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手焼き煎餅による未利用魚介類の利用
1 目的
 シオフキ貝は潮干狩りのときにアサリよりもたくさんとれることもある貝である。しかし,砂を多く含んでおり,砂出しの処理に手間がかかることから一般に流通することは少なく,利用されることも少ない。商品価値もほとんどないのが現状である。そこで,シオフキ貝の手焼き煎餅への利用を探り,手焼き煎餅の製造技術を学ぶ。


2 シオフキ貝の砂の量の確認
  シオフキ貝の砂の量を観察してみる。
  採取したシオフキ貝を海水程度の食塩水に漬ける。(図1)
  ナイフを使い採取したシオフキ貝を生剥きしてみると,貝殻の中には大量の砂が残っていた。(図2)
  貝を洗ってみると砂がたくさん集まった。(図3)
図1 採取したシオフキ貝 図2 生剥きしたシオフキ貝 図3 シオフキ貝から出た砂

3 砂出しに必要な日数の調査
  採取したばかりのシオフキ貝には大量の砂が含まれていることから,砂出し処理に必要な日数を調べた。
 (1) 砂出し
   採取したシオフキ貝を200個ずつに分け,網に入れて水面下1m程度の所につるす。(図4)
 (2) 煮熟
   1日ごとに網から上げたシオフキ貝を鍋に入れ,しばらく煮熟する。(図5)
 (3) 煮剥き
   煮熟したシオフキ貝は徐々に貝が開くので,貝殻からはずし煮熟水で身をよく洗う。(図6)
 (4) 砂の量の比較
   煮熟した鍋に残った砂の量を,砂出しさせた日数ごとに比較する。(図7〜9)
図4 砂出し 図5 煮熟 図6 煮剥きしたシオフキ貝
図7 1日目 図8 2日目 図9 3日目

 砂の量を比較すると,4日目以降は鍋に砂が残らなくなったため,その後実際に食べて砂を感じるか官能検査を行った。その結果,6日目で砂を感じなくなり,6日間砂出しさせたシオフキ貝を使用することにした。


4 焼成
  鉄板に調整した生地を並べ,その上に煮剥きしたシオフキ貝を並べ,焼成する。(図10〜12)
  このとき,原材料の水分量や厚さの調整,鉄板の温度と焼き時間など,非常に細かな調整が必要に
  なる。
図10 生地のみ 図11 生地とシオフキ貝 図12 焼き上がった煎餅

5 まとめ
 未利用魚介類の利用としてシオフキ貝の煎餅への利用を考えてみた。形や味は市販のアサリの煎餅と変わらないものができた。(図13)しかし,シオフキ貝の利用を考えた場合に,砂出し処理の日数を短縮化することが必要である。貝の砂の処理方法については,煮熟途中で洗浄する方法など他にもあるが,どのような方法が最適であるか,今後の検討課題である。また,今回はシオフキ貝の煎餅への利用であったが,他の未利用魚介類も含め,新たな利用方法を探り,製品を作ることを継続していきたい。
図13 完成したシオフキ貝の煎餅