき表して送った。また、各校のWebページに会の様子や、その後の感想を載せて互いに見あった。小学生は、自分たちが中学生と交流している様子をWebページで見て、改めて楽しかった交流会を思い返していた。

おにぎりパーティ



飛島小学校のWebページより 

(2)小学校1年生と中学校3年生の合同授業「おもちゃづくり」

 中学校3年生の家庭科「保育」の学習と小学校1年生の生活科「おもちゃづくり」の学習で合同授業を行った。前回の「おにぎりパーティー」での交流に続いて再び、小学生と中学生が一緒に活動する場を設けることで、交流を深めることをねらった。
 中学生があらかじめ下準備してきたおもちゃの作り方を教わりながら、一緒におもちゃを完成させた。そのおもちゃで、楽しく遊び交流した。前回のおにぎりパーティーでやさしくしてくれた中学生との再会を喜び、小学生と中学生の距離感も縮まった。会の後、小・中学生がお互いに自分のバディにあてた手紙を書き、読み合った。
 また、Webページに合同授業の様子などを載せて、事後の中学生の振り返りの感想を小学生が見ることもした。

おもちゃづくり

(3)小学生が中学生にメッセージを電子メールで送る

  今までの「おにぎりパーティー」や「おもちゃづくり」「小中合同運動会」などを通して、お世話になった中学3年生に対するお礼や卒業に向けての激励のメッセージを電子メールで送った。小学校の1年生は、2学期からコンピュータのワープロ機能の操作を覚え、やっと短い文を打つことができるようになってきたころであり、たどたどしい操作ながらも一生懸命に中学生にメッセージを打っていた。

【メールの例】
中学3年生のみなさんへ
おにぎりパーティーがたのしかったです。
Aさんが、わたしのできないことも、やってくれました。
とてもありがたいと おもっています。
まだ こころのなかに しまってあります。
中学3年生のみなさんへ
ブロックこうりゅうかいのときは、ありがとう。
いっしょのグループになれて、すごくうれしかったよ。
もうすぐ4月になったら、Bちゃんは、こうこうにいっちゃうね。
でも、がんばってね。またあおうね。

電子メールの送信
成果と今後の課題 

 中学生と小学生が直接会って、交流をある程度深めていったところで、電子メールを使い、メッセージを送る活動をしたので、小学生は相手の顔を思い浮べながら心のこもったメッセージを送ることができた。また、同じ村内の小学校、中学校ではあるが、実際にお互いの学校へ行き来して交流をもつためには移動に時間が取られたり、安全面で配慮が必要であったりするが、電子メールの利用によってそういう問題点をカバーすることができた。また、Webページに交流の様子をアップすることで、児童、生徒だけでなく、保護者や地域の人にも活動の様子を知ってもらうことができた。
 小学校1年生は、文字を自分で書くことから学習がスタートしており、パソコンのワープロ機能を使って文を打ち、電子メールで送るというような活動は、どうしても学年の後半になってやっとできる程度である。そうした学習の段階を考慮しつつ、小学校の1年生でも手軽にできるようなインターネットの教育利用法を更に探っていきたい。

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