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タンパク質を身近なもので分解する実験


1 はじめに

ゼリー(動物性タンパク質であるゼラチンから作られたもの)をフルーツなどの食品(※1参照)によって消化分解させる実験は,授業でもよく実践されています。ここではそれ以外の身近なものの中からタンパク質を分解しそうなものを探し,それを用いて実験しています。

※1 タンパク質の消化実験でよく利用される食品(食品に含まれる消化酵素名)

・生のパイナップル(ブロメリン)

・緑色のキウイフルーツ(アクチニジン)

・青パパイヤ(パパイン)

・ダイコン(アミラーゼ,プロテアーゼ)




2 今回の実験で準備したもの

ゼリー(動物性タンパク質であるゼラチンから作られたもの)※2

※2 ゼラチンは,動物の骨,皮,腱などに主として含まれているコラーゲンというタンパク質を分解,生成して得られる動物性タンパク質です。今回は簡単に実験を行うため市販のゼリーを使いましたが,ここにはゼラチン以外のものも含まれていることに留意します。 


 @洗濯用洗剤  A食器用洗剤
       
 Bコンタクトレンズ用洗浄液  C胃腸薬
       



3 実験の手順 

@ ゼリーを同じ形・大きさに切る。

A @で切ったゼリーを,逆さまに立ててある紙コップの底に置く。
(紙コップを使用するのは,分解されたゼラチンが紙コップに吸収されていく様子を見ることで,反応が進んでいることを確かめやすくするためである)

用意した洗剤,胃腸薬等を水で溶かした水溶液を,紙コップの底に静かに流し込む。

1時間後,3時間後,12時間後にゼリーの様子を観察する。



4 実験結果

 @ 洗濯用洗剤 
 1時間 3時間後  12時間後 
     
 A 食器用洗剤
 1時間後 3時間後  12時間後 
     
 B コンタクトレンズ用洗浄液 
 1時間後 3時間後  12時間後 
     
 C 胃腸薬 
 1時間後 3時間後  12時間後 
     
 D 水(対照実験用) 
 1時間後 3時間後  12時間後 
     



5 考察・まとめ

・洗剤,コンタクトレンズ用洗浄液を用いた場合,常温でもゼリーが分解される様子が分かりやすい。

・胃腸薬を用いた場合,常温ではゼリー自体は洗剤ほど変化しない。

・対照実験用として用いた水はタンパク質を分解しないはずだが,ゼリーの角が丸くなったように見える。これは,タンパク質以外の成分が水に溶け出したためと考えられる。



6 授業の中での活用例

活用単元例:2年生「動物の体のつくりと働き」の発展学習


(1) 導入(20分) @身近なものを使ってタンパク質を分解する実験を行うことを伝える。
Aタンパク質を分解しそうなものを予想する。
(洗剤、医薬品、飲料水、サプリメントなど) 
本実験(30分) @それぞれの班で予想したものを使って,実験を行う。
A実験の観察(0時間)をする。
(2) 経過観察  @実験の観察(1時間)をする。 
A3時間後,12時間後以外にも,昼休みや授業後などを利用し随時観察する。 
(3) まとめ,発表 
(50分)
@実験結果をまとめる。
A実験結果を考察して班で協議する。
Bそれぞれの班が結果と考察を発表して全体で協議する。

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