吉賀池は尾張旭市の北部に位置し、西は森林公園に接しています。
 この湿地は、表層の10〜20p程が泥炭層によって形成されている低層湿原です。
 昭和61年から保護策がとられたことにより、希少植物が数多く生育できるようになりました。
 吉賀池では、この地方にしか自生しない植物も幾つか見られ、「周伊勢湾要素植物」と呼ばれています。
 毎年8月から10月に3回程観察会が開催され、多くの人が観察に訪れます。

1. 吉 賀 池
吉賀池の
 全 景
尾張旭市の湿地の植物
 2000万年前、愛知県を中心に岐阜県、三重県、静岡県を含んだ大きな湖がありました。その後、水が引いて陸地ができるときに、所々に池や沼が取り残され、そこに生えていた植物の一部が環境に適応して、現在まで生き残ることができました。
 日本ではこの地方にだけ生育する希少植物を、「周伊勢湾要素植物」と呼んでいます。
2.シラタマホシクサ(ホシクサ科)
 低地から丘陵にかけた湿原に咲く、径6o〜8oの真白な球形の花がシラタマホシクサです。

 毎年8月中旬〜9月に、ホシクサ科の中ではもっとも美しくかれんな花を咲かせます。

 名前の由来は、球状の頭花からきています。
 
 
3.サワギキョウ(キキョウ科)
 山の湿原に生える多年草で、茎は高さ0.5〜1メートルになります。

 シラタマホシクサがかれんな花を咲かせるのとほぼ同時期に吉賀池に咲く花です。
 
 花の色は濃紫色で、吉賀池ではシラタマホシクサの白い花の中にあって、ひときわ目立っています。

  
4.サギソウ(ラン科)
 日当たりのよい湿地に生育する多年生草本。茎は高さ20〜60cmになります

 花は白色で、7月下旬〜8月に、茎の先端に1〜4個つきます。

 愛知県では丘陵地に広く見られ、三河山間部にも多少生育しています。

 本種は花が白鷺の舞う姿に似て美しいため、園芸の対象として多量に乱獲され、全国的に見ると絶滅した産地も多く、きわめて危険な状態にあります。
5.ウメバチソウ(ユキノシタ科)
 雪田周辺の湿原に、高さ10〜30cmの茎の先に、白い梅に似た径2〜2.5cmの花を付けて点在しています。

 生育地は低山から高山まで広く、各地の湿原によく見られます。
周伊勢湾要素植物
6.キセルアザミ(キク科)
 別名マアザミ。湿原や河岸の湿原に生える多年草です。

 茎はやや花茎状、高さ50〜100cm、少数の葉があります。

 茎の先に頭花を単生し、花が下を向いて咲くのが特徴です。
7.マメナシ(バラ科)
 マメナシは、氷河期の生き残り植物です。

 溜池の周辺などに生育する落葉性の樹木。高さ数mのことが多いが、大きいものは樹高10mにも達します。

 花は4月上旬に咲き、白色、直径2cm前後です。また、11月ごろ0.8〜1.2cmほどの実を付けます。

  尾張旭市には40本前後群生していますが、これだけの数が群生しているのは、国内でも非常に珍しいことです。

 

 
参考文献
  「愛知県の絶滅危惧植物」 愛知県植物誌調査会
  「親子で見つめる あさひのしぜん」  尾張旭市教育委員会

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