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サイコロを用いた原子核崩壊のモデル実験についての考察
原子核崩壊による原子核の減少は、多数のサイコロを何度も振り、特定の目のものを除いていくモデル実験により、そのイメージをつかむことができる。この実験について、いくつかのことを考察してみた。
1.準 備
サイコロ多数
2.方 法
このモデル実験の方法は、以下の通り。
(1)多数のサイコロを準備し,全体の数を調べて、一度に振る。
(2)振ったサイコロの内、特定の目のものを取り除き、残りの数を調べる。
(3)残ったサイコロを、再度振り、同様の作業を繰り返す。
(4)振った回数を横軸に、残ったサイコロの数を縦軸にしてグラフ化する。
3. 考 察
考察した内容は以下の通り。
(1)立方体以外のサイコロの使用について
(2)必要なサイコロの数について
(3)取り除く目の数について
(4)半減期の測定について
4.結 果
実験及び考察の結果は、以下の通り。
(1)立方体以外のサイコロの使用について
通常使用する立方体のサイコロ(各面の出現確率:1/6)の代わりに、化学の分子模型に使用する部品で作ったサイコロを用いて、3種類の実験を行った。この結果より、通常のサイコロと同様、良好な結果が得られたといえる。この利点としては、数字のある6面以外の面も約20%出現するため、減少の勢いを緩やかにすることができる点である。またこれ以外のサイコロ(例.正八面体等)を用いても、実験は可能である。
(2).必要なサイコロの数について
実験では、100個のサイコロを用いて5回ずつ行った。結果のグラフをみると100個では1回1回の実験の誤差がまだ目立つが、5回分を合わせてみると、きれいな変化のグラフが得られた。これより、サイコロは 500個分程あれば十分である。(無い場合は、何回か実験して合計するとよい。)
また、各実験とも、残りのサイコロの数が10個程度になると、誤差が生じやすくなるので、このあたりが実験終了の目安であると思われる。
(3).取り除く目の数について
実験では3種類(取り除くのは:1 だけ/1と2/1〜3)行った。なおこのサイコロでは、各自の出現確率は約13%である。グラフの横軸の取り方にもよるが、1 目だけでは変化が緩やか過ぎ(⇒実験に時間がかかる)、また3目では急に変化しすぎるために、2目程度が適当ではないかと思われる。通常のサイコロでも、1
目または2目が適当であると思われる。
(4).半減期の測定について
実験で得られたグラフより、サイコロの減少の半減期:Tを求めた。結果は、以下の通り。(単位:回)
取り除く目 | T | 2T | 3T | 半減期 |
1だけ | 4.9 | 9.7 | − | 4.9 |
1と2 | 2.3 | 4.4 | 6.6 | 2.2 |
1 2 3 | 1.5 | 2.7 | 4.0 | 1.4 |
(参考文献)「 啓 林(5月号)」 啓林館 1996
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