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蛍光灯の光で静止して見える白黒コマ(その1)

1 はじめに

 蛍光灯は、点滅している。蛍光灯の下で回転する白黒コマの模様を見ると、点滅の振動数とコマの回転数が同調したとき、白黒模様が静止して見える。そこで、長時間回転が持続するコマの作成方法と、その模様の作り方について紹介する。

2 静止して見える条件

 円板表面の円周上に白点(あるいは黒点)が N 個あり、円盤を n 回/秒で回転させた時、白点が隣の白点の位置まで進むのにかかる時間は、1/Nn 秒である。光源が f 回/秒の点滅であるとき、点滅の周期 1/f 秒と1/Nn 秒が一致すると、白黒の明暗模様は変わらないから止まって見える。よって、n=f/N の白点(あるいは黒点)が円周上に均一に並ぶように模様をつくる。  「4 モデル(装置)の製作方法」で模様を作る時は、枠は白点も黒点も必要だから1を打ち込む数は N の2倍になる。

3 コマの製作方法

 コマは、ビー玉をCD板の穴に接着して(図1)作る。穴においたビー玉の周囲に接着剤を沿わせていけばよい。1度塗って少し乾いてからもう1度塗って、1日ほどかけてしっかり乾かせば接合する。接着剤はエポキシ系のものがよいが、「多用途接着剤」のような一般的なものでもよい。衝撃に対し丈夫であればどんなものでも構わない。

 
(図1) 側面から見た図

4 モデル(装置)の製作方法

 模様は、同心円状の白黒パターンにする。市販の表計算ソフトを用いて作成する。例えばあるソフトで作成する手順は以下の通り。

(1) A1のセルから横に、白黒の模様の数だけ1を打ち込む。ただし、打ち込む数は偶数にし、あまり多くしない(数個〜30個くらい)こと。

(2) (1)と同様に、A2のセルから横に1を打ち込む。(1)で打ち込んだ数より10個ぐらい多くするのが望ましい。

(3) あとはA3、A4、・・・ と続けて(2)と同様に1を打ち込む。縦に並んだ列の数だけ、同心円が作られる。

      画面の例
 
※ 画面の都合上、上の例では(2)(3)での打ち込む数を4ずつしか増やしていない。

(4) A1から(3)の最後のセルまで範囲を指定(色が反転)する。

(5) メニューバーの〔挿入−グラフ〕をクリックし、〔ドーナツ〕を選ぶ。

(6) 〔次へ〕−〔完了〕と続けてクリックをすると、データを打ち込んだシートと同じシートにドーナツグラフが作成される。

(7) 一番外側の円を指定し、境界だけ残してデータ領域の部分をすべて白くする。

(8) 外側から2番目、3番目と続けて行い、境界線だけを残して、残りの領域をすべて白くする。

(9) 図2のように、一つおきに領域を黒くしていく。

※ (7)〜(9)の具体的な操作方法は以下の通り
 一番外側の円周上にマウスを動かし2,3度クリックをすると、外の円上に点が並ぶ。このときに右クリックをするとメニューが出てくる。〔データ系列の書式設定〕をクリックし、「パターン」のタブで「領域」を白に、「オプション」のタブで「ドーナツの穴の大きさ」を15%にし、〔OK〕をクリックする。
 外から2番目の円周上にマウスを動かしてクリックをし、円上に点が並んだら、右クリックをする。メニューの〔データ系列の書式設定〕をクリックし、「パターン」のタブで「領域」を白にして〔OK〕をクリックする。これを1つ1つの円で行うと、すべての領域が白くなる。
 次に、黒くする枠の中にマウスを動かし2,3度クリックをすると、4隅に点ができる。右クリックをし、〔データ要素の書式設定〕をクリックする。「パターン」のタブで「領域」を黒にして〔OK〕をクリックすると、その枠だけ黒くなる。1つおきにこれを繰り返して模様を完成させる。

(10)プリンターで打ち出す。

(11) 打ち出したグラフを、一番外の円の直径が12cmぐらいになるように拡大する。円周に沿って切り、CDコマに貼る。(プリンタードライバで倍率を調整し、CDラベルに打ち出してやると楽である。)

※ 以上が面倒なら、図2を拡大コピーして利用してもよい。


5 その他

(1) コマを蛍光灯の下で勢いよく回すと、「2 静止して見える条件」に当てはまる回転数になるにつれて、模様が静止して見える。回転と同じ方向に動く模様が静止していき、そして静止後、逆方向に動き出し見えなくなる。これが、白黒の数の少ない内側の円から始まり、徐々に外側の円に移っていく( 図4,5 )。なお、蛍光灯は東日本で100回/秒(家庭用電源の周波数50[Hz]の2倍)、西日本で120回/秒(同60[Hz]の2倍)の点滅である。

(2) インバーター付き蛍光灯は、ちらつきを無くすために点滅の周波数を大きくしてあるので、模様が静止して見えない。

(3) 太陽光や白熱電球では模様が見えない。

(4) 走行中の自動車のタイヤのホイールが止まって見えたり、逆回転して見える現象は、このコマの原理と同じである。

     
(図2) (図3)


     
(図4) (図5)

参考文献

土屋光義:研究紀要第34巻、2.視覚的に注目をひく物理教材(日本理化学協会、2002)
山畑真樹:北海道大会 研究発表論文(資料)集、52ページ(日本理化学協会、2003)
今泉三郎:平成13年度東西三河理科(物・化)教育研究大会、蛍光灯の点滅を実感させるこま(2002)



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