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接ぎ木の方法
1 目的
 接ぎ木法は植物の繁殖方法の一つであり,同一品種を繁殖させることに適している。接ぎ木法を行うことにより,病害虫に強い植物を生産できたり,果実については収穫時期を早めたりすることができるという利点がある。接ぎ木法には幾つかの方法があるが,ここでは枝切接ぎ法,芽接ぎ法,腹接ぎ法の三つの方法を図説する。

2 実験手順
 (1) 枝切接ぎ法
  幾つかある接ぎ木の方法の中で最も多くの植物で行うことができる。


手順1の画像 手順2の画像
手順1 根元を残すように剪定ばさみで上部を切る。残す距離が短いほど品質がよいが接ぎ木の技術は必要となる。(台木の調整) 手順2 形成層を見やすくするために台木上部角を斜めに接ぎ木用ナイフで切る。(台木の調整) 
手順3の画像 手順4の画像
手順3 手順2の結果 手順4 手順3で斜めにカットした部位から接ぎ木ナイフで切れ込みを2〜3cm入れる。(台木の調整)
手順5の画像 手順6の画像
手順5 手順4の結果,台木の調整が完成した 手順6 枝を2,3芽ついた状態に切っておく。(穂木の調整)
手順7の画像 手順8の画像
手順7 常緑樹であれば葉を一枚残し,更にそれを半分切った状態にする。落葉樹であれば葉はなくてよい。(穂木の調整)
手順8 45度程度の角度で切る。(穂木の調整)
手順9の画像 手順10の画像
手順9 手順8の結果。(穂木の調整) 手順10 手順8の反対側の樹皮を薄く削ぎ落とす。(穂木の調整)こちらの部分を台木側と合わせる。(手順13)
手順11の画像 手順12の画像
手順11 手順10の結果,穂木の調整が完了した。 手順12 穂木と台木の形成層同士を合わせる。特に穂木の下端と台木の切れ込み部分の下端はしっかり形成層を合わせる。
手順13の画像 手順14の画像
手順13 接ぎ木テープで固定する。最初はしっかり密着するように強めに巻く。 手順14 接ぎ木テープで固定をする。穂木の頂芽は台側に芽が来るようにする。
手順15の画像 手順16の画像
手順15 袋をかけ,水分蒸発や水がかかることを防ぐ。 手順16 1,2週間でうまくできていれば芽が成長し始める。
手順17の画像
手順17 穂木と台木が完全に融合する。

(2)芽接ぎ法
  芽接ぎ法は,枝切接ぎ法の穂木調整のように2,3芽使わず,1芽で済むので経済的である。また,接ぎ木が失敗しても接ぎ直しができる。


手順1の画像 手順2の画像
手順1 台木に切れ込みを2〜3cm入れる。(台木の調整)
手順2 手順2の結果(台木の調整)
手順3の画像 手順4の画像
手順3 切り込んだ部分の1/3〜半分程度切る。(台木の調整) 手順4 手順3の結果,台木の調整完了。(台木の調整)
手順5の画像 手順6の画像
手順5 芽の上部から接ぎ木ナイフで薄く削ぐ。(接ぎ芽の調整)
手順6 削いだ接ぎ芽を斜めに切り,摘出する。(接ぎ芽の調整)
手順7の画像 手順8の画像
手順7 手順6の結果,接ぎ芽の調整完了。(接ぎ芽の調整)
手順8 接ぎ芽と台木の形成層同士を合わせ込む。
手順9の画像 手順10の画像
手順9 芽を出した状態で接ぎ木テープを巻いていく。 手順10 最後に芽を隠す。芽が成長し始めたら芽の部分だけテープをはずす。
手順11の画像
手順11 接ぎ芽と台木が融合した。
(3)腹接ぎ法
  マツ類を接ぎ木するときに使用する方法である。


手順1の画像 手順2の画像
手順1 台木の芯を止め,葉量を減らす。(台木の調整)基本的にはマツ類は頂部成長が盛んなため下部に栄養が行きにくい。
手順2 台木に切れ込みを入れる。(台木の調整)
手順3の画像 手順4の画像
手順3 できるだけ根元に近くにする。また,切り口の深さは直径の1/3程度割り込む。(台木の調整) 手順4 台木の調整完了。
手順5の画像 手順6の画像
手順5 3〜4cmの長さにマツの芽を切っておく。(穂木の調整) 手順6 葉を10枚程度残し,他はむしりとる。接ぎ木ナイフで斜めに切る。(穂木の調整)
手順7の画像 手順8の画像
手順7 手順6の結果。(穂木の調整) 手順8 穂木の両側をくさび形に切る。(穂木の調整)
手順9の画像 手順10の画像
手順9 お互いの形成層を合わせながら穂木を台木に差し込む。 手順10 芽を出した状態で接ぎ木テープをしっかり巻く。
手順11の画像 手順12の画像
手順11 袋に入れ,湿度を保つ。 手順12 腹接ぎ完成

3 動画
 
バラの枝切り接ぎ法とマツの腹接ぎ法について動画で方法を紹介する。(画像をクリックしてください)
バラの枝切り接ぎ法の動画像 マツの腹接ぎ法の動画像
図1 バラの枝切り接ぎ法
図2 マツの腹接ぎ法