◎Question
1 ねらい・効果
Q1-1 インターネットを使った交流とは、具体的にどのようなことをしていくのですか?
2 事前準備
Q2-1 交流を始める際、事前にだれに連絡しておいた方がよいですか?
(交流相手について)
Q2-2 国際交流の相手は、どのようにすれば見つけることができますか?
Q2-3 交流を始める前に、相手の交流担当者と何について打ち合わせをしておけばよいですか?
Q2-4 交流を始める前に、どのようなことを児童生徒に指導しておけばよいですか?
(インターネットの利用や機材について)
Q2-5 インターネットを使った交流を実施する際に、校内で何を連絡しておいたらよいですか?
Q2-6 校内では、ネットワーク関連において、どのような事前準備をすればよいですか?
Q2-7 電子メール・アドレスは、児童生徒一人一人に発行したらよいですか、それとも制限した方がよいですか?
Q2-8 電子メール・アドレスは、どのように作成したらよいですか?
Q2-9 電子メール・アカウントのパスワードは、だれが管理しますか?
Q2-10 電子メールによる交流を実施する授業で、児童生徒へ配慮すべきことは何ですか?
Q2-11 交流相手から返事が来ないときには、どのように対応したらよいですか?
Q2-12 交流をする際には、学校のホームページに交流に関する内容の掲載が必要ですか?
Q2-13 自宅でインターネットが利用できる児童生徒が、交流相手と交流を続けることは可能ですか?
Q2-14 相手校とテレビ会議をしたいのですが、どうすれば利用できるのですか?
Q2-15 テレビ会議をするには、どのような機器やソフトウェアが必要なのですか?
Q2-16 エースネット接続校でない学校がテレビ会議をするには、どうすればよいのですか?
Q2-17 インターネットを用いて、動画を相手校とやり取りしたいのですがどうすればよいですか?
3 授業展開の工夫、課題の解決
Q3-1 1対1での交流とグループでの交流と、どちらがよいでしょうか?
Q3-2 交流を充実させるためには、どのようにすればよいですか?
Q3-4 交流活動に積極的でない児童生徒にはどのような指導をしたらよいですか?
Q3-6 国際交流をする場合、児童生徒が相手に通じる英文を書けるようにするにはどうすればよいですか?
4 情報モラル
Q4-1 インターネットを使った交流を実施する際に、気を付けさせたい情報モラルはどんなものがありますか?
Q4-2 児童生徒に非難中傷する電子メールや手紙、チェーン・メールなどが届いたときには、どのように対処すればよいですか?
Q4-3 児童生徒に住所や電話番号などを尋ねるメールが届いたとき、どのように対処すればよいですか?
◎Question&Answer
1 ねらい・効果
Q1-1 インターネットを使った交流とは、具体的にどのようなことをしていくのですか?
A インターネットを使った交流手段には、大別して二つの形があります。
・同じ時間に実施しなければできないもの(チャット、インターネット電話、テレビ会議システムなど)
・それぞれが都合のよいときに実施すればよいもの(ホームページ、電子メール、掲示板など)
これらの手段を使い、あるいは組み合わせて、次のようなさまざまな取組の可能性が考えられます。
・情報の収集、交換、発信
・共通テーマについての話し合い
・異文化理解のための交流
・語学力やコミュニケーション能力の向上を目指した交流
Q1-2 インターネットを使った交流学習の長所は何ですか?
