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1 はじめに

 私たちがふだん食べているものの中には、食物を消化する消化酵素を含むものが多くあります。例えば、大根にはジアスターゼという消化酵素が含まれています。これは、炭水化物を分解して麦芽糖などに変えます。
 ジアスターゼは胃腸の働きを助け消化不良を解消したり、胃酸をコントロールして胃もたれや胸やけを防止したりする働きがあり、市販されている消化整腸剤にも含まれています。
 大根や薬品のジアスターゼを使えば、より手軽に消化の実験を行えます。ジアスターゼの働きを調べる実験をしてみましょう。

2 準備

・ 片栗粉(ジャガイモデンプン)
・ 大根、かぶ、山いも、もやしなどの野菜
 (ここでは大根を使用する)
・ 消化整腸剤
 (ジアスターゼが含まれているものもの)
・ ビーカー
・ おろし金
・ ガーゼ(大根おろしをしぼるためのもの)
・ アルミケース
・ ベネジクト液

3 方法

<大根によるデンプンの消化実験>

@ 片栗粉1gに水300mlを加え、加熱して溶かす。いきなりお湯を加えるとダマになりやすいので注意してください。

A おろし金で大根おろしを作る。

B 大根おろしをガーゼでしぼる。

C しぼり汁を2つのビーカーに入れる。

D その一つのビーカーに、作った片栗粉を溶かした液を少量入れる。

E 40℃ぐらいに保ち、10分ほど放置する。

F ベネジクト液を加え加熱して糖の検出を行う。

〜ベネジクト液の反応の様子(右側がデンプン溶液を加えたもの)〜

 大根おろしとデンプンが入っていたものは赤褐色の沈殿ができ、糖化が進んでいることが確認できます。
 大根おろしだけのものも、大根自身の糖分によって少し反応が見られます。


発展実験

<ジアスターゼによる水あめ作り>

 次に、市販されている消化整腸剤「ジアスターゼ」を使った水あめ作りに挑戦してみましょう。このジアスターゼはデンプンを糖に分解することができます。この性質を利用してデンプンのりを糖化させて、水あめを作ってみましょう。

 
@ 片栗粉5gに水100gを加え、よく混ぜてから加熱します。ドロドロしてきたら火を止めます。


A 粉状にすりつぶした整腸剤3gをデンプンのりに加え、温度を40℃程度に保ちます。


Bかき混ぜると糖化が進み、このようにドロドロ感がなくなります。なめると少し甘くなっています。


C少量をアルミケースにとり加熱すると、水あめの完成です。




4 先生方へ
 大根の実験では簡単に消化酵素のはたらきを確認することができます。注意点としては大根に含まれる糖分のためベネジクト液による反応が出てしまうことです。
 また、水あめ作りでは消化整腸剤は錠剤タイプのものを用いましたが、初めから顆粒タイプのものを使えばすりつぶす手間も省けると思います。水あめづくりでは糖化させる際に温度が高すぎるとうまく消化酵素が働きません。また、保温器で消化の進行を継続させるためにある程度の時間が必要になります。その際、60℃以上に温めないように気をつけてください。完成した水あめはほんのり甘い香りがします。

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