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レーザー発振器と太陽電池を用いた光通信

  

1 はじめに
 ヘッドホンステレオ(携帯用カセットレコーダー)の電気信号を指示棒代わりに市販されているレーザー発生装置を使って送信し、これを光電池(太陽電池)で受信して別のラジカセで音声に変換する光通信の実験装置について紹介する。

2 実験装置の製作
(1) 準備
・レーザー発振器 
・光電池(太陽電池)模型用 2000円程度
・単4電池ボックス(2本用)1個 
・2mHコイル(1mH〜10mH使用可)1個
・ピンプラグ端子(ラジカセ、ヘッドホンステレオの端子の規格)2個
・リード線 
・ラジカセ(マイク端子付き)
・ヘッドホンステレオ(ウォークマンタイプが小型で使いやすい。)

(2) 製作
ア)送信部
電気信号をレーザーポインターに入力するための端子とコイルをとりつけるが、レーザーのケースに傷をつけたくないので、電池ボックスの裏蓋のみを交換する。

 @ 単4電池ボックス(プラスチック製)の片面をカッターで切りとる。
 A コイルとピンプラグをはんだづけする。
図1


イ) 受信部
光電池とピンプラグをリード線で接続する。


3 方法
(1) レーザーポインターをヘッドホンステレオの出力端子(ヘッドホン端子)に接続し、光電池をラジカセの入力端子(マイク端子)に接続する。 
(2) ラジカセを録音準備の状態(ポーズボタンを押した後、録音ボタンを押す)にする。この時、光電池が室内の光を拾ってブーンという音を出している。
(3) テープをスタートさせ、レーザー光を光電池に当てると、光電池はレーザー光の明暗の変動信号(目で見ても判断できないが)を電気信号に変換し、これをラジカセが増幅して音声として聞きとることができる。


図2


4 実験の応用と発展
(1) 図3の様に50Ω程度の抵抗を回路 に挿入することで、レーザー光の明暗が音に合わせて変化することを目でみて確認できる。
(2) 光ファイバーを通してレーザー光を光電池に入射させることで、光ファイバーの特徴についても説明できる。
(3) 受信部を光電池に変えて、光センサーやフォト・トランジスタ、または、フォト・ダイオード等を使って、半導体について知見を広げることもできる。
図3
5 考察
(1) 20〜30m程度は確実に通信可能であり、校舎の廊下や日中の教室でも十分に実験ができるが、暗幕のある実験室や夜間であれば蛍光灯の光に よるノイズがなく、さらに鮮明な音が期待できる。
(2) 市販されている太陽電池は、0.5V 300mAで1500円程度から各種あるが、ほとんどのものが使える。太陽電池付きのキーホルダーを見つけたので分解して、この光電池で試してみたが良好な結果だった。
(3) この実験での光通信は、あくまでアナログ通信の範囲であり、実用化されているデジタル通信ではない。


参考文献
1) ワイテックデザインメ@横浜市中区長者町4-9-8
     045-651-7544
2) 中田朝夫:理科の教育 8 (1994) 50ー51
3) 小川順二,石川幸一:理科教室 33-12 (1990) 172
4) 福山 豊:物理教育 40-2 (1994) 214
5) 片桐 泉:物理教育 40-2 (1994) 215

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