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生徒実習課題例

通学・通勤方法を考える

情報の適切な収集と加工


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社会と情報(4)ウ 情報社会における問題の解決
情報の科学(2)ア 問題解決の基本的な考え方
情報の科学(2)イ 問題の解決と処理手順の自動化
情報の科学(2)ウ モデル化とシミュレーション
情報の科学(3)ア 情報通信ネットワークと問題解決
情報の科学(3)イ 情報の蓄積・管理とデータベース
情報の科学(3)ウ 問題解決の評価と改善

内容

実習に必要な機器、材料

電卓、表計算ソフト

授業プリント例
 授業用プリント、確認テスト、評価規準の例を作成しました。
   "30_tukin.doc" Word 97-2003文書 (33KB)

実習方法

実習1 通学方法を考えよう。
(1) 通学経路の説明
 甲君は、新しく進学することになった学校までの通学時間について、いくつかの通学路や交通手段を検討した。
 甲君の自宅から学校までのルートは、以下のようになっている。
 晴天時、雨天時、積雪時における乗物等の平均速度は、図のようになっているものとして、次の(1)から(6)の通学方法を用いたときの通学時間を算出し、最短時間のルートを探しなさい。
 ただし、バス停と駅での乗り降りにかかる時間は5分として加算するものとする。


乗物 晴天時(km/h) 雨天時(km/h) 積雪時(km/h)
徒歩  4  3  2
自転車 15  8 乗車できない
バス 30 25 10
電車 60 60 40


(2) 課題
 次のa.からf.の通学方法を用いたときの通学時間を算出し、最短時間のルートを探しなさい。
 ただし、バス停と駅での乗り降りにかかる時間は5分として加算するものとする。

通学方法 (その1):通常の場合
  1. 自転車だけを使って、自宅から学校まで20kmを通学したとき。
  2. 徒歩でAバス停まで歩き、Aバス停からS駅までバスに乗り、次にBバス停行きのバスに乗り換えて移動し、Bで下車して学校まで歩いたとき。
  3. 徒歩でAバス停まで歩き、Aバス停からS駅までバスに乗り、次に電車でT駅まで移動して下車し、学校まで歩いたとき。
  4. 自転車でS駅まで移動し、次に電車でT駅まで乗り、T駅から学校まで歩いたとき。

通学方法 (その2):突発的な事故が発生した場合
  1. 自転車でS駅に着いたら、事故のため電車はストップしていた。このため、バスを利用して、S駅からBバス停まで移動し、次に学校まで歩いたとき。
  2. 自転車でS駅に着いたら、事故のため電車はストップしていた。このため、自転車で近道を走って学校まで行ったとき。

(3) 考え方
 次のような表を作成する。
通学方法 交通機関 徒歩の時間(時間) 乗り降りの時間(分) 乗車時間(時間) 合計時間(分)
自転車        
バス        
c バス+電車        
自転車+電車        
自転車+バス        
自転車        

 電卓等を利用するか、表計算ソフトを利用して、それぞれの値を計算することにより、最短ルートを調べる。


実習2 通勤方法を考えよう。
(1) 通勤経路の説明
 甲さんは、遠距離通勤者で、毎日、1時間以上をかけて通勤している。その通勤経路は次のようである。
  1. 自宅から最寄のバス停Cまでは、徒歩で5分かかる。
  2. バス停Cから、私鉄のK駅までは、バスで10分かかる。バス停Cでの時刻表は図1のようである。また、自宅からK駅まで歩くと30分かかる。

6時 23 39 52
7時 09 26 42
図1 バス停Cの時刻表


 私鉄のK駅からは、図2のような時刻表で電車がある。また、この電車で座ることのできる確率も図2に記入してある。私鉄のS駅 またはN駅で降りて、地下鉄に乗り換える。

車別 K駅 S駅 N駅 座れる確率
特急 6:33 通過 6:45 50%
急行 6:38 7:51 6:54 90%
普通 6:43 7:07 7:10 100%
急行 6:47 通過 7:02 80%
普通 6:51 7:09 7:12 100%
特急 6:54 通過 7:06 20%
急行 7:02 通過 7:18 40%
普通 7:03 7:28 7:33 100%
急行 7:07 通過 7:25 30%
特急 7:14 通過 7:29 10%
普通 7:15 7:40 7:43 100%
急行 7:20 通過 7:37 20%
急行 7:29 通過 7:45 10%
急行 7:36 7:53 7:56 20%
特急 7:45 通過 7:58 5%
普通 7:46 8:12 8:16 100%
急行 7:51 通過 8:09 20%
急行 7:57 通過 8:11 10%
図2 K駅の時刻表


 地下鉄の路線はレッドライン、ブルーライン、グリーンラインがある。
 レッドラインはN駅、F駅、I駅を通る。ブルーラインはN駅、T駅、M駅、I駅、L駅を通る。グリーンラインはG駅、M駅、F駅、L駅、を通り、A駅が終点である。ここから、私鉄に乗り換えるが、ほぼ1本ごとに、直通でZ駅まで行く電車がある。
 地下鉄の路線図は、図3、それそれのラインの時刻表および座れる確率は図4から図6のようである。


図3 地下鉄の路線図



N駅 6:47 52 57 7:03 08 13 17 22 26 30 34
T駅 49 54 59 04 09 14 18 23 27 31 35
M駅 50 55 7:00 06 11 16 20 25 29 33 37
I駅 57 7:02 07 13 18 23 27 33 37 41 45
L駅 7:01 06 11 17 22 27 31 37 41 45 49
確率 100% 80% 70%

