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LEDを用いたコイルの自己誘導の観察

1 はじめに

 コイルの自己誘導を定性的に観察するとき、ネオン管の点灯で示す実験が多く紹介されています。しかし、ネオン管を点灯させるには60V程の誘導起電力が必要なため点灯がよく分からなかったり、コイルの自己インダクタンスが小さいと点灯しなかったりします。そこで、LEDを用いて比較的楽に観察する回路について紹介します。

2 LED(発光ダイオード)のしくみ

 P型半導体とN型半導体を接合させた構造を持ち、整流作用を持つのは物理の「電流」分野で扱うダイオードと同じです。この中で、特定の半導体の組み合わせでは、接合付近での電子と正孔の再結合で、両者の持っていたエネルギーが光として放出される現象があります。これを利用したのが、LED(=Light Emitting Diode;発光ダイオード)です。市販されている普通のLEDは、発光に必要な最低電圧があり、だいたい 1.6〜2.0Vです。そのため、1.5V乾電池1個では点灯しませんが、2個を直列にすると点灯します。

3 回路図



4 回路の説明

 基本的には、指導書などで紹介されている「ネオン管を用いた自己誘導の観察」の実験で、ネオン管をLEDにするだけです。ただし、以下の留意点があります。

(1) LEDには整流作用があるので、向きが重要です。回路の電流が0になる際に生じるコイルの誘導起電力で点灯する向きに取り付けます。「発光ダイオードで交流の観察」で紹介している赤緑2色発光ダイオードを用いれば、向きを心配する必要はありません。しかし,回路の電流が0になる際に生じるコイルの誘導起電力で点灯するので,赤か緑の一方しか点灯しません。

(2) スイッチのon-off では1回のみの点灯だけで観察しにくいので、スイッチを金属ヤスリと導体棒に変え、金属ヤスリの上で導体棒を擦らせながら動かせば、それが連続のon-off になり発光が持続して観察しやすくなります。

(3) コイルは、エナメル線を30回程巻いたもので十分です。ホビー用に市販されている、小さいビニル袋に入ったエナメル線をそのまま出せば使えます。

5 参考文献

 電気回路のしくみ   1995/稲見辰夫/日本実業出版社
 高等学校 物理TB 改訂版  啓林館

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