交流実践紹介 県立学校交流
テレビ会議システムを活用した交流 |
愛知県立豊田高等養護学校 |
本校は軽度の知的障害のある生徒たちを教育する県下に2校しかない産業科の高等養護学校である。校訓は「勤勉・感謝・自立」であり、その意味は次のとおりである。 勤勉・・・まじめに学習し、何事も持続して行うことができる力をつける。 感謝・・・思いやりと優しさをもち、感謝の気持ちで人に接する。 自立・・・勤勉な態度と感謝の気持ちを支えとして、職業自立することを目指す。 交流では、体育祭・文化祭の学校行事をはじめ、文化部の陶芸交流会や寄宿舎の納涼会等に地域の人たちを招いたり、近隣の保育園・幼稚園との芋掘り交流を行ったりしている。また、学校周辺の美化活動を年2回行い、老人クラブの人たちとの交流も行っている。 しかし、学校間交流については、部活動の練習試合以外には行っておらず、今回の愛知エースネットを活用したテレビ会議システムにおける交流の実践を行うにあたっては、愛知県総合教育センターの協力をいただき、安城農林高等学校農業クラブとの交流を実践することになった。 |
豊田高等養護学校の実践
1 交流計画 | |||||||||||||||||||||||||||
時 期 | 内 容 | ||||||||||||||||||||||||||
6月 | 交流相手探しと交流内容の検討 | ||||||||||||||||||||||||||
7月 | 総合教育センターの紹介により、安城農林高校農業クラブと交流の可能性について検討する。 | ||||||||||||||||||||||||||
9月 | 安城農林高校とテレビ会議システムのテストを行い、両校と総合教育センターの間においてシステムの利用が可能であることを確認する。 |
||||||||||||||||||||||||||
10月 | 自己紹介カードと質問事項をまとめる。 | ||||||||||||||||||||||||||
11月 | テレビ会議システムを活用した交流会開催 (本校1年2組9名の生徒と安城農林高校農業クラブ6名の生徒) |
||||||||||||||||||||||||||
2 交流の実際 | |||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||
イ 豊田高等養護から安城農林への質問事項 |
|||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||
ウ 交流後のアンケート(参加生徒:安城農林6名、本校9名、合計15名) (ア) 交流は楽しかったですか。 (はい:15名、いいえ:0名) (イ) テレビ会議システムは便利だと思いますか。 (はい:15名、いいえ:0名) (ウ) もう一度テレビ会議システムを使った交流をしてみたいですか。 (はい:12名、いいえ:1名、どちらとも言えない:2名) (エ) もう一度交流をするならば、どの学校と交流をしたいですか。 (小学校:2名、中学校:3名、高校:7名、特別支援学校:2名、未記入:1名) (オ) 上記の学校とどのような内容の交流をしたいですか。 【本校】 a 部活動について b 授業について c 学校生活全般について 【安城農林高校】 a 農業に興味があるかどうか。 b 学校で流行っていること。 c 同じ農業高校の授業について d 農業や将来について e 地域活動について (カ) テレビ会議システムを交流以外にも活用できると思いますか。 (はい:8名、いいえ:4名、どちらとも言えない3名) (キ) 交流以外では、どんなことにテレビ会議システムを活用したいですか。 a 他の農業高校との意見交換 b 学習発表会 c 家庭への緊急連絡 d 企業の情報収集 |
|||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||
(1)成果 一部の部活動以外ではあまり同世代の生徒達と接する機会のない本校の生徒にとっては、大変よい機会であった。初めは、恥ずかしさから、何を質問したらよいか分からず、戸惑っている生徒も見られたが、センター所員とのリハーサルを経験したことで、本番はしっかりと自分の質問をすることができていた。また、交流の最後には、スクリーンを見ながら、安城農林高校の生徒に対して手を振る姿があり、テレビ会議システムならではの光景であると実感した。 本校のほとんどの生徒はパソコンの操作経験があり、様々な機器に対しても興味をもっていることから、もう一度テレビ会議システムを利用した交流を行いたいと思っている。 安城農林高校の先生からも、「メールや電話とは違い相手の姿を見ながら会話ができる交流は斬新であり、生徒達の興味・関心も高いようであった。実践を積み重ねることで、テレビ会議システムが発展することを期待している」との感想をいただき、第2回目の交流の可能性を探ることとした。 (2)今後の課題 ア 機器の操作について テレビ会議システムを行うにあたり、事前の準備はとても重要である。今回も相手校の先生とは電話とメールで何度も連絡を取り合い当日を迎えたが、それでも、交流の最中にパソコンがシャットダウンするというトラブルがあった。まずは、機器の操作について、教師の十分な研修が必要である。 イ 生徒の実態に即した交流内容について 知的障害養護学校では、体験的な直接交流が中心であるため、「テレビ会議システムを利用した交流」をイメージしにくいようであった。また、コミュニケーションが苦手な生徒も多いため、目的を明確にするとともに内容も具体的に分りやすくする必要がある。 ウ 交流日時の設定について 教育課程の違いにより、交流の時間設定が難しい。本校は授業として実践していきたいが、高校では、教科が単位制であることや授業変更が極めて難しいことにより、授業としての交流は難しい。今回のように授業後の設定となると、校内的には会議や部活動の調整が必要となる。 エ 県外、国外との交流の可能性について 生徒の興味は県内よりも、むしろ県外や外国にある。実践を積み重ねることにより、愛知エースネットの枠を超えた、交流の可能性についても研究が必要である。 |