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ガウス加速器をつくろう

1 はじめに 

 ガウス加速器とは,ネオジム磁石の強力な磁力を利用して,鉄球を打ち出す装置である。磁力に引かれて衝突した鉄球が,その前に並んでいた鉄球を大きな速度で打ち出す,まるで運動量保存則を無視しているかのように振る舞う現象である。

2 準備

 直径10mmの鉄球(5〜10個程度),直径10mm球形ネオジム磁石(1個),断面が凹形(1辺10mm)のアルミ棒(1本),Bee−Spi(ビースピ:速度測定玩具)(1個)

3 方法
【実験1】

 磁石・鉄球・鉄球と並べておき,磁石側にもう一つ別の鉄球(入射球)を静かに近づける。(図1)

 磁力で鉄球(入射球)が引き寄せられ,衝突する。すると,反対側の端にあった鉄球(射出球)が大きな速さで飛び出す。(動画1)また,ビースピによって射出球の速さを測定する。〈速さ6.5km/h程度〉
図1 動画1

【実験2】

 初めに並べる鉄球を2個から3個に増やし,【実験1】と同様に行う。(図2)
 その際,ビースピで射出球の速さを測定すると,実験1のときよりも速いことが確認できる。(動画2) 〈速さ7.3km/h程度〉

図2 動画2

【実験3】

 【実験1】の装置を複数個連続で並べることで,飛び出す鉄球の速さをより大きくすることもできる。(動画3)〈速さ11.6km/h程度〉

動画3



4 原理

(1) 【実験1】で原理を考える。

鉄球,磁石の質量はほぼ等しく,ともに とする。
衝突する鉄球(入射球)の速度を,飛び出す鉄球(射出球)の速度をとする。また,よく見ると,衝突直後の[鉄球・磁石・鉄球]は射出球と反対向きの速度で動いている。この速度をとする。このとき,運動量保存則 が成り立っている。
 次に,エネルギーについて考える。磁石から無限遠点を基準(位置エネルギー=0)とする。まず,入射球のエネルギーの変化について考える。磁石から離れているときの入射球の位置エネルギーは0,運動エネルギーも0である。これが,磁石に近づくほど負の位置エネルギーとなり,磁石に接触する時点で最低のエネルギーとなる。この位置エネルギーの減少分が,入射球の衝突直前の運動エネルギーとなり,衝突することによって射出球に伝えられる。

力学的エネルギー保存則 

また,射出球がもっていた位置エネルギーを とする。

入射球の運動エネルギーと射出球が初めにもっていた位置エネルギーとの和が,衝突後の球の運動エネルギーとなるので,以下の式が成立する。



図3
(2)

【実験2】においては,

射出球の位置エネルギーの値が【実験1】のときよりも大きくなるので,の値は大きくなる。

5 おわりに

 磁石球の前方にも鉄球を入れるなど,様々な形で予想を立て,実験すると面白い。力学的エネルギー保存則,運動量保存則だけでなく,位置エネルギーについての学習をするときにも利用できる。

6 留意点

 ネオジム磁石は強力なので,指を挟んだりしてけがをしないよう,十分に注意する。

7 参考資料

  『わかる!なるほど理科実験』(杉山 剛英 株式会社 裳華房)

    『理科教室(2006年4月号)』(右近修治 星の環会)

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