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電子レンジの不思議

1 はじめに

 電化製品として、多くの家庭にある電子レンジ。食品を温めるのによく用いますが、どんな原理で食品が温まるのでしょうか。


2 電子レンジで食品が温まる理由

 電子レンジはマイクロ波と呼ばれる電磁波を発生させ調理をする装置です。マイクロ波の発生にはマグネトロンと呼ばれる真空管が使われ、2,450MHzのマイクロ波が放出されます。この2,450MHzの振動数というのは、水分子の固有振動数に一致するため、食品に含まれる水分子の振動を激しくさせる働きがあります。物質中の水分子の振動が激しくなると、そこに摩擦熱が発生し、物質の温度が高くなるのです。その結果、電子レンジは食品を温めることができるのです。


 普通に少しだけ膨らませた風船と、風船内に少しだけ( 20ml 程度 )水を入れた風船を電子レンジで温めてみました。温められた水がやがて沸騰し、水蒸気となり、体積が増加し風船が膨らみます。(注 風船が膨らみ始めたら電子レンジのスイッチを切りましょう)


(温めた後の風船)

(動画)


3 電子レンジでカップの水を温めてみよう

 2つのカップに等量の水を入れ、一方はそのままに、他方はアルミ箔でおおいます。この2つのカップを電子レンジで加熱してみます。ふつうのカップを55℃程度まで温度上昇させても、アルミ箔で覆った方のカップの水は、18℃程度と冷たいままです。これは、電子レンジ内で発生したマイクロ波が、アルミ箔によって進入を阻害されたからです。一般的にマイクロ波などの電磁波は、金属中を通過することができないという性質をもつからです。


 電子レンジのガラス扉をよく見てみると、ガラス扉の表面に金網が貼ってあることが分かります。この金網は、電子レンジ内で発生したマイクロ波が電子レンジ外へ出ていくのを防いでいるのです。マイクロ波は、その波長より小さな穴を通り抜けられないという特性をもっています。もし、この金網で、マイクロ波の放出を防げなかった場合、電子レンジ周辺の水分子がマイクロ波の影響を受けてしまいます。つまり、台所にあるレタスやリンゴ、花瓶の水などが温められてしまうことになります。


(温めた後のカップ)


4 電子レンジで電磁波を遮断してみよう

 電子レンジが内部のマイクロ波を外に出さないならば、反対に、電子レンジ内には外部からの電磁波も進入しないことになります。そこで、電子レンジ内に、小型ラジオを入れて放送を受信させてみます。また、携帯電話を入れて別の電話から発信して、普通に着信するかどうかを確かめてみます。(注 電子レンジのスイッチは入れないようにしましょう)


 ラジオでは、FM局は予想通りレンジ内でクリアーな放送は受信できませんでしたが、AM局ではレンジ内でも放送は受信できました。また、レンジ内に置いた携帯電話は、着信しませんでした。電子レンジのマイクロ波の波長に近いFM放送の電波や携帯電話の電波はレンジ内に進入しにくいですが、波長が比較的長いAM放送の電波は、レンジ内にも進入しやすいという違いがあるようです。


参考文献

理科の自由研究 成美堂出版



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