交流実践のはじめにもどる>

保育園との交流
3年 技術・家庭科「保育体験を成功させよう」の実践
東海市立上野中学校

   現在,本校では,第3学年の技術・家庭科の授業で,クラス単位の保育体験学習を取り入れている。年に一回,一か所の保育園で実施している。この実習のねらいは,園児との触れ合いから思いやりのあるあたたかい心を育てることである。
 本実践は,単元「幼児の生活と家族」の中の1時間の実践である。単元の大まかな流れは,自らの幼い頃を振り返り,その上で一般的な幼児の体の発達や心の発達がどのようなものであるかを学ぶ。その知識を生かして保育園を訪問し,グループで用意した遊びを通じて園児とのコミュニケーションを図る,というものである。その活動の中で,幼児とどのような関わり方をするのが望ましいか,また,どんな遊びが幼児とのコミュニケーションに有効であるかを体感させることを重視している。しかし,生徒も教員も,園児の心身の発達の様子やコミュニケーションをとる上での注意点などは,一度の実習だけではなかなか理解できないものである。園児の様子を知った上で内容の濃い実習計画を立てるために,事前に現場の先生の声を聞けないかと考え,本実践を行った。

1 交流の計画

▲ページの先頭へ

時 期

内  容

9月

単元「幼児の生活と家族」の導入
親へのインタビュー(幼児期の様子)
自分史づくり

11月

幼児の成長について(身体の発達・心の発達)
訪問する保育園との事前打ち合わせ@

訪問する保育園との事前打ち合わせA
園児との遊びをグループで考える時間@
事前の接続テスト
保育園(保育主任)と本校教室のテレビ中継
園児との遊びをグループで考える時間A
保育園訪問
(実習)

2 交流の対象

▲ページの先頭へ

本校3年生生徒30名(1クラス)
名和保育園 保育主任

3 交流の実際

▲ページの先頭へ

(1)保育園と本校のテレビ中継方法(11月下旬)

 保育園の職員室からの中継準備に関して,保育園の先生自身で機材をセッティングする時間は多くとれなかった。したがって,本校の保育園訪問教員が簡易的な機材を持参した。

・保育園訪問教員が使用したもの・・・iPhone,ポータブルスピーカー  
 「Face Time」を使用し,学校と中継した。音声はポータブルスピーカーで増幅した。
・教室で使用したもの・・・液晶TV,iPad,Wi-Fiルーター,AppleTV  

 iPadで受信した画像はAppleTVを経由し,液晶TVに投影した。保育園側も学校側も携帯情報端末を使用し無線で映像中継ができたので,大変簡単に交流することができた。

 

写真1 本校職員と保育主任の先生が保育園から中継する様子
 

写真2 生徒が保育主任の先生に質問する様子

(2)保育園(保育主任)と本校教室のテレビ中継(11月下旬)

 当初は,保育園児の芋ほりの現場から中継する計画であったが,芋ほりが予定より早く終了してしいまい,中継場所が保育園の職員室に変更になった。中学校側の準備ができ次第,保育園側に連絡をして中継を開始した。中継電波は良好で,映像がとても鮮明に映った。 保育主任の先生から,自己紹介と保育園実習に関する注意点などを話してもらった。注意点の主な内容は,
 (ア) 園児と目線を合わせて話をすること
 (イ) 積極的に話しかけること
 (ウ) ゆっくり話をすること
などであった。現場の先生からのアドバイスということもあり,生徒にとって園児を理解する上で大変効果的であった。また,保育園に実習に行くという実感が湧くよい機会となった。 学校側からは,遊びを計画する上で参考にしたいことを三つ質問した。「園児が最近よくやっている遊びは何ですか」「最近,保育園で流行している音楽は何ですか」「自分たちのグループはこんな遊びを考えているのですが,上手に遊ぶことはできそうですか」がその質問である。保育主任の先生が的確に答えてくださり,インタビューで学んだ内容を保育園実習に生かせると感じた。

 

写真3 3年生の教室の様子
 

写真4 アドバイスを聞く様子

4 交流後の感想

▲ページの先頭へ

交流を終えた後の生徒たちの感想

・保育園の先生に実際に話を聞くことができてよかった。どんなことをすると園児が喜ぶのかわからなかったけど,教えてもらったことを生かして遊ぶ計画を立てたいです。
・自分は子どもが大好きなのですが,保育園の先生の話を聞いて,保育園に行く実感がもて早く保育園実習がしたいと感じました。
・私は職場体験でも別の保育園に行きました。今日教えてもらったアドバイスは,職場体験前に保育園の先生から言われたことと同じで驚きました。同じということはどこでも共通して大切なことなんだなと感じました。
・テレビで保育園と中継されたのはとても新鮮だった。ニュースみたいに先生が映っていて面白かった。
5 成果と課題

▲ページの先頭へ

 <実践の成果>
 今までの保育園実習では,保育園の先生に直接話を伺ったり,質問をしたりすることはなかなかできなかった。しかし,今回は事前に保育主任の先生から話をしてもらったことにより,生徒にはとても良い刺激になった。それは,生徒の感想からも読み取ることができる。また,インターネットを使わなければ,保育主任の先生から話を伺う機会はなかったと考えると,インターネットのメリットを十分に感じることができた。簡単に行き来ができない状況の中で,交流の回数を多くもちたいということであれば,こういった実践は行っていくべきであると考える。

<今後の課題>
 今回は,初の実践ということもありインターネットを活用した交流は一度だけであった。交流回数を増やしていくには,単元構想をよく練る必要がある。今回の実践に付け加えるとすれば,学習が始まる時点で,交流する園児に挨拶をしたり,顔合わせをしたりする機会があってもよかったのではないかと思った。そうすることによって,生徒の学ぶ意欲もより高まるのではないだろうか。単元構想の中で,生徒の発達段階を意識して,計画を立てていきたい。
 また,インターネットは便利であるが,現時点では気軽に使用できるというイメージがまだないように感じる。協力していただいた家庭科の先生とは,何度も機器操作のリハーサルを行ったり,電波状況をつかむための接続テストを行った。また,機材が足らないことから,個人の機材を多く利用した。これらの問題が解決されると,情報機器を活用した授業がもっと普及していくと思う。
 情報機器が授業時間全てで活用されることは効果的ではないが,授業を支える有効な手だての一つであることは間違いない。今後,知識を伝達し広めていくことや,職員と協力しながら,情報機器が積極的に使えるような環境を作る必要があると感じている。

交流実践のはじめにもどる