A インターネットの即時性・グローバル性という特質を生かして、教室という狭い枠を越え、外部の人たちと接触することができます。隣接する学校から全国各地の学校まで、距離を意識せずに交流することが可能です。また、学校以外の施設や国内にとどまらず、海外の人と交流することも可能になります。
手紙を送ったり電話をかけたりするのと比べ、インターネットを使うと校内からかなり安価に交流を図ることができます。工夫次第で、児童生徒の興味・関心を高める多様な交流を実現することができます。
A インターネットを使った交流活動を実施して、児童生徒の授業への意欲や取組の質が向上したという事例が多くあります。交流する相手と内容を意識した学習を行うことで、伝えたい情報を自分で考え、それを相手に正確に伝えようという主体的な学習が可能となります。
詳しくは「交流実践」を参照してください。
A 小学校と高等学校での実践例を挙げます。具体的な交流学習の進め方は、Q5〜Q8を見てください。
(例1)小学校4年生 総合的な学習の時間での小学校間交流
実施月 |
指 導 者 |
児 童 |
4月 |
年間計画のすり合わせ、ネットワーク環境の確認・テスト |
水に対する関心をもつ、水、池、川に対する学習課題の設定 |
5月 |
双方の学区の池や川を視察、学習計画の詳細を立案 |
池や川のグループ調べを開始、水の汚れや水生生物の調査 |
6月 |
第1回「水フォーラム」(直接交流)開催、ネットワークの使用上の指導 |
両校児童の顔合わせ、情報交換、グループ調べの発表会、 ハードの使い方、ネチケットの習得 |
7月 |
簡易型テレビ会議システムを使ったネットワーク交流授業 |
テレビ会議システムを使った情報交換 |
9月 |
テレビ会議システム専用機を使ったネットワーク実験 |
水の浄化や生活排水の軽減の仕方を調べる |
10月 |
第2回「水フォーラム」(直接交流)開催 |
情報交換で新たに知った方法で水の浄化に取り組む |
11月 |
週1回のネットワーク交流を継続、テレビ会議システムで調査報告会 |
活動結果をまとめ、テレビ会議システムで報告し合う |
12月 |
学習したことの生活実践化 |
廃油石けんを作り、街頭で配布する |
1月 |
学習発表会の準備 |
学習を振り返り、活動のまとめ(ポートフォリオ) |
2月 |
学習発表会の開催 |
年間の学習成果を保護者に発表 |
(例2)高校3年生 英語授業での国際交流
実施月 |
指 導 者 |
生 徒 |
5月 |
コンピュータの事前整備 |
コンピュータの基本操作 |
6月 |
交流相手探し、生徒アカウント、マニュアル準備 |
交流で利用するソフトウェアなど操作練習 |
7月 |
自己紹介文の添削 |
自己紹介手紙の作成 |
8月 |
学校紹介ビデオ撮影 |
今後の活動の画像準備 |
9月 |
交流ペアの設定、文例集の準備、自己紹介手紙の発送 |
相手からの手紙にメールで返信、自己紹介ビデオ撮影 |
10月 |
生徒の英文・せりふ添削、ビデオの編集、発送 |
学校紹介メール(静止画付き)送信、相手紹介スピーチ |
11月 |
日本文化紹介文の添削、指導、助言、オリジナルテーマでの調査・研究計画表の準備 |
相手校の学校・自己紹介ビデオ視聴、 |
12月 |
交流活動の援助 |
オリジナルテーマでの調査・研究(交流相手との共同作業)、クリスマス・メールの送信 |
1・2月 |
ビデオの編集・発送、交流活動の評価 |
日本文化紹介ビデオ撮影(グループ活動)、交流のまとめ、発表 |
A まずは交流の相手を探す必要があります。同じような活動をしている学校を検索エンジンで検索したり、学校のホームページからその学校の特色をつかんだりし、交流可能かどうかをメール等で問い合わせることになります。愛知エースネットのコンテンツに「特色ある学校一覧」もありますので、交流の相手校探しの参考にしてください。その際、管理職から交流相手へ連絡を入れてもらうと、安心して交流活動に取り組めます。
交流を始めるに当たっては、相手校の交流担当者としっかり打ち合わせをすることが大切です。そして、目の前の児童生徒をじっくり観察して、交流を通じて何を達成させたいのか、あるいは体験させたいのかを検討すればよいでしょう。
なお、「画像付きの電子メール交換」を希望する場合は、児童生徒同士が勝手に交換しないように、個人情報の扱いなどの事前の指導も必要です。
2 事前準備
Q2-1 交流を始める際、事前にだれに連絡しておいた方がよいですか?
A 管理職を始め、他の職員の方々にも承知してもらっていることが必要です。また、管理職から交流相手へ連絡を入れてもらうと、安心して交流活動に取り組めます。
保護者への連絡は、管理職と話し合って検討してください。
(交流相手について)
Q2-2 国際交流の相手は、どのようにすれば見つけることができますか?
A 国際交流用のホームページがインターネット上には開かれています。
コンピュータ教育開発センターのURL http://www.cec.or.jp/gyoumu/links/foreign_ja.html
ePals のURL http://www.epals.com/
Q2-3 交流を始める前に、相手の交流担当者と何について打ち合わせをしておけばよいですか?
A 交流内容・計画、時期、時差、頻度(例、週2回、月2回)、児童生徒数、児童生徒の状況や意欲、交流活動を実施している授業名と実施時間割、交流時の取り決め、ハード的な条件やネットの環境等です。海外との交流を実施する場合には、児童生徒の外国語の力や使用言語の打ち合わせも必要になります。
Q2-4 交流を始める前に、どのようなことを児童生徒に指導しておけばよいですか?
