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1 目的
 特用林産物出荷額のうちで,大きな割合を占めるきのこの栽培法について学ぶ。特に近年,スーパーマーケット等で定番商品となっているエリンギィの菌床栽培技術の習得を目指す。

2 栽培手順
(1) 培地準備
  培地の基材としてヒノキやスギ等の針葉樹のオガ粉,養分増量としてフスマを添加する。なお,オガ粉とフスマの割合は体積比で5:1とする。かくはん機で均等になるまで混ぜ合わせると共に,水を加える。(図1,2)かくはん機がなければ手で混ぜる。水分含量は,培地を手で強く握って指の間から少し水がしみ出る程度(含水率65%)に調節する。


図1 かくはんの様子 図2 完成培地はベルトコンベアーで次行程へ

(2) 培地ビン詰め
  ビン詰め機を使用し,菌糸ビンに培地を充填していく。(図3)ビン詰め機がなければ手で詰める。この時,培地をふんわりと盛った時の約1.5倍程度に圧縮して詰める。また,菌糸を接種する時のために培地表面に数cmのくぼみをつけておくとよい。(図4)ビン詰が終了すればフタをして,ビン表面の余分な培地くずを洗い流す。

図3 培地を菌糸ビンに充填 図4 圧縮後くぼみをつけた培地
  
(3) 殺菌
 
エリンギィ以外の雑菌が繁殖しないように殺菌を行う。(図5,6)本取り組みでは常圧の殺菌窯を使用しているが,オートクレーブを用いる方法もある。常圧の場合は98℃で数時間かけて殺菌する。
図5 殺菌窯へ運搬 図6 殺菌窯の外観

(4) 種菌の接種
 殺菌後,1晩常温冷却した培地にクリーンルームもしくはクリーンベンチ内でエリンギィの種菌(種菌がしっかりと伸長した培地)を接種する。(図7)1ビンあたり15ml程度を接種する。(図8)この時,雑菌の混入には細心の注意を払う。
図7 クリーンルーム内での作業 図8 接種機を使用

(5) 培養
  接種後は温度25℃,湿度65〜70%で菌糸を伸長させる。(図9)培養期間は1カ月程度となる。この期間中に内部にカビ等の雑菌が繁殖し出した菌糸ビンは取り除く。

図9 培養室

(6) 発生操作
  発生操作ビン全体にしっかり菌糸が伸長すれば(図10),子実体(きのこ)の発生操作に入る。菌かきをして,培地上部をかきとり,子実体発生面を整える。(図11)湿度を90%程度まで高め,17℃で栽培する。やがて子実体の原基が発生し(図12),2〜3週間程度で収穫可能な大きさに育つ。(図13)

図10 伸長した菌糸 図11 菌かき後の整った培地表面

図12 原基発生 図13 収穫可能なきのこ