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タイミングディスクモーターの製作



1 タイミングディスクモ−タ−


  通常のモーターは、電磁石の回転子を永久磁石や電磁石の磁界の中で回転させるものである。タイミングディスクモーターは,円盤の縁に永久磁石を数個取り付けたものを回転子とし,電磁石の磁界の中で回転させるものである。教材用のタイミングディスクモーターは,安価また容易に製作することができ,動作原理も理解しやすい。

                   

2 円盤が回るしくみ     

           
 回路図は図1の通りである。フェライト磁石A〜Dは,同じ極が外側を向くように円盤に取り付けてある。わずかな回転を与えると,円盤の磁石Aがリ−ドスイッチに近づく。その瞬間に電磁石に電流が流れ,電磁石に磁気が生じ,磁石Bを引き寄せ(極性によってはしりぞけ)る。その結果円盤は回転するので,磁石Aがリードスイッチから離れる。その瞬間に電流が途切れ,電磁石から磁気が消えるが,円盤は慣性で回転を続ける。ここで,次の磁石Dがリ−ドスイッチに近づき、再び電磁石に電流が流れて磁気が生じる。このような一連の現象が繰り返されて,円盤が回転を続ける

3 製作

必要な部品

作り方の手順

(1)回転子を作る

   厚紙の円盤(直径84mm) の片面に木片(20mm)を4個図2のように対称な位置に取り付ける。その先端に1個ずつフェライト磁石を外側に向けて極の向きがどれも同じになるようにして,木工用接着材で直角に取り付ける。その木片の上に円盤(直径70mm)を乗せ,円盤の中心に竹串を通してコマのような形の「回転子」を作る。

(2)枠組みの箱を作る

                            
  3.5インチ用のフロッピーケース(1枚用)を2個直角に組み合わせて,箱型の透明な枠組みを作る。下部のアクリル板の合わせ部分は,接着剤で固定する。上部の合わせ部分は,後で回転子を入れるときに,上の面が開閉できると抜き差しに便利であるので,接着せずそのままにしておく。この箱の上の面の中心に小穴(3mm)をあけ,竹串の上部を押し込み,回転子を直立させる。竹串の先端を受け止める「軸受け」の部分には,フィルムケースのふたの中心のくぼみを利用する。        

(3)リードスイッチとLED(発光ダイオード)を取り付ける 

 図1のように,リードスイッチとLEDを並列にして,電磁石と乾電池に直列につなぐ。リードスイッチの取り付ける位置や向きは,回転子を回転させながら調節し,フロッピーケースの外側に円盤の磁石と同じ高さの位置に接着テープで固定する。また,LEDをフロッピーケースの箱の上面の端の穴に差込み、接着剤で固定する。              

(4)電磁石作る

                  
ボルトにストローをかぶせて絶縁し,その上にエナメル線 を7mぐらい巻き付ける。                         

(5)回転子を回す方法                      

  配線を確認した後,1.5Vの乾電池につなぐ。次に電磁石を手に持ち,図1のように円盤の面と平行に円盤上の磁石に近づけ,竹串の上部を指先で摘んで,左右どちら かに回転させると,その回転が電磁石と磁石との作用で加速されて勢いよく回転し始める。回転がすぐに止まる場合には,電磁石の角度を変えてよく回る位置を探す。

4 タイミングディスクモーターの特徴     

  ・簡単な構造で作りやすい。安価に作れる。                  
  ・回転する速度を簡単にかえることができる。しかも無段階変速が可能である。
  ・電磁石と磁石との間の磁気的な引力や反発力を指先の感触でとらえることができる
  ・高速で安定した回転(測定したら最高1秒間に20回転)がえられる。     

 

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