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音声モーターの製作


1 はじめに

   最近、さまざまなところで超音波を利用した機器が使われている。例えば、メガネやコンタクトレンズの洗浄器、医療分野でのCTスキャナーなどの診断機器である。そして、高級一眼レフカメラのオートフォーカスの動力として超音波モーターが利用されている。同じ音波である音声でも、モーターを作ることは可能であろうと考え、手軽な音声モーターの製作を試みた。
 

2 目 的

   音声の振動を利用して物体を動かすモーターを、ペットボトルと空き缶で手軽に作ることができる。音声モーターを作り、音波の理解に役立てる。


3 準 備

(1) 材 料
   ペットボトル(500cc)2本,アルミ缶(350cc),セロテープ,カッター,ナイフ

(2) 作り方
   ア ペットボトル1個の底を空き缶の側面の形に切り取る。(ペットボトルAとする。) ペット
       ボトルAの一番よく回転する形は、空き缶の側面とペットボトルの切り取ったところがピ
       タッと同じ形になるものである。同じ形に切り取る工夫として、四角い形のペットボトル
       にコンパスを用いて空き缶の形の円を描き、はさみやカッターナイフで切り取るとうまく
       できる。ペットボトルには鉛筆では線が引けないので、コンパスの線を引く部分に油性
       のペンを固定する。ペットボトルAの上部(口の方)側面に直径2p程度の穴をあける。

                                               

   イ もう一つのペットボトルの底を切り取る(ペットボトルBとする)。このペットボトルの口を、
      アで作ったペットボトルの穴に差し込みセロテープで固定する。

                                               

   ウ 空き缶を上にのせれば出来上がり。

                                          

4 超音波モーターのしくみ
   ゴムのような弾性体を圧電セラミックスに接着する。圧電セラミックスに電圧をかけて数万ヘルツの超音波振動を起こさせる。振動はタテ振動であるからそのままでは回転力にならないが、弾性体が密着していると、弾性体の表面に一定方向に進む波(進行波)を起こさせる。すなわちタテ振動の定常波を進行波に変えている。下図のように、弾性体の一点は楕円運動をして、上に置いた物体は波の進行方向と反対に移動する。波乗りの原理とよく似ている。サーフボードが前に進む原理を応用したモーターである。

                                          

5 実 験
   空き缶をのせていないペットボトルAの底に口をあて、大きな声を出す。上に置いた空き缶が振動で回り出す。軽いアルミ缶はよく回ったが、スチール缶でも少しずつ回った。声の高さや大きさを変化させてみると、いくつかの特定の高さの声のときによく回った。声が大きいほど回転は速くなる。
   よく回転するペットボトルの台の形を調べるために次の三つの形で試してみた。
  @ 空き缶の側面の形に合わせて切り取り支えた場合
  A 摩擦を少なくさせるために4つの点で空き缶を支えるように切り取った場合
  B 空き缶と接するところが面になるような場合
 どの形でも回転するが、一番よく回転したのは@のときである。このことは音声モーターは摩擦動力であるから、ある程度の接触面積が必要であることを示している。

                                           


                    

   次に、下の写真のように、低周波発振器をアンプ、スピーカーにつないで安定した音で実験を試みた。私が作った音声モーターは、450Hzくらいの音で安定した回転が得られた。アルミ缶が約6秒で一回転した。ボリュームを上げていけばさらに速く回転した。回転の指向性を高めるためにペットボトルAのアルミ缶をのせるところに、一カ所ゴムを張り付けて同様の実験をしてみると、450Hzくらいの音でアルミ缶が約5秒で一回転するようになった。

                            

                  

参考文献 NHKブックス「超音波の世界」 本多敬介著


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