交流実践紹介 小学校間交流

同じ市内の規模の違う小学校との交流
新城市立千郷小学校

 新城市内には20の小学校があるが、本校のように全校生徒が700名を超える小学校もあれば、全校生徒が10~20名程度の小学校もある。当然、大規模な学校と小規模な学校では、授業や行事への取組はもちろん、清掃活動や係活動などの日常的な活動に至るまで、取り組み方には大きな違いが見られる。
 また豊川の中流域に位置し、周囲に広い田園地帯や工業団地のある本校と、豊川や矢作川水系の上流域に位置し、山に囲まれた環境にある学校とでは、周りの環境にも大きな差がある。
 そこで、同じ「新城市」に住みながら、自分たちとは全く異なる環境で学習をしている同学年の児童の様子を知ることで、自分たちの学校生活を見直し、さらに広い視野をもって自分たちの地域を理解する機会にしたいと考え、新城市立鳳来西小学校との交流を企画した。

千郷小学校の実践

1 交流計画
段 階 活  動  内  容
10月 交流校の担当者との打合せ
11月 交流校のWebページを閲覧する。
行事の様子や、学校周辺の様子を見て、疑問に感じたことや感想を手紙に書いて送る。
12月 交流校に、手紙に対する返事を書いて送ってもらう
1月 返信を読み、改めてWebページを閲覧して交流校の様子を知り、お礼の手紙を書く
2 交流の対象 
 本校の5年生(37名)と、鳳来西小学校の5・6年生(10名)
3 交流の実際 
(1)交流を計画するにあたって

 ① 交流校の負担をなくす。

 今回のような交流が実現すれば、子供たちにとって、とても意義があるのだが、交流相手が「インターネットを利用する」ことに二の足を踏んでしまうと、交流は実現しない。そこで、交流相手の負担を極力減らす必要があると考えた。
今回は、だれでもすぐに取り組めることを目的に、
・市内のどの学校でも既にWebページが設置されている。
・新たに機器の接続や設定の必要がない。
という条件に照らし合わせて、「お互いの学校のWebページを閲覧し、質問や感想を交換する」という方法で交流活動を実施することにした。

 ② インターネットを利用するメリット

 同じ市内とはいえ、本校と交流校との間には、
・直接移動する公共交通機関はない(移動するには、バスのチャーターが必要)
・車を使っても、移動に40分程度かかる
というように、簡単に訪問できる環境にはない。しかしインターネットを使えば、それぞれの学校の生活の様子が、子供たちの目の前に映し出され、移動手段を手配することなく、お互いの様子を分かり合える。
新城市立千郷小学校Webページ 新城市立鳳来西小学校Webページ
授業の様子(コンピュータ室) Webページを熱心に見る児童
(2)交流の様子

 ① 千郷小の児童が鳳来西小のWebページを閲覧する。

 1クラス37人学級の本校の児童にとって、全校児童数が26人の鳳来西小学校は、自分たちの想像できない世界と感じたようだ。Webページを見るにつれて、驚きや疑問が次々と湧いてくるようだった。
〈千郷小の児童が見つけたことや感じたこと〉
・全校26人、5・6年でも10人しかいなかった。私たちのクラスよりも人数が少なかった。
・人数が少ないのに、私たちと同じことをやっているから、すごいと思った。
・学校内ではなく、道路でマラソンをしている。
・千郷に比べると、自然が多い。
・学習発表会を2学年合同で同じことをやっていた。
 これらの思いや疑問に感じたことを手紙に書き、鳳来西小学校へ送ることにした。

 ② 鳳来西小学校からの返事

 鳳来西小学校では、千郷小学校からの手紙を受けて、千郷小学校のWebページを見たり、手紙に対する返事を書いてくださった。
〈鳳来西小の児童からの返事〉
・全校児童が26人でも、さみしくありません。
・人数が少なくて困るなぁと思うことはありません。
・学習発表会の劇のセリフは長かったです。一人5役やる人もいたので大変でした。
・ふだんは5・6年10人で授業をやっていますが、一週間に1回ずつ、全校26人で音楽と体育をやっています。
 このような返事を受け取り、千郷小の児童はまたまた驚きの連続であった。感謝の気持ちを込め、お礼の手紙を書いたり、再びWebページを閲覧することにした。

4 成果と今後の課題 
(1)児童の感想を通して

 今回の交流を通して、子供たちは次のようなことを感じた。
・5年生と6年生が同じ教室で勉強していることに驚きました。
・全校で授業をやるなんてびっくりしました。私たちだったら、すごく大変だと思います。
・人数が少人数だからできることがいっぱいあるのを知った。
・新城市内に、私たちのクラスよりも人数が少ない学校があってびっくりした。
・私たちよりも人数が少ないのに、すごく勉強を楽しんでいました。
 自分たちの生活している状況しか知らない子供たちにとって、同じ市内でも全く環境の異なる小学校の子供たちが、人数が少ないことを全く気にせず生活していることは、新鮮な発見であったようだ。今後は、そこから一歩踏み込んで、「人数が少なくても頑張っている子たちがいる。だから私たちも負けずに頑張らねば」といったことまで、考えさせる指導を考えていきたい。

(2)今後の課題

 今回は、交流校に負担が少なく取り組みやすい方法を取ったが、直接会話をしない分、驚きはあっても、自分たちを振り返って、深く考えることまで踏み込むことはできなかった。今後インターネットを利用したテレビ会議システムを活用し、その中で取り組んでいきたい。
 また、今回は交流を開始しようとした矢先、コンピュータ室のサーバーがダウンしてしまい、交流が1か月ほど先延ばしになってしまった。このようなトラブルにも対応できるよう、ゆとりをもった計画をすることも大切である。

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