交流実践紹介 地域との交流

碧南市ものづくりセンターとの交流
地域の匠に学ぶ
碧南市立新川中学校

   新川中学校の技術部は,例年,碧南市で開催されている「碧南市創意くふう展」に作品を出品している。生徒たちは,自分のアイデアを具体的な作品にしていくことで,ものづくりの楽しさや,やりがいを感じている。しかし,そのアイデアを作品に結び付けていく過程で,製作のための基礎知識が不足している生徒も少なくない。
  そこで,碧南市ものづくりセンターとテレビ会議を行うことで,製作するときの具体的な相談や工夫するポイント,作業のコツなどを直接先方の指導者に相談することで,製作への意欲を高め,さらに作品の出来栄えも向上させることができると考えた。


1 交流計画の計画

時 期

内  容

5月

創意くふう展への出品作品のアイデアを考える

6月

アイデアを練り,人に伝えられるようにする

7月

テレビ会議操作練習と通信確認
第1回碧南市ものづくりセンターとのテレビ会議

8月

作品製作を行う

9月

作品展へ出品する
作品の手直しをする

11

第2回碧南市ものづくりセンターとのテレビ会議

2 交流の対象

 本校技術部の生徒(12名)と,碧南市ものづくりセンター内発明クラブ指導員

3 交流の実際

(1)テレビ会議の操作練習と通信確認

    ア 日  時 平成22年7月21日  10時30分〜

    イ 参加者 新川中学校技術部生徒(数名)及び教員
          ものづくりセンター内発明クラブ指導員
    ウ 様   子

写真1 通信確認の様子

エ 生徒感想 

  ○操作は難しいかなと思ったけど,ボタン一つで会話できた。とても簡単だった。
  ○分かりやすく伝わるようにはっきり話したい。聞き取りやすいように大きな声でゆっくり
        話したい。
  ○たぶん緊張するので,言いたいことを決めておいて,緊張しないようにする。
  ○初めてテレビ会議を体験してみて,すごいと思った。
  ○ものづくりセンターの方に話すので,内容が伝わるように準備したい。
  ○操作上の心配がある。音声の途切れ,遅れなどが少し気になった。
  ○ものづくりセンターの先生方に教えてもらうから,いいイメージを伝えたい。
  ○相手の顔を見ながら会話ができるから,電話より分かりやすいと思った。

(2)第1回 テレビ会議

  ア 日 時 平成22年7月22日 11時15分〜12時15分

  イ 参加者 新川中学校 技術部生徒(11名)及び技術部顧問
       ものづくりセンター所長  
              ものづくりセンター内発明クラブ指導員 2名

   ウ 会議の基本的な流れ
      @自己紹介 A作るものの説明 B作る理由 C作り方の説明 D質問事項
      Eアドバイスをもらう
        (仕組みについて/可能か不可能か/作る上での工夫点/具体的な作り方)

   エ 様子と生徒の感想

写真2 アイデアを説明している様子 写真3 アドバイスを受けている様子


 <個々のアイデアへのアドバイスに関する生徒の感想>

  ○洗濯ばさみで,360度掃除できるようにすることが大切だと分かった。
    ○時計とタイマーのアドバイスをもらい,作り方を変えようと思いました。
    ○ペットボトルの後ろに口をつける方法を教えてもらった。立てて使うための工
   夫をするように,アドバイスをもらった。
    ○フックの取り付け方法が分かった。
    ○取っ手の取り付け方法が分かった。
    ○ハンガーの取り付け方法が分かった。
    ○温度計が割れると危ないので,温度を感知するものを使うようにアドバイスを
      もらった。
    ○「かさ」と「つえ」の動きが連動してうまくいかないことが分かり,アイデア
      をもう一度考え直したいと思った。
    ○どれぐらいの大きさがよいか,ジョイントの方法を考えたい。

      11人中11人が,テレビ会議は役に立ったと答えた。
      具体的に何をどう作ったらよいかが分かり,早く作品を作りたいという意欲が
    増した。

(3)第2回 テレビ会議

      ア 日 時 平成22年11月12日 15時45分〜16時30分

      イ 参加者 新川中学校 技術部生徒(12名)及び
技術部顧問 
           ものづくりセンター内発明クラブ指導員 2名

      ウ 内 容 
          @愛知県少年少女創意くふう展の応募作品のご高評
        一人一人の出品作品へのコメント

        A来年度へ向けてのアドバイス
        ・ネーミングに気を付けること

        ・完成度を上げること
        ・他人が欲しくなるものを作ること

        ・全国をねらう気持ちをもつこと
        ・審査員の方へアピールできるもの
        ・いつでもアイデアをメモできるようにしておくこと

        B生徒からの質問・お願い
        ・県の作品展でよかったものを紹介してください。
        ・今までの作品展の出品作品の傾向はありますか。
        ・太陽光をエネルギーにする作品づくりのアドバイスはありますか。

