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電卓の液晶素子を用いた偏光の実験


 電卓の液晶ディスプレイなどに使われている液晶素子を用いて、偏光について理解を深める。 また、液晶の役割について基礎的な知識を得る。


準備

 










 電卓のケースをドライバーなどを用いてこじ開け、液晶素子の上面に貼ってある偏光板をはがし、再び元に戻しておく。





実験

 準備した電卓とはがした偏光板を生徒にわたして、自由に観察させ、気づいたことを発言させる。

(予想される発言)

  @偏光板を重ねないと数字の判読はできない。

  A偏光板を裏返して重ねるとバックと文字の白黒が反転する。

説明

1)電卓のディスプレイ部の構造について

  ディスプレイ部の下面から、反射板→偏光板→液晶セル→偏光板と順に重ねてあり、反射板からの透過光を観測することになる。(図1

2)液晶セルの性質について

  数字キーを押すと液晶セルの数字部分に電界がかかり、その他の部分に対して透過軸の方向が直角に変化する。(図2

 (電界をかけないとき、液晶セルを透過する光はその前後で偏光の方向が90°変化しているが、これが元に戻るわけである。)

3)@の理由

  反射板からでて、液晶セルを通過した光は偏光になっており、その偏光の方向は数字部とその他の部分では直交している。
 しかし、偏光板を置かない限り人間の目には判別できない。

4)Aの理由

  取り除いた偏光板の透過軸は図3のようになっていて、この偏光板を90°回転させたり、裏返したりすれば透過光の明暗が逆になる。

説明を補足する演示実験

 市販の偏光板を大きめに切り、2枚用意する。一方の偏光板から下図のように数字のパーツを切り抜き、透過軸が90°変わるようにして、入れ替えてはめ込む。この板が、液晶セルのモデルである。もう1枚を重ねて見ると、電卓のディスプレイと同じ現象が観察できる。

参考文献

 平山 修:物理教育3511987116


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