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コンパクトディスクを用いた反射型回折格子の実験



1 はじめに

 コンパクトディスク(CD)やレーザーディスク(LD)は、音や画像を電気信号に変えてこれをコード化したのち、円盤上に小さい溝としてデジタル的に記録してある。  こ1 のCDを多数の溝が直線状に等間隔で刻まれている反射板とみなすことで、CDに白色光が当たると虹のような色が見える理由を考えたり波長がわかっている単色光の反射角度から溝の間隔を求める実験について紹介する。

2 準備

 懐中電灯、レーザー発振器(レーザーポインターが小型で使いやすい)、実験スタンド、ものさし(50p)またはメジャー、スクリーン用白紙、CD(コンパクトディスク)

3 方法 

§1 CDの溝間隔(または格子定数)を求める実験

図1
(1) レーザー発振器を固定したスタンドとCDを水平な台上に置く。
  注意:レーザー光を決して目に当てないようにする。
(2) 図1のように、CDで反射した光が輝点をつくるように距離をとり、実験台に垂直になるようにスクリーンを設ける。 (スクリーンは壁に白い紙を貼る。)
(3) 0次の反射光(図でθ=0゜)が光源のレンズにまっすぐ反射されるようにスタンドの金具を微調整する。
(4) 室内をやや暗くして、各距離L、x 、xをそれぞれ、ものさしで測る。  (○○.○p 有効3桁で)

図2                        図3
(5) 1次の反射角・2次の反射角を、それぞれ計算する。

     sinθ=L/√L+x : sinθ=L/√L+x

(6) 溝間隔(格子間隔)をd[m]、レーザー光の波長をλ[m]とすると、明線の条件式は

     dsinθ=mλ (m=0、1、2・・・)

 となり、これよりdを求める。


§2 白色光の反射光の観察

 レーザー発振器を懐中電灯に替えて、白色光と同様にして実験する。このとき、懐中電灯とCDとの間にボール紙で作ったスリットを設けるとよい。また 、実験をする前にスクリーンにどのような模様があらわれるかを予想しておくとよい。


〔生徒の考察例〕

(1) スクリーンにはどのような模様があらわれたか。スケッチせよ。また、その理由を考えよ。 
(2) 入射光の波長が400nm〜700nmの範囲の可視光を含んだ白色光である場合、L=50pなら1次の反射光の広がりはスクリーン上で何pになるか。計算せよ。 但し、格子間隔は、1.60×10−6[m]であるとする。


4 結果

レーザー光の波長:λ=670nm 
 
 測定値:           
 L[p]  x [p]  x [p]
 22.3  48.7  14.3


    sinθ=L/√L+x=0.223/√(0.223)+(0.487)=0.417
    sinθ=L/√L+x=0.223/√(0.223)+(0.143)=0.842
 
1次の反射光(m=1)のデータで計算

     1×λ       1×670×10−9
d=────── =  ─────── = 1.61×10−6[m]
      sinθ          0.417
 
2次の反射光(m=2)のデータで計算

      2×λ        2×670×10−9
d=────── = ─────── = 1.59×10−6[m]
      sinθ         0.842


       dの平均値   1.60×10−6[m]

     ∴ 格子定数   6.25×10 [本/p]


5 授業における活用例

単 元 「物理」における「光の回折と干渉」
〔導 入〕  回折格子について学習した後、反射型の回折格子の原理を理解する。
〔展 開〕  赤色レーザーによる格子定数の測定を§1の手順に従って実施し、格子定数を求める。探究的学習の要素を取り入れる場合は、波長の異なる(例えば緑色の)レーザーを用いて、§1で求めた格子定数をもとにレーザー光の波長を求めるなどの展開が考えられる。
〔まとめ〕  格子定数やレーザー光の波長の正解を発表し、班ごとの結果が正しかったか確認する。誤差が出た場合は、その原因を考察する。
参考文献 :平成5年度大学入試センター試験「物理」

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