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表計算ソフトを利用したシミュレーション5
〜 復元力2(減衰振動) 〜
1 はじめに
原点を中心とした復元力と,質量と速度に比例した抵抗力がはたらくとき,運動方程式は次のように表せる。
ただし,
この微分方程式を解くと,変位
本研究では,(1)式をもとにしたシミュレーションを行うことで,微分方程式を解かずに,(2)式のような変位と時間の関係が得られることを示したい。ただし,本内容は「表計算ソフトを利用したシミュレーション1〜復元力1(単振動)〜」を学習していることを前提とする。 |
2 目的
差分法を用いて,復元力と抵抗力を受けた物体の運動をシミュレーションする。 |
3 原理
時刻
時刻
と表せる。
同様に,時刻
と表せる。
ここで,経過時間を微小時間
表1 時刻
このとき,(3)〜(5)式より,
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4 方法
(6)〜(9)式をもとに,表計算ソフトのセルに数式を入力する。表2は入力の一例である。ただし,2行目と5行目の淡黄色のセルは初期設定値の入力欄で,セルの数値を変更することで運動の条件を変更できる。
表2 表計算ソフトへの入力例 |
5 結果
表2のように入力して,6行目を下方のセルにコピーしていくと,下の表3のような結果を得ることができる。
表3 計算結果 表3の結果を用いて,時間と変位,速度,加速度の関係をグラフに示すと次のようになる。
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6 考察
表3や図1から復元力がはたらくとき物体は減衰振動することが分かる。また,各図から変位,速度,加速度の変化の周期が等しく,そのとき,変位と速度はπ/2,変位と加速度はπだけ位相がずれることも分かる。抵抗力の比例係数を大きくしていくことで,物体が振動することなく減衰(臨界減衰,過減衰)していくときの条件も知ることができる。 物体に復元力がはたらくとき,振動の中心付近では速度が最大になる一方で加速度の変化が極微小である。差分法で計算する場合,中心付近で各物理量に若干の誤差が発生する。計算時間間隔を小さくすることで精度を高めることができる。 |
7 指導上の留意点
本教材は、高等学校学習指導要領の「第2章 各学科に共通する各教科」における ・第4節 数学 第6 数学活用 (2) 社会生活における数理的な考察 ウ データの分析 ・第5節 理科 第3 物理 (1) 様々な運動 ウ 円運動と単振動 ・第5節 理科 第10 理科課題研究 ・第10節 情報 第2 情報の科学 (2) 問題解決とコンピュータの活用 ウ モデル化とシミュレーション という項目で利用できる。 本研究で紹介した表計算のサンプルファイルを用意した。下記リンク「simulation05.zip(11.6KB)」より取得できる。 |
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