簡易ラジオの製作
1 はじめに
交流・電磁波・半導体の単元において、生徒が興味・関心をもって学ぶことができる教材として、以前からゲルマニュームラジオはよく取りあげられてきた。近年、半導体素子などの性能が非常に向上したこともあり、安価で感度の良いラジオを身の回りの材料を用いて製作する。
2 準備
ダイオード:1個
イヤホン :クリスタル型またはセラミック型 1個(マグネット型は不可)
エナメル線(0.4oφ程度)、 塩ビパイプ(水道用10oφ)
フェライト棒(なくても良い)、台所用アルミ箔、紙やすり少々
3 製作
(1) コイル:塩ビパイプを10p程度に切り、エナメル線を約100回巻く。
(2) コンデンサー:数p四方に切ったアルミ箔を2枚作る。接触を防いだり、保護のためにも厚手のビニール袋に1枚ずつ入れると良い。
(3) 図のように、コイル、コンデンサー、ダイオード及びイヤホンを結線する。(ダイオードの極性は関係ない。)
4 実験方法
(1) 屋外の適当な柱を利用してエナメル線で数m程度のアンテナ線を張る。
(2) ラジオにアンテナをつなぐと、直ちにイヤホンから放送を聞くことができる。(驚くことに、コンデンサーやコイルを調整するまでもなく何らかの放送を受信しているので、後はアンテナの向きを変えて感度をあげる。)
(3) アルミ箔のコンデンサーの極板を動かし、その容量の変化で選局できることを確かめる。
(4) コイルの芯を出し入れして、その自己インダクタンスの変化で選局できることを確かめる。
5 考察
(1) フェライト棒は無くてもよいが、このときQ値が低下し、周波数の近い電波が重なって受信されることがある。
(2) 生徒に対する考察例
a)電波を選ぶのはどの部品か。また、どういったしくみか。
b) 電波から電気信号を取り出すのはどの部品か。
c) 電気信号を音声に変えるのはどの部品か。また、どういったしくみか。
d) なぜFM放送は受信できないのか。
е) このラジオは電池がいらない。市販のラジオでは、なぜ電池が必要か。
参考文献
高等学校用教科書 物理の世界[TA] 東京書籍