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水耕栽培と動物飼育によるアクアポニックス
※学習指導案
1 実験目的 
 アクアポニックスとは,アクアカルチャー(水産養殖)とハイドロポニックス(水耕栽培)とを組み合わせた造語である。本実験は,魚(テラピア)飼育の水を循環利用(作物が魚の排泄物を肥料として利用)して植物栽培(トマトの水耕栽培)を行う循環型のリサイクル農業の実験であり,地球環境に配慮した食糧生産技術の可能性を考察するとともに,将来の食糧問題について理解させることを目的としている。



2 実験方法
 (1) 水耕栽培装置の作成
    ア  60cm水槽の循環ポンプにホースを接続し,約50cm上部の発砲スチロールに水をみ上げる(写真1)。
                                          
写真1

    イ  み上げられた水は上部の発泡スチロール(30cm×40cm×15cm)の汲み上げ部にたまる(写真2)。
 み上げ部からは自然落下によって水は降下していく。各発泡スチロール部の端には塩ビパイプを取り付け,次の発泡スチロール部に継続的に水が流れるようにする。

写真2

    ウ  写真2のみ上げ部からの水は,2個の発泡スチロール槽(水耕栽培部 21cm×72cm×18cm)に順番に落下するようにし,水耕栽培部上面には発泡スチロール(15cm×68cm)を浮かべこれを作物栽培用ベットとする(写真3)。

写真3

    エ  さらにみ上げ部と同様な発泡スチロールを用意し,水耕栽培部から落下する水を受ける。この部分をサンプル部として,水のpHや成分等を調査する場所とする (写真4)。
                                           
写真4

    オ  サンプル部から水槽に水が戻り,これを繰り返す循環系を水耕栽培装置とした(写真5)。
                                           
※装置作製上の注意点
 ポンプは普通の循環式ポンプ一つを用いて,他の動 力は用いない。塩ビパイプは10cm程度に切断し, L字型にして水が確実に次の部に行くように調節する。 接続には水に強い接着剤を使用し,水漏れ防止を行う。
 また,各部の高さ調整には3段の園芸用フラワースタンドを用いる。水量は全量で約110g。なお,水漏れ防止のために,発泡スチロール内はビニール袋でおおう。
写真5

 (2) 水耕栽培作物(トマト)の準備
    ア  トマトは比較的病害虫に強く,栄養吸収も選択的であるため水耕栽培には適している作物である。バーミキュライトにトマトの種を播種し,1か月程度育て,トマトの苗を作製する(写真6)。

写真6

    イ  育てた苗を根を切らないようにとり,根を水でよく洗い,水耕栽培用ベッドにあけた1cm程度の穴に根を入れ,脱脂綿で固定する。

 (3) 魚類(テラピア)の飼育
    ア  テラピアは熱帯性の淡水魚であり,比較的水質の影響を受けない丈夫な魚である。スーパーではタイ,イズミダイとして売られていたこともあり食用としても利用頻度は高い。約8cm程度のテラピアを用意し,60cmの水槽に4匹飼育する。餌は淡水魚用のペレットタイプのものを使用し,約3g/日程度与える。また,比較対照として60cm水槽に同様なテラピアを飼育し,水質変化等を観察する。エアーは常時エアーストーンで送る。

 (4) 水質検査
    ア  パックテスト(アンモニア,硝酸,亜硝酸)により水質を検査する。
    イ  pHメータによるpHの検査を行う。
    ウ  EC(電気伝導度)電極によりECを測定する。

3 今後の課題
  (1)  水耕のトマト及びテラピアの観察を行い,継続して水質の検査を行う。
  (2)  栽培したトマトとテラピアを調理して,実際に食してみる。
  (3)  魚の種類や栽培する品種を変え,小・中学校でも行える教材として検討する。