交流実践のはじめにもどる>

中学校社会科の授業を通しての実践
単元〜生産のしくみと金融〜を通して
東浦町立北部中学校

   テレビ会議システムの活用の在り方については,これまでさまざまな取組が報告されている。その中で,日常行われている授業での活用を図ることで,教科内容のより深い理解に結び付けることができないかという視点で構想を練ってみた。
 研究2年目の今年度については,昨年度の反省である課題解決学習へのテレビ会議システムの活用の仕方をテーマに取り組んだ。1時間の授業の中で,テレビ会議システムを活用することでより課題追究に迫ったり,深めたりすることができるのではないかと考えた。その中で,成果や課題を浮き彫りにし,今後の実践につなげていけるように考えていきたい。
 今回は,公民的分野の「生産のしくみと金融」の単元で企業との交流を考えた。そして,交流相手として,東浦町にある大型ショッピングセンター「イオンモール東浦」に依頼した。生徒にとって身近な企業であり,社会的貢献活動も行っているので、課題追究しやすいのではないかと思い計画してみた。


1 交流の計画

▲ページの先頭へ

時 期

内  容

9月

イオンモール東浦に相談・打ち合わせ

10月

ウェブカメラを送付し,イオンモール東浦で設定をする。
イオンモール東浦と北部中学校で機器の接続テストを行う。

第1回交流実践
課題解決学習に向けて,北部中3年D組とイオンモール東浦と交流する。

第2回交流実践
課題解決学習に向けて,北部中3年C組とイオンモール東浦と交流する。

イオンモール東浦に交流後の感想の送付をする。

2 交流の対象

▲ページの先頭へ

 本校3年生2クラスと,イオンモール東浦のオペレーションマネージャー

3 交流の実際

▲ページの先頭へ

(1)交流会までの流れ

 
イオンモール東浦に交流授業の趣旨を説明し打ち合わせを行った結果,企業の社会的貢献活動の趣旨と内容を話していただくことになった。また,北部中学校とイオンモール東浦で接続テストを行い,マイクの感度の確認や音の大きさの調節など,機器や操作などの細かい打ち合わせを行った。

(2)使用機器

 「Meeting Plaza」が使用できるノートパソコン,ウェブカメラ,LANケーブル,
 マイク,ポータブルアンプ,電子黒板

(3)テレビ会議システムを利用した授業実践

 @単元
 中学校社会科公民的分野 「生産のしくみと金融」企業のしくみ

 A日時・相手

 10月16日 北部中3年D組とイオンモールとの交流
 10月17日 北部中3年C組とイオンモールとの交流

 B授業の概要
 1 企業についての復習をし,学習活動を確認する。
 2 資料をもとに,生産活動以外の社会的な貢献活動について考える。
   個人→グループ→全体
 3 テレビ会議システムを使い,イオンモール東浦の方のお話を聞く。
 4 本時のまとめをする。

・本時では,生徒が「利益を求める企業がなぜ社会的貢献活動を行うのか」という学習課題を追究した。一人一人で予想を立てた後,小グループで意見の交流をした。その後,グループ間の交流を行い,意見をまとめた上で,実際にイオンモール東浦で働いている方に登場していただき,イオンモール東浦の社会的貢献活動の様子やその意義を説明していただいた。お話の後は,質問も受けていただいた


 C学習指導案・本時の展開

 

4 交流前後の変化

▲ページの先頭へ

 写真1 交流の様子  写真2 交流の様子2
   
 写真3 交流の様子3  写真4 交流の様子4
   
授業前の予想1 授業前の予想2 
   
授業後のまとめ1 授業後のまとめ2

(1)交流前の考え

・最初の予想の段階では,一人一人のさまざまな考えが出てきた。多くは,「好感度を上げて売り上げを上げる」という利益を追究するために行っているのではないかという予想であった。

・グループでの交流でも,「企業のアピール」や「名前を売ってもうけを得る」などの意見にまとまるグループがほとんどであり,企業側の思いを考えることができる生徒は少なかった。

(2)交流後の考え

・グループで発表をしてクラスの意見をまとめた後,テレビ会議システムを使って実際のイオンモール東浦で働いている方の話を聞いた。真剣に聞き,メモを取る姿が印象的であった。

・まとめでは,予想やグループ発表の時とは違い,ただ利益を上げるのではなく,企業やそこで働く人の思いまで考えた文を書ける生徒が多かった。



5 成果と課題

▲ページの先頭へ

<研究の成果>
授業の課題追究学習の中でテレビ会議システムを使ったが,生徒は,普段気軽に行くことのできるイオンモール東浦で働いている人の思いを実際に聞くことができたことで,課題追究に意欲を持って取り組んだり,理解を深めたりすることができた。

50分授業の中のまとめの10分にテレビ会議システムを利用して行うことができたので,授業変更等を行わずに無理なく行うことができた。

企業側からみた場合,授業に参加するために学校に来てもらう手間や時間を考えると,機器の接続から話を終えて機器を片付けるまで30分ぐらいで済ますことができる。イオンモール東浦の方からも「業務中でも少しの時間を利用して行うことができるのでよかった」というお話をいただいた

<研究の課題>
イオンモール東浦と交流するまでに他の企業にもいくつかあたってみたが,セキュリティポリシーの違いなどから,インターネット回線を使用できないために交流できないという企業が多かった。また,Meeting Plazaを使うにあたり,必ずしも相手方のパソコンが推奨環境を満たしているとは限らないことも考えると,こちらから事前に無線でインターネットを使えるパソコンを持参することが望ましい。そのための準備が大変だと感じた。

今回のイオンモール東浦は,生徒にとって身近な企業であるために企業の方と交流できるという驚きが少なかったと感じた。今後は,テレビ会議のメリットを生かすためにも簡単にはいけない地域や海外の企業,または教科書等に載っている有名な企業や人物などと交流できるようにしていきたい



交流実践のはじめにもどる