交流実践紹介
小坂井高校の実践 |
愛知県立小坂井高等学校 |
平成14年度に本校で新設されたWebデザイン同好会では、自ら情報発信できる素材作りの一環として、校内に小さな畑作りをしてきた。今回はこの畑作りと、本校で作成した環境読本「めだかのささやき」をもとに、小学生と交流活動を行った。 |
1 高校側の体制 |
(1) Webデザイン同好会 |
今回の交流活動は、平成14年度に本校に新設された「Webデザイン同好会」のメンバーを中心に行った。この同好会では、学校行事や日々の学校生活をデジタルカメラで取材することを中心に活動を行っている。今回の交流活動にあたっては3年生女子の教育学部進学希望者にも参加を呼びかけ、10名ほどのメンバーで活動を行った。 |
(2) プロジェクトY(やさい) |
Webデザイン同好会では、自ら情報発信できる素材作りの一環として、3月頃から校内に小さな畑作りを行ってきた。草取り、土起こしなどゼロからのスタートであったが、それらの様子をこまめにデジタルカメラで記録を残しておいたことが今回の交流でも役だった。 |
(3) 環境読本「めだかのささやき」 |
本校は平成13年度に愛知県の「夢を育む学校作り推進事業」に採択され風力発電の研究を行ったが、そのまとめとして環境に関する絵本「めだかのささやき」を発行した。この絵本の絵を描いた生徒もWebデザイン同好会のメンバーであったため、交流先の朝日東小学校で読み聞かせをしてもらい、その感想などを交換した。 |
(4) メーリングリスト |
高校内では、当初、回覧板のようなものを利用して連絡を取り合っていたが、メンバー全員が携帯電話で電子メールを利用することが可能であったため、メーリングリストを立ち上げ情報交換を行うようにした。 |
2 交流の内容 |
今回は交流先が小学校2年生ということで、小学校側の学習活動に合わせて高校生がメッセージを送ったりするスタイルをとった。主な流れは以下の通りである。 |
(1) 小学校から送られてきた畑作りの様子を本校生に紹介 |
朝日東小学校の畑作りの様子を撮影した写真と観察記録を電子メールで送ってもらい、それを高校側で印刷し、同好会のメンバーで回覧した。実際の写真や小学生の書いた絵や文字を目の当たりにすることによって、自分たちが交流を行う小学校2年生を具体的にイメージすることができるようになった。 |
(2) クイズ「この花なあに?」 |
本校の畑でも数種類の野菜を栽培してきたが、その花や実などの写真を撮りためてあったので、それを元に簡単なクイズを作成し、小学生に答えてもらうことにした。この際、問題だけでなく解答用紙と、絵本「めだかのささやき」の感想をかいてもらう用紙も作成し、それを郵送した。 小学校でこのクイズを行い、返送されてきた解答用紙を同好会のメンバーで分担し、採点やコメントを書き込んで再度送り返した。また、「めだかのささやき」の感想も、絵を描いた生徒がメッセージを書き、解答用紙と一緒に返送した。 |
(3) 文化祭での発表 |
9月に行われた文化祭では、それまでの交流の様子や畑作りの様子を掲示物にし展示を行った。また、文化祭終了後、朝日東小学校の生徒にも掲示物を見てもらうことができた。 |
(4) ホームページの利用 |
朝日東小学校では2学期からインターネットが利用できるようになったため、小坂井高校のホームページ内に同好会のページを作成し、それを見てもらうことも行った。 |
3 交流学習を通して(今後の課題) |
今回の交流活動を高校側から振り返ると、まず、教育学部志望の生徒にとっては今回の交流活動は自分の進路を再認識する意味で大変によい機会であったことがあげられる。彼女たちは「将来、教壇に立ちたい」という強い希望は持っているものの、実際の教育活動に参加する機会が少なく、漠然としたイメージでしか「教職」というものを捉えられていない。逆にいえば具体的なイメージを持てることによって、自分の進路に対する意識も高まり、勉強にも力が入るようになる。本校では平成15年度から高等学校に導入される「総合的な学習の時間」で「進路選択」を一つの大きな柱にしているため、今後はそれらとの連携も考えていきたい。 また、この実践を通して生徒たちと「飽食の時代」「健康と食事」「家庭内での役割」などいろいろな事柄について話し合いを行ってきたが、その中で生徒たちがこちらの予想する以上に自分の進路や教育問題について考えていることが分かり、一人一人の生徒を理解する上で有意義な活動であった。 一方、今回の交流は年度途中からということや小学校−高校と校種の異なる学校間での交流であったことに加え、自分自身も小学校のカリキュラムに対する知識が乏しく、1年を通して計画的に交流を行うことは難しかったことが大きな反省点として上げられる。このあたりは交流学習を計画する段階で綿密に打ち合わせを行い、できるだけ長いスパンで活動ができるようにすべきであった。 このように今回の交流を通して多くの課題を見いだすことができたが、教育学部志望の生徒にとっては普段接する機会の少ない小学生と交流を行うことができ、またそれを通して生徒たち自身がさまざまなことを考えることができたことは大変に有意義であった。今後もこのような交流活動の機会がれば積極的に参加したいと思う。 |