N駅 7:38 42 46 50 54 58 8:02 06 10 14 18
T駅 39 43 47 51 55 59 03 07 11 15 19
M駅 41 45 49 53 57 8:01 05 09 13 17 21
I駅 49 53 57 8:01 05 09 13 17 21 25 29
L駅 53 57 8:01 05 09 13 17 21 25 29 33
確率 70% 90%
図4 ブルーラインの時刻表

N駅 6:50 58

7:04

08 12 16 20 24 28 31 34
F駅 52 7:00 06 11 15 19 23 27 31 34 37
I駅 59 07 13 18 22 27 31 35 39 42 45
確率 80%

50%


N駅 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56
F駅 39 41 43 45 47 49 50 53 55 57 59
I駅 47 49 51 53 55 57 59 8:01 03 05 07
確率

30%


N駅 58 8:00 02 04 06 08 10 12 14 16 18
F駅 8:01 03 05 07 09 11 13 15 17 19 21
I駅 09 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29
確率 40% 60%
図5 レッドラインの時刻表



G駅 6:52 7:01 11 17 22 27 32 36 40 44 48
M駅 55 04 14 19 24 29 35 39 43 47 51
F駅 56 05 15 21 26 31 37 41 45 49 53
L駅 7:05 14 24 30 35 41 47 51 55 59 8:03
A駅 20 29 39 44 49 56 8:02 06 10 14 18
Y駅 25 34 44   55     10   19  
Z駅 27 36 46   57     12   21  
確率 100% 80%

100%

70% 90% 70% 80%

G駅 7:52 56 8:00 04 08 12 16 20 24 28 32
M駅 55 59 03 07 11 15 19 23 27 31 35
F駅 57 8:01 05 09 13 17 21 25 29 33 37
L駅 8:07 11 15 19 23 27 31 35 39 43 47
A駅 22 26 30 34 38 42 46 50 54 58 9:02
Y駅   31     43   51   59    
Z駅   33     45   53   9:01    
確率 90% 70%

90%

70% 90% 80% 100%
図6 グリーンラインの時刻表


  • 電車間の乗り換えには2分必要であるとする。

  • 甲さんの職場は私鉄のZ駅から、徒歩10分である。また、Y駅で降りて歩くと、徒歩30分かかる。
    甲さんは8時45分までに職場に着かなければならない。

(2) 課題

 次のa.からc.の場合について、最適な方法を考えなさい。
  1. なるべく遅く自宅を出て、短時間で職場に着く方法を考える。
  2. なるべく座って、しかも、短時間で通勤する方法を考える。
  3. 健康のため30分程度の散歩がしたい。どのような経路が考えられるか。

(3) 考え方
  1. 非常に複雑な問題なので、どこから考えていくかを考え、話し合う。
  2. 実習1と同じようにして、表を作成し、それぞれの時間を計算してみる。
  3. 電車の時間のように、種類によって到着時間が異なる場合には、表計算ソフトでデータをソートして、到着時間順に並べ直すなどの工夫をする。
  4. 最適解を求める工夫をいろいろ行うことがこの課題の目的なので、それぞれがアイデアを出しあって工夫してみる。
  5. 出た結果を発表し、どの結果が良いかを互いに評価し合う。

応用実習

実習課題
  1. 上の実習1、2のようにして、各自の通学経路や架空の通学経路を考える。
  2. 地図や時刻表を調べる。この際、実際の本を利用してもよいし、インターネットを利用して、地図や時刻表を調べてもよい。
  3. さらに、駅による乗り換えのし易さ、乗り換えに要する時間を調べてもよい。
  4. 電車の込み具合なども調べてもよい。このとき、どんな調査法があるかを話し合う。
  5. どのような条件で通学経路を選択するかを考える。
  6. 結果を発表し合い、どの経路が最適かを評価し合う。


 

時間配分 150分

時間配分 生徒の動き 教師の動き
15分 学習内容
  • 実習の目的の把握

  • 実習1の内容の理解

実習の目的の説明

実習1の課題の説明
  • 各班毎に、課題のa〜fの担当者を決めて実習に取り組む。
35分 実習1
計算については、電卓、表計算ソフト等を適宜利用する。
コンピュータの利用にこだわらない。
巡回し、補足説明。
電卓を利用した場合と表計算ソフトを利用した場合とで、作業効率について考えさせる。
結果を記入した表の回収。
10分 学習内容
  • 実習2の内容の理解

実習2の課題の説明
  • 各班で、課題((2)課題のa〜c)の中からひとつの選び取り組む。
  • どこからアプローチするか、方法を相談する。
  • 班毎に、様々な方法で解答を求める。
  • アプローチ方法と結果を発表し、相互に評価する。
40分 実習2(その1)
  • どの課題に取り組むか((2)課題のa〜cのどれか)を考える。
  • どこからアプローチするか、方法を相談する。
  • 班毎に、様々な方法で解答を求める。
  • 結果を各班で表にまとめ、最短時間のルートを見つける
  • アプローチ方法と結果を発表し、相互に評価する。
巡回し、補足説明。
40分 実習2(その2)
  • アプローチ方法と結果を発表し、相互に評価する。
  • 自己評価。
  • 相互評価。

発表について、相互評価および自己評価する。

各種チェックシート例に発表の評価シートがあります。)

10分 実習内容
  • 自己評価シートの完成。提出。
  • 相互評価シートの完成。提出。
次時の予告。
自己評価シートの回収。
相互評価シートの回収。