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テレビ会議システムを利用した「本校」との交流
「『本校』のことをもっと知るために」の実践
愛知県立半田特別支援学校桃花校舎

 愛知県立半田特別支援学校桃花校舎(以下,桃花校舎)は,平成18年に愛知県立半田特別支援学校(以下,「本校」)の分校として愛知県立桃陵高等学校の敷地内に開設された,高等部の単独校である。今年で10周年を迎えた。開校当初は「本校」の運動会,学校祭(池田の里ゆめまつり),「ふれあい作品展」に桃花校舎の生徒全員で参加をしていた。また,「本校」の生徒(高等部第2学年)も,桃花校舎と愛知県立桃陵高等学校で合同開催している学校祭「桃華祭&桃花祭」に参加するなど,年に何度も交流をしてきた。しかし,現在は,直接相手校を訪れる機会が減ってきている。そこで,テレビ会議システムを利用した三つの交流に取り組むこととした。
 一つ目の実践は,第1学年の生徒が初めて「本校」の生徒と出会う「はじめまして交流」である。1学期に互いの学校紹介や質問コーナーを通して,互いに知り合うことを目的に設定した。二つ目の実践は,「本校」の学校祭(池田の里ゆめまつり)での直接交流に向けて,「本校」の生徒に学校祭の企画を紹介をしてもらい,学校祭における交流に対する参加意欲の向上や交流の意義を理解することを目的に設定した。三つ目の実践は,「本校」の「ふれあい作品展」において,作品展の様子を本校の教師に中継してもらい,分校にいながらにして「本校」の児童生徒の作品を見学する計画を立てた。児童生徒のいろいろな作品や制作物を見学することで,生徒たちが「本校」に対する関心を高めたり,理解を深めたりすることを目的に設定した。


1 交流の計画

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時 期

内  容

5月

全体計画検討

6月

両校で調整及び機器の事前確認

7月

通信テスト
第1回
テレビ会議交流「はじめまして交流」

11月 通信テスト
第2回テレビ会議交流 「学校祭に向けての交流」(第1学年)
学校祭での直接交流 本校開催の「池田の里ゆめまつり」への参加
1月 通信テスト
第3回テレビ会議交流 「作品展交流」(第2学年)

2 交流の対象

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本校高等部1年生生徒27名,2年生生徒27名
「本校」高等部生徒会役員10名(のべ)

3 交流の実際

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(1)はじめまして交流(第1学年 テレビ会議交流)(7月上旬)
 挨拶の後,互いの学校の紹介を行った。美術部の生徒は自分の作品を映しながら紹介するなど,相手に分かりやすく伝えることができた。その後,授業内容や部活動,修学旅行などについて交互に質問をした。そこでは,「行事がよく分かった」,「部活や行事は桃花とほとんど同じだ」と感じたり,逆に,同じ所に修学旅行に行くと思っていた生徒が「桃花とは違うんだ」と気付いたりした。昨年度までの交流では,交流内容を生徒たちから提案するということはなかったが,今年度は初めて,生徒たちから「一緒に歌を歌いたい」という提案があり,校歌を合唱し親交を深めた。しかし,「自分が聞きたかったことは聞けたけど,もっと聞きたかった」とか,「もっといろんなことが聞けたら良かった 」など,テレビ会議交流への期待からの不満も見られた。以上の点から,テレビ会議交流をしたことで互いの理解が深まり,会いたいという気持ちが高まったことが分かった。

 テレビ会議交流全体の様子 はじめの挨拶 
 部活動紹介をしている様子 質問コーナー 

2)学校祭交流<第1学年>(11月下旬)
 桃花校舎開設以来,「本校」の学校祭「池田の里ゆめまつり」を訪れ,直接交流を行ってきた。学校祭に向けた事前学習として,昨年度に引き続きテレビ会議交流を行った。日程調整に多少時間はかかったものの,交流直前に接続を確認する程度でスムーズに交流することができた。ただ,通信回線のスピードが遅く,映像がコマ送りのようになることもあったが,交流に支障を来すほどではなかった。
 互いに挨拶を交わした後,「本校」の生徒会役員から学校祭の企画を紹介してもらった。「本校」は生徒会役員が改選されたため,前回の交流の時とは違う相手と交流することになったが,生徒は全員真剣なまな
ざしで,ひと言も聞き漏らさないように聞いていた。
 学校祭当日は「本校」を訪れ,直接交流を行った。オープニングセレモニーでは,代表生徒が皆の前に立ち挨拶を行った。その後,各グループに分かれ,「本校」の児童生徒が企画したイベントに参加し学校祭を楽しんだ。事前のテレビ会議交流でイベントの内容を紹介してもらい内容を知ることができたので,参加したいイベントをあらかじめ選び,積極的に交流することができた。生徒はもっと多くの企画に参加し交流したい気持ちを残して交流を終えることとなった。

代表生徒の挨拶  学校祭の企画体験 

4 交流後の感想

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・自分が聞きたかったことは聞けたけど,もっと聞きたかった。
・桃花校舎と違って部活や行事などが盛んだと思った。
・代表を決めてもっと多くの生徒と話をするといい。
・もっとたくさんの方が積極的に話せたらいい。
・写真に撮って写すといい。
・もっと練習したほうがいい。
・「本校」の生徒は生徒会だけでなく,代表を決めて今回よりも多くの生徒と話すことがいいと思う。
・テレビ交流の前にしっかりと自分でその場を想定して練習すること。
・もっと時間を拡張すればいいと思う。
・いろいろな人とたくさん出会う機会がありよかった。
5 成果と課題

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<研究の成果>
 テレビ会議システムを利用した交流を3年間行ってきた。昨年度に引き続き,学校祭「池田の里ゆめまつり」の直接交流に先立つテレビ会議システムを使った交流と,タブレット端末を利用した作品展の中継を見学する交流を行った。これまでは,しおりを使い,日程や企画内容の事前学習を行っていたが,テレビ会議交流を取り入れることによりいっそう期待が膨らみ,「池田の里ゆめまつり」に参加する意欲が高まり学習成果も上がった。当日はふだんの学校生活にはない人の多さに戸惑いながらも,「本校」の児童生徒との交流に積極的に参加することができた。
 さらに,今年度は行事予定の変更などもあり,1学期に「はじめまして交流」として互いのことを知り合う機会を新たに設けた。「本校」の存在さえ知らなかった生徒も多かったが,「本校」が半田市にあり,自分たちと同じように頑張っていることを知ることができた。加えて「本校」への生徒の関心が高まり,直接会いたいという気持ちが芽生えた。
 今回,生徒の希望から初めて両校で合唱する時間を設けた。また,部活動紹介でも美術部が作品を映しながら説明するなど,映像が映るテレビ会議システムの特徴をよく考えた交流を行う生徒に,テレビ会議システムを使った交流に対する関心の高さを感じた。

<今後の課題>
 テレビ会議交流も毎年少しずつ交流の回数を増やしてきた。また,テレビ会議交流の経験も増え,機器の扱いにも慣れてきたため,比較的手軽に交流できる環境が整ってきた。ただ,日程調整などに手間取ることも多かったが,年間計画にあらかじめ位置付けるなど少しでもスムーズにできるよう改善していきたい。
 生徒にとっても実際に訪問し直接交流することが一番よいと思うが,それがなかなか難しい現状においてテレビ会議交流は有効な手だてと考えられる。事後のアンケートなどから,「実際に会いたい」「もっと話したい」という意見が多かったように,便利さに目を奪われ,直接交流する機会をなくしてしまうことがないよう,直接交流へ向けて気持ちを高めるようなテレビ会議交流として発展させていきたい。

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