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簡易分光器を用いた太陽光スペクトルの観察
1 目的
(1) 分光の仕組みを理解する。
(2) 太陽光のスペクトルとその他の光のスペクトルを比較し、その特徴を理解する。
2 準備
筒(筒状であればどんな筒でもよい)、グレーチングシート(レプリカフィルム)または不要となったCD、黒画用紙、セロハンテープ、その他文房具
3 方法
【分光器の作成】
(1) 厚紙を筒の断面よりもやや大きめに切り、中心に直径1cm程度の穴をあける。断面より大きい部分はひだ状に切り込みを入れておく。
(2) 穴の上に2cm四方に切り取ったグレーチングシート(またはCD片)を置き、セロハンテープで4隅を固定する。(写真1)
写真1 |
(3) 出来上がったものを筒の片方の断面に乗せ、ひだを折り曲げてしっかりとセロハンテープで固定する。(写真2)
写真2 |
(4) 黒画用紙を筒の高さに合わせて切り、丸めて筒の中に入れる。(写真3)
写真3 |
(5) アルミホイルを筒の断面より十分大きく切り、中心を2cm四方に切り取る。
(6) 黒画用紙を2枚使ってスリットを作り、それをアルミホイルの穴に合わせて貼る。(写真4)
写真4 |
(7) 出来上がったもので筒のもう一方を包み、輪ゴムで固定する。(写真5)
写真5 |
(8) グレーチングシート側からのぞき込みながら、スペクトルが見やすくなるようにスリットの角度を調節する。(写真6)
写真6 |
【光のスペクトルの観察】
(1) 太陽光のスペクトルを観察する。
(2) 蛍光灯や白熱電灯、水銀灯、LEDなどの光のスペクトルを観察し、太陽光のスペクトルとの相違点を考察する。
※留意点
・太陽光を観察する際は、太陽の周りの雲を見るようにし、決して直接太陽光をスリットへ入れないように注意する。
・CDを切る際は十分注意する。CDのレーベル面は、カッターなどで軽く傷つけた後、セロハンテープを用いると簡単にはがすことができる。
4 結果
グレーチングフィルムを利用したものは、太陽光スペクトルのフラウンフォーファー線まで確認することができた。CDを利用したものは、グレーチングフィルムに比べてややぼやけてしまい、解像度が落ちていた。
5 授業における活用例
単 元 | 「物理」の「光の伝わり方」 |
〔導 入〕 | ディスプレイやプロジェクターから表示されるさまざまな色の光が、赤・青・緑3色の光の強さを調節して作り出されているという身近な事例から、白色光がさまざまな色の光が重なりあったものであることを学ぶ。 さらに、屈折を利用するなどして光を分散させ、スペクトルが観察できることを学ぶ。 |
〔展 開〕 | 簡易分光器を実際に作製し、どのような光源を観察するか考え、案を出し合う。 白熱灯、蛍光灯、水銀灯、太陽、LEDなどが出す光を観察し、スペクトルの違いが生じた理由を発光原理などから考察する。 線スペクトルや連続スペクトル、フラウンホーファー線について学ぶ。 |
〔まとめ〕 | 本実験ではスペクトルの観察のためにグレーチングシート(またはCD)を用いており、プリズムを用いる場合のような光の屈折ではなく、回折光の干渉により光を分散させていることを紹介する。 |
6 その他
この実験教材は、高等学校学習指導要領解説(理科編)における | |||
科学と人間生活 | (2) 人間生活の中の科学 ア 光や熱の科学 (ア) 光の性質とその利用 | ||
物理 | (2) 波 ウ 光 (ア) 光の伝わり方 | ||
(4) 原子 イ 原子と原子核 (ア) 原子とスペクトル | |||
地学基礎 | (1) 宇宙における地球 ア 宇宙の構成 (イ) 太陽と恒星 | ||
という項目において利用できる。 |
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