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日本独自の文化である盆栽は,海外でもBONSAIで通じるほど人気があります。しかし世界に誇る技術があるにも関わらず,国内の盆栽文化はどんどん衰退しています。盆栽のイメージについて,アンケート調査を実施したところ,「地味・難しそう・細かい」という負のイメージがあることが分かりました。この負のイメージを変えるため,あえてシンプルかつコンパクトなミニ盆栽に挑戦しました。 ミニ盆栽にはツバキを選定しました。ツバキは日本古来の伝統花木であり,年末年始に咲く代表的な花木です。常緑のつややかな葉の美しさだけでも鑑賞するには十分ですが,花色や花の形が多種多様であることや,さまざまな樹形に仕立てられることから,このミニ盆栽は海外でも人気があります。 |
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図1 品種の選定 ツバキ生産者を訪れ,年末年始に開花する品種やミニ盆栽に向く品種を5種選び,挿し穂となる小枝をいただきました。 |
図2 挿し木繁殖 挿し木繁殖の成功率を高めるため,鋭利なハサミを使用し,切り口には発根促進剤をつけました。 |
図3 発根を確認 挿し木後,発根の様子を確認しました。品種ごとの発根率を調査しましたが,有意な差はありませんでした。 |
図4 挿し木苗の鉢上げ 挿し木苗の発根と植物体の成長を促すため,鉢上げを行いました。鉢上げ用土には赤玉土とエゾ砂を配合した排水性のよい用土を採用しました。 |
図5 仕立て アルミ線を45度の角度で巻き付けて,曲げることにより主茎を矯正していきます。 |
図6 植物ホルモンの散布 挿し木繁殖の場合,開花まで2〜3年を要しますが,当年開花を目指し,植物ホルモンを散布しました。 |
図7 盆栽の鉢づくり 若者や海外の方に注目してもらえるように,常滑焼きの陶芸家に助言をいただきながら,鉢作りも行いました。 |
図8 ツバキのミニ盆栽の完成 ツバキの盆栽は大鉢(50cm〜1m)が主流ですが,手のひらサイズのミニ盆栽が完成しました。このミニ盆栽は,挿し木苗による当年開花や若者受けするようにシンプルなデザインにしました。 |