A 最近、インターネットにおけるマナーについての社会的関心が特に高まっています。児童生徒には、目の前にいる人と同様に、マナーをしっかり心がけるよう繰り返し指導をしてください。
5分でわかる情報モラルのURL http://www.nctd.go.jp/5min_moral/index.html
やってみよう情報モラル教育のURL http://kayoo.org/moral-guidebook/
法律上の問題として、著作権などについても説明しておくとよいでしょう。
文化庁・著作権のページのURL http://www.bunka.go.jp/chosakuken/index.html
Q2-5 インターネットを使った交流を実施する際に、校内で何を連絡しておいたらよいですか?
A 交流の実施計画、交流相手校、交流方法、交流手段、校内で協力をお願いしたいことなどを連絡しておきます。また、交流中も交流状況、途中経過などを報告すれば、いろいろな支援や校内の関心も得ることができます。
(インターネットの利用や機材について)
Q2-6 校内では、ネットワーク関連において、どのような事前準備をすればよいですか?
A 相手側とつなぐ十分な環境があるか、またそれぞれの機器が実践目的に合った機能を有しているかを確認してください。不具合が出る場合もありますので、早めにリリハーサルをするとよいでしょう。
Q2-7 電子メール・アドレスは、児童生徒一人一人に発行したらよいですか、それとも制限した方がよいですか?
A 児童生徒に個々の活動をさせるならば、一人一人にアドレスがあった方が便利でしょう。グループ活動などを実施する場合には、代表者、あるいは、学校用アドレスなどがあれば交流ができます。
Q2-8 電子メール・アドレスは、どのように作成したらよいですか?
A 各学校により状況が異なります。エースネット接続校については各校のネットワーク担当者に、接続校でない場合はコンピュータの担当者に相談してください。
Q2-9 電子メール・アカウントのパスワードは、だれが管理しますか?
A パスワードなどを含めた情報を各自が責任をもって保管する必要性を説明した上で、児童生徒にその管理を任せてもよいでしょう。ただし児童生徒のパスワード等は担当職員が念のため控えておいた方がよいでしょう。
Q2-10 電子メールによる交流を実施する授業で、児童生徒へ配慮すべきことは何ですか?
A 児童生徒に交流計画を配付しておくと、準備や作業が円滑に進みます。児童生徒にとって過度の準備や負担は避けた方が、交流は順調に進みます。
Q2-11 交流相手から返事が来ないときには、どのように対応したらよいですか?
A まず、担当者と連絡を取ります。交流相手は、相手側担当者の指導の下にいる児童生徒の場合、まず担当者に状況を伝え、対応してもらいます。また、自分の児童生徒には、相手が返信しやすいようなメール(質問を数個加えておくなど)を送るようにアドバイスをしてあげます。
Q2-12 交流をする際には、学校のホームページに交流に関する内容の掲載が必要ですか?
A 必ずしも必要ではありませんが、関連するページがあると、相手もこちら側のことをよりよく知ることができます。また、ホームページに掲載されている内容を見て、疑問に思ったり不思議に思ったりしたことについて情報交換を図ることもできます。
Q2-13 自宅でインターネットが利用できる児童生徒が、交流相手と交流を続けることは可能ですか?
A 授業以外(例えば自宅)での交流には配慮が必要でしょう。授業以外で交流しても特に問題がなく、児童生徒のやる気を高める場合など、許可する場合にはトラブルに巻き込まれないように、自分の住所や電話番号などは伝えないように指導しておきます。また、家庭での交流が想定される場合には、保護者の方にも連絡して、保護者の下で実施するようにしておいた方がよいでしょう。いずれにしろ、交流を始める前に、児童生徒に学校外での交流活動について認めるのか認めないのか、あらかじめ話しておいた方がよいでしょう。
Q2-14 相手校とテレビ会議をしたいのですが、どうすれば利用できるのですか?
A 愛知エースネットでは、テレビ会議システムとして「MeetingPlaza」を導入して、エースネット接続校へのサービスを提供しています。このサービスを使うと、エースネット接続校同士で、コミュニケーションの手段として、音声・ビデオ・テキストチャット・文書共有等の機能が使用できます。愛知エースネットの内部ページ(http://www-in.aichi-c.ed.jp/MeetingPlaza/index.htm)にテレビ会議室利用の詳細が掲載してありますので、御覧ください。
Q2-15 テレビ会議をするには、どのような機器やソフトウェアが必要なのですか?
A
テレビ会議に参加するためには、以下の三つが必要です。
@WindowsOSのPCとインターネットに接続できる環境
A音声通信用マイク・スピーカまたはヘッドセット
Bウェブカメラ(画像のやり取りが必要のない場合にはカメラはなくても参加できます。)
愛知エースネットのテレビ会議システム「MeetingPlaza」においては、ソフトウェアはインターネット上から自動的にダウンロードして利用するので、特別なソフトウェアは必要ありません。
Q2-16 エースネット接続校でない学校がテレビ会議をするには、どうすればよいのですか?