        Cお礼の言葉

    エ 様 子

写真4 ご高評を受ける様子 写真5 全体指導を受ける様子
   
写真6 質問をしている様子 写真7 最後にお礼をする様子

オ 生徒感想

○ものづくりセンターの先生からたくさんのアドバイスをいただきとてもうれしかっ
  たです。いただいたアドバイスを基に,来年はもっと気合を入れて取り組みたいと
 思いました。来年は,指導員の先生に教えてもらったエコかかわるものが作れたら
 いいと思います。私たちが参加できる創意くふう展は,来年が最後なので,来年度
 は県大会以上に選出されるような作品づくりができればいいなと思いました。

○今回のテレビ会議では,審査員の方の年齢を意識した説明文を作ることや,出品さ
  れている作品に共通する特徴について,詳しく教えてもらいました。来年の創意く
 ふう展では,全国大会にいけるような作品を作りたいと思いました。

○今年は,創意くふう展に出品しませんでした。今日のテレビ会議でいろいろなこと
 を教えていただき,来年こそは参加したいし,役立つ発明品を作っていけたらよい
 と思います。今からが勝負だと思いました。

○今日のテレビ会議で,エコ関係の作品に対しては別の賞があることを知りました。
 また,膝が悪い人が靴下を楽にはける機械に関するアイデアが,少し浮かんできま
 した。次の創意くふう展も頑張ります。

○今回のテレビ会議では,高校でも創意くふう展に参加できることを知りました。ま
 た,自分の作品に足りないものを知るとてもよい機会になりました。


(4)生徒の作品(一部)


簡単ものほし

新川中学校2年

紐を引くとハンガーが手前に引き寄せられ,洗濯物を簡単に取り込めます。蝶番で横にも動かせます。


伸縮ホッチキス

新川中学校1年

通常30cmまで伸ばせば,50pまでホチキスで留められます。短い所は先を持って留めます。


安全フック1号,2号

新川中学校2年

   側を歩いていても引っかからない安全なフックです。下に置く用と壁にかける用に,1号と2号を作りました。


目覚ましカーテンDX

新川中学校2年

  目覚まし時計が鳴るとセンサーが反応してカーテンが開きます。いくら寝坊の僕でも起きられます。


温度がわかる哺乳瓶

新川中学校1年

  サーモテープでミルクの温度がすぐ分かります。お母さんが少しでも楽になるように作りました。


ころころステッキ☆

新川中学校3年

  ラチェットの付いたタイヤは,前へは進むけど後ろには進みません。散歩のときに使えば転びません。


直感ゲームDX

新川中学校3年

  順にスイッチを押していき,スイッチが全部ONになると動きます。運の悪い人が驚くゲームです。


盗まれない傘

新川中学校2年

  ジョイントの仕掛けで,柄を外すと同時に,傘が開かないようになるので,盗難防止に効果があります。

成果と課題 

(1)成果
     ものづくりセンター内発明クラブ指導員の方にテレビ会議を通して指導を受けるこ
    とで,生徒たちは,自分のアイデアを作品に結びつける方法が分かったり,材料を決
  めたりすることができるようになった。特に,2回目の交流では,生徒の作品それぞ
  れについて一つ一つ丁寧に評価してもらい,どの点が不足しているかを具体的に教え
  ていただいた。このことも,次年度の製作の意欲が一層高まった大きな理由である。

       今回は,碧南市内にある「ものづくりセンター」の方からの指導であったが,テレ
    ビ会議システムを使用すれば,もっと多くの方からの指導を受けることも可能になる
    であろう。

(2)問題点
     今年度の交流を終えて,考えられる問題点は以下のとおりである。
    @ 言葉だけでの質問では,よく分からないこともある。そのようなときは,少々も
      どかしさを感じた。
    A 画像や音声があまり明瞭でなく,分かりにくいときがあった。
    B 指導をしていただく指導員の方との時間調整が難しいときがある。

(3)今後の課題
    @ 生徒が自分のアイデアを説明するための言語能力が不足している。主体的な言語
   活動を図る指導も,併せて実践する必要がある。
    A 生徒の工具や作業の知識,技能が不足しており,製作までに時間がかかる。今後
   も引き続き,基礎をしっかり身に付けさせたい。
    B 指導員の方に教えてもらう姿勢はよいが,頼り過ぎる傾向もみられた。自分のや
      りたいこと,考えていること,作りたいものなどをはっきりさせていく指導が必要
   である。


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