交流実践紹介 異校種間交流

将来通うことになる中学校との交流
中1ギャップの軽減を目指して
蟹江町立須西小学校

   テレビ会議システムを活用すれば,離れた場所にいる人と交流することができる。今年度については,このシステムを活用して,同じ地区にある中学校について学習することを目的とした交流活動を計画した。
 交流相手には,将来,本校の児童が通うことになる蟹江北中学校の1年生を選び,須西小を卒業した先輩の話を聞かせたり,小学校にはない行事や授業などを紹介してもらったりした。この取組を通して,中学校生活への意欲と期待をもたせ,中1ギャップの軽減につなげたいと考えた。


1 交流計画の計画

時 期

内  容

8月

交流校との打合せ

9月

蟹江北中学校について知りたいことの調査と,交流前アンケートの実施

10月

テレビ会議のリハーサルと,テレビ会議システムを利用した学習活動
学習内容の振り返り

11月

ビデオ鑑賞(蟹江北中学校の授業と行事の様子)

12月

テレビ会議のリハーサルと,テレビ会議システムを利用した交流活動
交流後アンケートの実施と,交流校への感謝状の送付

2 交流の対象

 本校5年生と,蟹江北中学校生徒(1年の有志)

3 交流の実際

(1)テレビ会議システムを利用した学習活動(10月)

   蟹江北中学校の先生に,中学校の施設,行事,授業,部活動,委員会,授業時間,先
 生方,校則のことなど,中学校生活に関する内容について教えていただいた。一通り説
 明を聞いた児童は,疑問が生じたようで,いくつか質問をしていた。学習を終えた後,
 教えてい
ただいた内容をまとめ,後日,振り返り活動を行った。

(2)ビデオ鑑賞(蟹江北中学校の授業と行事の様子)(11月)

   5月から11月の間に,本校の教員が中学校にうかがい,授業や行事の様子を随時ビデ
  オに撮りためておいた。それらをまとめ,児童に解説をまじえながら鑑賞させた。本校
  を卒業していった先輩が映ると歓声が起こり,興味をもって鑑賞していた。

(3)テレビ会議システムを利用した交流活動(12月)

    あらかじめ集約した質問を蟹江北中学校に伝えておき,それらの質問に答えてもらう
  形態の交流を行った。先輩と直に交流したのはこれが初めてだったが,中学生の心遣い
  もあって,意欲的に交流することができた。特に,先方の生徒たちが,分かりやすい説
  明をしてくれたことで,より理解を深めることができた。

4 交流の様子と交流前,後の意見及び感想  〜交流前,後アンケートから〜

 写真1 学んだことのまとめ  写真2 質問の答えを聞いている児童
   
 写真3 中学生に質問をする様子  写真4 質問に答える蟹江北中の生徒
   
 写真5 北中学校に贈った感謝状(表紙)  写真6 北中学校に贈った感謝状(中身)

◇交流前の意見と交流を終えての感想 〜交流前,後アンケートから〜

 <交流前>
 
  交流する前に,事前アンケートを実施した。アンケートでは,交流することへの気持
 ちとそのように思った理由,知りたいことなどを記入させた。

      アンケートの結果,交流することに意欲的な児童が,大半を占めていた。どの児童も
 中学校への強い関心があり,その理由としては,「中学校について知りたいことがある
 から」という回答が最も多かった。児童の知りたいことは,部活動,行事,勉強,施設
 に関することが多かったので,それらが分かるように交流を計画した。

 <交流後>
      交流を終えた後,事後アンケートを実施した。アンケートでは,交流を終えての気持
 ちと,そう思った理由,中学生に向けて頑張りたいことなどを記入させた。

      アンケートの結果,「交流できてよかった」「中学生になりたい」という感想が大半
 を占めていた。その理由としては,「中学校について,たくさん学べたから」「不安が
 減ったから」「先輩が優しかったから」などの理由があり,どの理由からも,交流が有
 意義であったと感じることができた。中学生になって頑張りたいことは,部活動,勉強
 やテスト,友達づくりと回答した児童が大多数を占めていた。

 

3年間の研究概要及び研究を終えての成果と感想 

   研究の1,2年目は,将来,同じ中学校に通うことになる,同じ中学校区の学戸小学校と交流をした。テレビ会議システムを活用して,構成的グループエンカウンターの活動を画面越しに行ったり,手紙の交換をした。
 3年目の本年度は,本校の児童たちが通うことになる蟹江北中学校の先生や生徒から,中学校生活について詳しく教えていただいた。これら,3年間の実践を通して得た成果及び課題についてまとめておきたい。


<研究の成果>
    
研究の成果としては,本校の児童に,中学校生活への関心や意欲をもたせることがで
  きたことである。3年間のそれぞれの活動に対して,大変意欲的に取り組んでいる様子
  からも,本研究には一定の成果があった。
    また,本研究を通して,校内外に関わらず,将来,同じ中学校で出会う児童,生徒と
 事前に交流することは,中1ギャップの軽減に対してとてもよい影響を及ぼすことが明
 らかになった。


<研究を終えての感想>
    研究を終えての感想の一つとして,機器のトラブルが何度かあり,円滑な交流をする
  ことが難しかったことが挙げられる。機器のトラブルにより,予定していた時間よりも
  長くかかったり,交流日を延期しなくてはならない事態になった。
このことについては
 活用頻度を多くし,設定に慣れることで,一定の範囲内で解消できると考えている。
  また,パソコン,プロジェクタ,外部スピーカー等,接続する機器についても,設定
 に慣れる必要があるだろう。複数の顧問で交流に参加して,不測の事態に対応するため
 の,校内の協力体制も必要である。
  しかし,これらを差し引いても,児童が意欲的に活動していた様子や,アンケート結
 果から,3年間の研究はとても有意義であったと感じている。


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