A テレビ会議を行うソフトウェアには、2校間での交流に限定されますが「Microsoft Office Live Meeting」もあります。「Microsoft Office Live Meeting」は、WindowsOSのPCに、Microsoft社からダウンロードして無料で入手することができます。この場合もテレビ会議に必要な機器は、上と同じです。
Q2-17 インターネットを用いて、動画を相手校とやり取りしたいのですがどうすればよいですか?
A 容量の小さな動画ならば、電子メールに添付して送ることも可能です。しかし、回線やサーバの制限等により、どの程度の容量まで送信できるかは異なります。加入のプロバイダのQ&Aなどを御覧ください。
メールに添付できない大きな容量の動画を送受信できるようなサービスも、インターネット上にはあります。無料のものも有料のものもありますので、利用規定などをよく確認し、使用することが大切です。
3 授業展開の工夫、課題の解決
Q3-1 1対1での交流とグループでの交流と、どちらがよいでしょうか?
A コンピュータの台数が十分あるならば、1対1の交流も可能です。担当教員のしっかりした監督が必要ですが1対1の交流は児童生徒一人一人が交流相手に対して責任をもち、交流内容が深まり、交流頻度や一人一人の活動量も多くなります。
グループでの交流では、消極的な児童生徒でも、グループ内の他の積極的な児童生徒とともに活動することにより、内容豊かな活動にすることができます。また、さまざまな考えが交流に反映されることになります。
Q3-2 交流を充実させるためには、どのようにすればよいですか?
A 交流テーマを発展させたり、交流手段を変えたりします。例えば、自己紹介→学校紹介・地域紹介→自分が選ぶ日本文化紹介→共同テーマでの調査・発表という具合です。交流手段ならば、写真付きの手紙→文字による電子メール交換→画像付きの電子メール交換→ビデオ交換→プレゼンテーション・ファイルの交換という具合に、変化をもたせます。この際児童生徒の写真は厳重な管理が必要となります。また、交流内容をまとめて発表したりすると、他の児童生徒の交流に刺激されて、交流にいっそう意欲をもったりします。
A 交流内容をレポートにまとめさせたり、スピーチさせたり、プレゼンテーションさせたりして、評価することも可能です。担当者が、交流を通じて児童生徒のどの分野を伸ばそうとしているかを念頭において評価項目を定めていけばよいでしょう。
Q3-4 交流活動に積極的でない児童生徒にはどのような指導をしたらよいですか?
A 消極的な児童生徒を励ましたり、援助したりしてあげます。グループでの交流を行い、積極的な児童生徒とともに活動させるのもよい方法です。
A 研究会に参加したり、出版物やネットワーク上で情報を探したりして、実践活動に携わった担当者に話を聞けるかどうか問い合わせてください。
東京書籍株式会社のURL http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/enetap/kenjo/newkenjom.php
Q3-6 国際交流をする場合、児童生徒が相手に通じる英文を書けるようにするにはどうすればよいですか?
A 英文作成が苦手な児童生徒には、文例集を準備しておくと比較的簡単に英文を作成することができます。自己紹介、学校生活などに関する用語集や例文集は数多く出版されています。
4 情報モラル
Q4-1 インターネットを使った交流を実施する際に、気を付けさせたい情報モラルはどんなものがありますか?
A メールのやりとりや掲示板などを利用する場合は、個人情報を安易に送らないように、また相手の気持ちを考えた内容に心がけさせたいものです。
ホームページを作成し、それを使って交流を考える場合、引用文章の著作権の問題、写真を使う場合の肖像権の問題、児童生徒の名前(フルネーム)や顔写真など個人情報の問題など考慮する必要があります。
Q4-2 児童生徒に非難中傷する電子メールや手紙、チェーン・メールなどが届いたときには、どのように対処すればよいですか?
A どこから送られてきたメールであるかを確認します。もし交流相手校が発信元であるならば、担当者に連絡を取って対応します。児童生徒には、こうしたメールなどに気付いたら、すぐに教師に連絡すること、開かないこと、教師の指示を受けて削除することなどを事前に指導しておきます。
Q4-3 児童生徒に住所や電話番号などを尋ねるメールが届いたとき、どのように対処すればよいですか?
A 基本的にはプライベートな情報は教えない、ネット上で流さないよう事前に指導しておきます。また、そのようなメールが届いた場合には、授業担当者に連絡するようにあらかじめ伝えておきます。
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