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乗っても割れない卵 〜シェル構造の強さを確認する〜

1 はじめに 

 生卵の上に人が立っても、卵は割れない。この卵の形は「シェル構造」と呼ばれる。しかし、そんなに強いはずの殻を、雛(ひな)が孵(かえ)るときはいとも簡単に割ることができる。なぜだろうか。

2 準備

 生卵4個、レンガ型発泡スチロール(10cm×21cm×5cm)2個、ステンレス製ブラケット1個(口径32mm)、ガスバーナー、金ばさみ、紙粘土、おもり(分銅など)、厚紙、磁石

3 方法

(1)

人が卵の上に立つ。

金ばさみで挟んだステンレス製ブラケットをバーナーで熱し、レンガ型発泡スチロールに押し付けて溶かす(写真1)。このときやけどには気をつける。
アで溶かした半球部分に卵をはめ込み、その上に立つ(写真2,3)
写真1 写真2 写真3

(2)

紙粘土でつくったアーチ型の石橋
卵とよく似た形として、アーチ型の橋が知られている。アーチ型の石橋の模型を紙粘土でつくり、はたらいている力を確認しよう。
石橋を組み上げるときの台座を、厚紙と磁石でつくる。厚紙をアーチ型に2枚切り、磁石・厚紙・磁石・厚紙・磁石の順で挟むことによって厚さのある半円をつくる。
紙粘土を図1のように台形に切り取り、乾燥させる。台形粘土を台座にそって積み上げ(写真4)、アーチが完成したら台座を抜き取る。
最下部の紙粘土には横へ広がろうとする力がはたらくので、広がらないように両側を支える(写真5)。アーチの上部におもりを乗せるなどして力を加えても、崩れないことを確認する。
図1 写真4 写真5

4 原理

 3の(2)の実験で、最上部の粘土にはたらく力は図2のように示される。上から押される力が大きくなると、それに伴って両隣の粘土から受ける垂直抗力が大きくなり、力がつり合う。しかし、下から大きな力を受けると両側の粘土から受ける垂直抗力が失われ、やがて橋は崩れ落ちる。
 このように、アーチ型の橋は外側からの力に対しては特に強い。
図2


5 おわりに

 古代ギリシャの遺跡と、古代ローマの遺跡を比較した場合、アーチを取り入れている古代ローマ遺跡のほうが、原型を留めている建築物が多い。このように、アーチ型を利用しているものを、他にも考えてみよう。

6 参考文献

・『サイエンスシアターシリーズ〔力と運動編〕アーチの力学』板倉聖宣著(株式会社 仮説社)

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