16進数と文字のコード化

1 はじめに

 コンピュータ内でどのように利用されるのかを理解するためには,2進数や10進数といった数値の特性の理解と,コンピュータの仕組みや処理に関する特性との両方の知識が必要となる。そこで,文字情報の取り扱いを基にして,数値の特性の理解と情報のディジタル化について考えるという授業を実施した。

2 目標

・コンピュータ内部のデータ処理における文字の取り扱いについて理解する。
・2進数・10進数・16進数の特徴を理解する。
・文字数とそれを表現する2進数・16進数の桁数の関係を理解する。

3 指導内容

・ポケットベルの文字変換を例に,文字変換表の構成について理解させる。
・2進数・10進数・16進数の特徴を理解させる。
・文字を数値表現する場合の情報量について理解させる。

4 指導の流れ

  学習内容・学習活動 指導上の留意点
導入
(15分)
・文字情報の簡単な伝達手段の例として,ポケットベルの文字変換を行う。
・ポケットベルには何らかのコード変換表があり,それを利用して0から9の数値で文字を伝えていることを理解させる。
展開
(30分)
・ポケットベルの文字変換表を作成する。
・ポケットベルはどのようなルールで文字変換を行っているのか考えさせる。
・ポケットベルの文字変換を基に,コンピュータ内での文字変換についても考えさせる。
・ポケットベルの変換表(10進数表記)を2進数表記に変更した表を作成する
・2進数の4ビットで表現できる0000から1111までの情報量を考えさせる。
・多くの文字情報を管理するためには,桁数を増やす必要があることを理解させる。
・アルファベット,数字,漢字などの文字を表現するために必要な2進数の桁数について考える。 ・文字数が増えていくと何桁必要になるかを考えさせる。
・2のべき乗で表現できる文字数が計算できることを説明する。
・簡単な文字列を2進数の文字変換表を用いて,数値に変換する。
・2進数4桁で文字を表示すると桁数が多くなることを理解する。
・16進数は,2進数の4桁を1桁で表現することができるため文字数が少なくなり,見やすくなることを説明する。
まとめ
(5分)
・実際のコンピュータ内では,2進数によって文字管理が行われているがソフトウエアなどにおいては表記上16進数が使われることが多いことを理解する。 ・ワープロソフトの「記号と特殊文字」ツールで文字コードの表記を見せる。

5 評価規準

評価規準

  関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解
単元の評価規準 ・コンピュータの情報処理に関して興味をもっている。
・文字コードの成り立ちに関心を持ち,実習に積極的に取り組もうとしている。
・文字の変換方法を考えることができる。
・2進数で情報を表現するために必要な桁数を考えている。
・2進数を16進数に変換できる。
・文字コード表を利用して,単語をディジタル情報に変換することができる。 ・文字コードの仕組みを理解している。
・コンピュータ内で日本語の文字情報が1文字当たり16ビットで表現されている理由を理解している。
学習活動に即した評価規準 ①文字情報を扱うコンピュータの処理に関して興味を持ち,理解しようとしている。
①変換された数値と文字から,変換表を完成させている。
②2進数でアルファベットを表現するために必要な桁数が分かる。
③2進数の4桁で何通りの情報を表現するのかが分かる。
①自分の氏名をディジタル情報にできる。 ①記号と特殊文字のコード表示を見て,2バイト表現であることが理解できる。

指導と評価の計画

時間 学習内容及び活動
(指導上の留意点)
観点別評価内容 評価規準との関連 評価の方法
関心

意欲

態度
思考

判断

表現
技能 知識

理解
発表内容 提出物の内容 授業態度
1時間目 ◎ 文字のコード化
・ポケットベルの文字変換サイト利用して,簡単な文字コード表を作成する。 ・変換表を作成することができる。        
・2進数を利用した情報の表現方法について理解する。 ・2進数表記に変換した文字変換表が作成できる。          
・アルファベット26文字を表現するために必要な2進数の桁数(ビット数)をもとに,漢字などを含めた日本語を表現するために必要な情報量を考える。 ・2進数の桁数と表現できる情報量との関係が理解できている。          
・実際の文字コードを見て,コンピュータでの文字情報の管理について考える。 ・記号と特殊文字ツールの文字コードを見て,表記に16進数が利用されていることが理解できる。        

6 実践結果の考察

 実際のコンピュータの文字変換とは異なるが,ポケットベルの文字変換サイトを利用して文字変換を行うことで,
・文字情報の取り扱いに関して,変換表の存在を意識すること
・扱う文字数に応じて,表示する数値の桁数が多くなること
を実感できるという効果があった。
 年間指導計画の中に位置付けるに当たっては,前後の授業展開も考えて,画像や音声などの文字以外の情報のディジタル化や情報伝達などの内容に発展していく基礎としての位置付けで実施できると効果的であると感じた。

7 おわりに

 実習の導入として,ポケットベルの文字変換サイトを利用したことは生徒の興味・関心が高まり効果的であった。ただし,あくまでも文字情報の取り扱いの例であり,ポケットベルの変換を楽しんで終わることのないように注意する必要がある。また,2進数や16進数の表現の理解に関しては,まだ理解を深める必要がある。生徒自身が,難しいと感じてしまうと,理解しにくくなるため,苦手意識をもたせないように指導する方法を考える必要がある。
 授業内で,文字変換表を生徒に作成させ,実際にコンピュータの文字変換の動作を生徒自身が行った。生徒自身がコンピュータの動きを体験することで,人間とコンピュータとのさまざまな違いを実感した様子がうかがえた。単元目標だけでなく,情報の科学的な理解を進める上での一助になった。