交流実践紹介 地域との交流

地域との交流
日進市立日進西中学校
 
 技術・家庭科の授業の中で『技術とものづくり「かんな削り」』という分野がある。かんなを扱うことは生徒にとっては初めての経験で、高度な技術を要する工具となる。そこでインターネット上のテレビ会議システムを使って、専門家である大工の方(ここでは「匠」と称する)にかんなの扱いについての指導をしてもらおうと企画した。本来なら学校に来てもらい指導をして頂くのだが、本校は学校規模が大きく、8クラスあるため、日程調整が難しい。そこで、匠が現地からネットワークを使って指導するという方法を考えた。

日進西中学校の実践

1 交流計画の計画
時  期 内   容
4月 交流相手を探す
5月 交流相手との打合せ システムの構築・確認
6月 最終打合せ
6月下旬 授業実践

2 交流の準備
 ネットワークシステムの構築については専門の業者に依頼した。このシステムは防犯システムで最近使われるようになってきた映像配信による監視システムを使ったものである。簡単にシステムの概要を説明すると、以下のようになる。
【映像】
 Webカメラを使って映像のみをインターネット回線で送る。
  〈発信側〉Webカメラ→パソコン→ルータ
  〈通 信〉一般ネットワーク
  〈受信側〉ノートパソコン→画面
【音声】
 通常の携帯電話を使い、入出力をマイクとスピーカで行う。
このように、音声は双方向であったが、画像については、匠の様子は見えるが、学校の教室の様子は映し出されない状態で行った。

3 交流の実際
(1)匠との打合せ

(2)指導の流れ
T 題材
 技術とものづくり 「かんな削り」
U 授業構想
 生徒の実態
            ・ものづくりに興味のある生徒が多い。
            ・作品を作ったり、作業をすることを楽しみにしている。
            ・のこぎりやかんななど工具を使った経験がほとんどない。
 本時の目標
            ・かんなを正しく使うことができる。
            ・かんなという道具が先人の知恵の結晶であることに気付く。
             
V 本時の指導
段階 生徒の動き 指導上の留意点
復習 前時までの学習内容を確認する。
 
・かんなの各部の仕組み
 ・刃の調整方法
 ・かんな削りの正しい姿勢
・かんなの置き方や取扱方法について十分注意する。
導入 本時の学習課題をつかむ。
 
「かんな削りの技を習得しよう」
 
 
かんなくずを観察する
 ・匠のかんな削りの様子を見る。(TV会議システムの利用)
 
・かんなくずを観察する。
 ・グループでかんながけについて話し合う。
・匠に近づくためには、どのような点に気をつけたらよいのかを考えさせる。



・かんなくずの厚さをマイクロメータで調べさせる。
・どのような点に注意してかんな削りをすればよいか相談させる。
展開 かんな削りをする
 ・分からないことがあれば、匠に質問する
(TV会議システムの利用)
・かんな削りをさせ、匠のかんなくずに近づけさせる。
・かんなの刃の調節についてアドバイスをする。
・裏金の調節にも目を向けさせ、調節させる。
・うまく削れた時と、そうでない時の削った面も観察させ、違いに気付かせる。
まとめ 結果を報告する
 ・班ごとにかんな削りの成果を発表する
 ・感想をワークシートに記入する
・かんなくずの薄さだけでなく、削りかすの大きさにも着目させる。
本時のまとめをする
・同じように正しく作業してもなかなかうまく削れないことに気付かせ、再度かんな削りに対する心構えを確認する。
・単なる知識や技能の習得に終わらず、今後の自分の生活に生かしていけるようにする。
成果と課題 
 本来なら学校に匠を招待し、直接、生徒の目の前で授業をしていただくのが一番良い方法であると思うが、学校規模、日程調整、お互いの行き来等を配慮すると、テレビ会議システムを使う方法も良いと思う。今回は、最近一般にも普及されてきた防犯システムの一部を利用したが、これでも十分できることが分かった。
 生徒は匠の技に直接触れることはできなかったが、匠のすごさは十分伝わった。匠の技を見せることと教師が説明するだけでは授業の展開も大きく変わる。この授業を機に、生徒のかんながけの姿勢や取組に対する意欲は高まった。
 課題としては、映像画質が良くなく、固定カメラであったため、細部にわたって見ることができなかったことと、音声と画像が別回線であったため、タイムラグが多少でてしまったことがあげられる。

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